赤ちゃんに多いカンジダ、カンジダ皮膚炎と鵞口瘡。どうすれば治る?

2017/9/26 記事改定日: 2020/3/6
記事改定回数:2回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

カンジダ症は大人だけでなく、赤ちゃんもなることがあります。今回の記事では、赤ちゃんに多いカンジダ症「カンジダ皮膚炎」と「口腔カンジダ」の治療法と予防法を詳しく解説します。

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赤ちゃんがカンジダ皮膚炎になりやすい原因とは?

カンジダ菌は、ほとんどの人に存在している真菌(カビの一種)です。カンジダ菌が存在していても、通常炎症を起こすことはありませんが、抵抗力の弱い赤ちゃんの皮膚はカンジダ菌に感染しやすく、炎症を起こしやすいです。

赤ちゃんがカンジダに感染する原因としては、以下が考えられます。

  • ステロイド薬を外用することで起こる局所的な免疫機能の低下
  • オムツを着用することにより皮膚が常に湿っている状態
  • 多汗や清潔でない状態

赤ちゃんのカンジダ皮膚炎はうつる?

カンジダ皮膚炎は人にうつる可能性があり、カンジダは腸管内や皮膚など全身のいたるところに感染する可能性があります。赤ちゃんのお世話をしているときにうつることも少なくありません。
また、カンジダは二次感染も引き起こしますので、お母さんやお父さんの手や指についたカンジダが、兄弟姉妹に感染することもあります。

カンジダ皮膚炎の症状がある赤ちゃんのおむつ替えをするときには、使い捨ての手袋を使用したり、お世話の後には必ず手を洗うようにして対策をとりましょう。

カンジダ皮膚炎はおむつかぶれと間違いやすい?

赤ちゃんがカンジダ皮膚炎を発症した場合、以下のような症状があらわれます。

  • 股から臀部の皮膚が赤くただれる
  • 患部周辺の皮膚がフチの方から剥ける
  • ただれた部分の周辺に赤いブツブツがたくさん発生する
  • 臀部から腰部にかけてあせものような細かくザラついた発疹があらわれジクジクする

おしりや股に発症することが多く、おむつかぶれと間違いやすいです。おむつかぶれに使用するステロイド剤をカンジダ皮膚炎の患部に塗布してしまうと、炎症が悪化するおそれがあるため注意が必要です。気になる症状があるときは、必ず医師に相談しましょう。

カンジダ皮膚炎とおむつかぶれが併発することがある?

カンジダ皮膚炎を発症すると、皮膚のバリア機能が弱まるためオムツかぶれを発症しやすくなります。おむつかぶれを生じるとお尻が蒸れやすくなり、カンジダが増殖しやすい環境になることでカンジダ皮膚炎を発症することも少なくありません。

カンジダ皮膚炎とオムツかぶれを併発しているような場合には、まずおしりを常に清潔に保つようこまめにオムツを交換したり、丁寧に洗ったりするようにしましょう。ただ、セルフケアのみでは症状が改善しないことも多く、症状が長引くと赤ちゃんが苦しい思いをすることになります。できるだけ早く医師の診察を受け、適切な治療を開始するようにしましょう。

赤ちゃんのカンジダ皮膚炎はどうやって治療するの?

カンジダ皮膚炎は、抗真菌薬を使って治療するのが一般的です。治療薬は必ず医師の指示に従って塗布してください。

また、患部を清潔に保ち、適度に乾燥した状態を保つこともカンジダ皮膚炎を治すために重要です。洗うときは石けんをよく泡立て、泡だけで洗うようにして優しく洗ってください。

洗ったあとは清潔なタオルで患部を軽くポンポンとたたくように拭いていき、しっかりと乾燥したことが確認できたら、薬を塗布してオムツを着用させてあげましょう。
もし下痢をしているなら、オムツを替える度にぬるめのお湯で洗い流してください。

カンジダ皮膚炎の再発を防ぐためにできることは?

赤ちゃんのカンジダ皮膚炎は、抗真菌薬の塗布で簡単に改善します。しかし、おしりが清潔でない状態や、湿っている状態になれば、再発することも多いといわれています。再発を予防するためには常に清潔にして患部を乾燥させておくことを心がけましょう。

赤ちゃんの口腔カンジダ「鵞口瘡(がこうそう)」とは

鵞口瘡とはいわゆる「口のカンジダ症」です。カンジダが口の中に感染して、舌や口腔粘膜に白い苔のような塊ができます。痛みなどの症状は出ないことが多いですが、不機嫌になったり、哺乳量が少なくなるなど、赤ちゃんの様子に変化がでることがあります。

赤ちゃんの鵞口瘡の原因は?

鵞口瘡は、出産時にお母さんの産道がカンジダに感染していて、そこを通った時に感染する場合もありますが、多くは乳首や哺乳瓶の口、おもちゃなどから感染します。

また、抗生物質の投与が原因となることもあります。カンジダは誰にでも存在するカビの一種であり、通常は体内の常在菌によって症状が抑えられた状態となっています。しかし抗生物質を投与すると、常在菌が減少してカンジダが活発に活動するようになり、様々な症状が現れてくるのです。

鵞口瘡の治療方法と予防方法は?

鵞口瘡は、一般的に2週間前後で自然と治ります。とくに症状がないのであれば、治療の必要はないでしょう。
ただし、赤ちゃんは自分で症状を訴えることができないため、口の中にできたカンジダの塊に強い不快感があることや、痛みを伴っていることで不機嫌になったりミルクを飲む量が減るなどのサインを現すことがあります。

赤ちゃんの機嫌が悪かったり、哺乳量が少なくなったりしたときには小児科や皮膚科を受診しましょう。

鵞口瘡の治療には、カンジダに効果がある塗り薬を使用します。平均的には1週間ほどでよくなるといわれていますが、塗り薬が効かない場合には抗真菌薬の飲み薬が使用されることもあります。

予防方法

鵞口瘡の予防には、乳頭や哺乳瓶の口、おもちゃ、タオルなど、赤ちゃんが口に入れるものを清潔に保つことが重要です。母乳育児で鵞口瘡を繰り返す場合には、お母さんの乳首にも一週間程度塗り薬を塗ってみることをおすすめします。

また、体の他の部分に皮膚カンジダがある場合には、患部を触った手を口に入れることで再発や悪化が見られることもありますので、皮膚カンジダはしっかり治療するようにしましょう。

おわりに:悪化を防ぐためにも、カンジダかも・・・という症状がみられたら、すぐに病院へ

オムツかぶれと似た症状を持つカンジダ皮膚炎ですが、カンジダの場合は、しわの深い部分まで炎症やただれが発生します。オムツかぶれの薬はカンジダ皮膚炎には逆効果となるため注意が必要です。

自己判断せず早めに病院を受診して適切な治療を行うようにしましょう。また、赤ちゃんは口腔カンジダ(鵞口瘡)になることもあります。鵞口瘡はカンジダ皮膚炎と併発することがあるため、おむつかぶれとおもって薬を使用すると症状が悪化することがあります。口の中の異常とおむつかぶれが併発したときは、必ず医師に相談しましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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