記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/26 記事改定日: 2018/5/22
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
二日酔いのあまりの不快感に、「もう二度と酒は飲まない!」と固い決心をした人も多いのではないでしょうか。なぜ、あのような不快感が襲ってくるのでしょうか? ここでは、二日酔いを早く治すための対処法と予防策について解説します。
お酒を飲むと肝臓がアルコールを分解し、アセトアルデヒドとなって体外へ排出されます。しかし、自分では処理しきれない量のアルコールが体内に入ったとき、処理し切れなかったアセトアルデヒドが溜まり、血液の中のアセトアルデヒド濃度が高まってしまいます。
アセトアルデヒドには発がん性があり、吐き気や頭痛、動悸、胸焼けなどを起こす働きがあるといわれています。たくさん飲んだ翌朝に二日酔いになるのは、このアセトアルデヒドの作用が一つの原因とされます。それに加えて脱水症状や低血糖、胃の粘膜を刺激することによる胃腸障害なども、二日酔いの症状が現れる要因となっています。
アルコールによって水分が失われるので、水分補給をしましょう。スポーツドリンクなどで電解質を補うことも症状の改善につながります。カフェインは二日酔いの頭痛をやわらげるという意見もありますが、カフェインには利尿作用があり、胃を刺激するので症状が悪化する可能性があります。
二日酔いを改善するために、漢方薬、ドリンク剤、胃腸薬などが市販されています。一般的に、吐き気やむかつきには塩化カルニチン配合の胃腸薬、頭痛にはイブプロフェンが効果的といわれてますが、アルコールとの相互作用で望まない症状が出ることもあるので、薬剤師に相談してから買うようにしてください。
アルコールによって、体内のビタミンCが流出します。また、アルコールの代謝にはビタミンB1が多く使われるので、ビタミンCやビタミンB1配合のビタミン剤を飲むようにしましょう。
肝臓がアルコールを分解したりアセトアルデヒドを解毒するために、エネルギーが必要です。二日酔いのときでも、できるかぎり朝食を食べるようにしましょう。疲れた胃のために、消化の良いものを食べることをおすすめします。
迎え酒が習慣化することは、アルコール依存症につながる可能性があります。迎え酒を飲んでも二日酔いがよくなることはありません。迎え酒は絶対に止めましょう。
なにより、「飲みすぎること”」が二日酔いの一番の要因となります。自分の適量を知り、それを守って飲むようにしましょう。
タンパク質、ビタミンB1、ビタミンCは、すべてアルコールの代謝のために必要な栄養成分です。
タンパク質を摂るには、おつまみに枝豆を選ぶとよいでしょう。
ビタミンB1を多く含む食材は、豚肉、ハム、うなぎ。ビタミンCはパセリ、ブロッコリ、レモン、イチゴ、キウイなどです。
食事で摂れない場合は、サプリメントや野菜ジュース、フルーツジュースで摂取しておくのもよいでしょう。
また、空腹の状態でアルコールを摂取すると酔いが回りやすくなるので、事前に何か食べておくようにしましょう。
二日酔い対策で最も重要なのは、お酒と一緒に十分な水分を摂ることです。アルコールには強い利尿作用があり、飲酒後は脱水状態となります。この脱水状態がアセトアルデヒドの血中濃度を高め、頭痛や喉の渇きなどの症状を引き起こす原因となります。
これらを予防するためにも、お酒を飲むにはそれと同量の水分を摂り、しっかりと脱水を防ぎましょう。また、就寝前にはペットボトル一本分以上を飲むと二日酔いは大きく軽減することが可能です。
二日酔いは基本的に体内に蓄積されたアセトアルデヒドが排出されると症状は改善します。しかし、二日酔いの状態で仕事や行楽に行かなければならない状況も多いと思います。そんな時は、辛い症状に効く市販薬を服用するのも一つの手です。
二日酔いを早く改善するには、ハイチオール®がおすすめです。これは、アセトアルデヒドの分解を促進する効果があり、二日酔いの状態を早く解消することが期待できます。
二日酔いによる頭痛にはイブ®やロキソニン®Sなどの一般的な鎮痛薬も有効です。しかし、これらの鎮痛薬は胃の粘膜にダメージを与えることもありますので、胃薬と一緒に服用するようにしましょう。
また、吐き気がひどい時には肝臓の働きを助けるウコンが含まれたソルマックや食べ物の消化を促す太田胃散などがよいでしょう。ただし、二日酔いで下痢がある場合などはこれらの胃薬は下痢を悪化させることもあるので注意が必要です。
さらに、二日酔いを予防するための市販薬としては、ヘパリーゼ®やウコンの力®などのように、アルコールを分解する肝臓の働きを促すような効果のある市販薬を飲酒前に飲みことも効果的であるといわれています。
それぞれの効果には個人差がありますが、自分に合った二日酔い対策を見つけてみましょう。
二日酔いは体内のアセトアルデヒドが分解され、排出されれば辛い症状も何事もなかったかのように改善するものです。改善までの時間には個人差があり、多くは半日から1日で治ります。
一部の病院では、アセトアルデヒドの排泄を促し、アセトアルデヒドの血中濃度を薄めるために点滴治療を行うところもありますが、健康保険の適応とならず自費での治療となります。また、点滴治療の効果自体も個人差が大きく、全く効果がない人もいます。二日酔いはあくまで一時的な症状であり、安静にして十分な水分摂取を行えば改善するものですので、基本的には病院受診の必要はありません。
しかし、以前にも増して二日酔いの症状が強くなった、急にお酒に弱くなったなどの変化がある場合には肝臓を始めとした病気の可能性があるので、早めに病院を受診し、適切な検査・治療をうけるようにしましょう。
二日酔いは肝臓がダメージを受け、機能が低下することによって起こります。しっかりと予防策を実践することも大事ですが、翌朝、かなりお酒が残っているなと感じたら、しばらくお酒は控え、肝臓を休ませましょう。