記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2025/6/4
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
口臭を気にしすぎることは良くありませんが、口内(口腔内)の問題や全身の病気が引き起こす口臭もありますし、深刻なコンプレックスにつながることもあるため「たかが口臭」と軽視することはできません。この記事では、口臭の原因と毎日の生活のなかでできる予防対策のポイントについて解説していきます。
口臭のおもな原因として、以下が挙げられます。
口臭は、口内(口腔内)の汚れ・カスが増えて不潔な状態になっていることが原因であることが多いといわれています。食べもののカスや口腔内から剥がれ落ちた粘膜のカスなどの「たんぱく質汚れ」を、細菌が分解したときに発生するガス(揮発性硫黄化合物:メチルメルカプタン・硫化水素・ジメチルサルファイド)の臭いが、口臭の原因になります。
また、口内(口腔内)が不潔な状態が続くと、歯周病や虫歯の原因にもなります。歯周病は口臭のおもな原因のひとつであり、歯周病がある人はメチルメルカプタンの割合が高くなる傾向にあります。虫歯では、虫歯に詰まった食べもののカスが臭いを発生させたり、虫歯で腐敗した歯の神経や虫歯が原因で発生した膿などから臭いが発生したりすることもあります。
ニンニク・タマネギなどの食べものを食べると、アリル化合物・セレニウム化合物などのガスが肺から排出され、口臭が発生する場合があります。また、コーヒー・アルコール飲料なども口臭の原因になる場合があります。
タバコの煙に含まれるタールは悪臭の原因であり、タールが歯・歯肉・舌などに付着するとそこから口臭を発生します。また、ニコチン・一酸化炭素は、口腔乾燥症(ドライマウス)を引き起こすことで、口臭を悪化させる場合があります。なお、タール・ニコチン・一酸化炭素は、歯周病・虫歯を悪化させる原因にもなるので、その点でも注意が必要です。
短期間で急激に減量するような無理なダイエットは、口臭の原因になる場合があります。これは、断食・低炭水化物ダイエットのような著しく食事を制限するダイエットをすると、ケトンという口臭・体臭の原因になる物質が増加することが関係しています。
消化器疾患など、特定の病気が口臭を引き起こす可能性があります。また、口腔乾燥症(ドライマウス)で唾液の分泌量が少なくなり、口腔内が乾燥すると、細菌が増殖しやすくなるため口臭が発生します。
一部の治療薬の中には、口臭を発生させるものがあります。
口臭を予防するには、適切なオーラルケア(歯磨きや舌苔の掃除)で、口内(口腔内)の衛生を保つことがポイントになってきます。
歯に付着した汚れ・細菌は、口臭の原因になります。以下を心がけながら、適切に歯磨きをしましょう。
口臭の多くは、舌苔から発生するといわれています。口臭を予防するためには、適切に舌苔を掃除して、舌の汚れを取り除くことも大切です。
歯科・口腔外科的な病気・問題を治療することはもちろん、口臭の原因になる病気を医療機関で治療することも、口臭を予防するためには大切になってきます。口臭の原因になる可能性がある歯科・口腔外科的な病気・問題、その他の病気として、以下が挙げられます。
口臭には生理的口臭(起床直後・空腹時・緊張時などに発生する誰にでも起こる口臭)という問題がない口臭もあるので、気にしすぎることも良くありませんが、口内(口腔内)の衛生状態や健康状態、全身の健康状態が関係する口臭もあります。口内(口腔内)の問題が原因になっているものについては、適切なオーラルケアと歯科検診・治療で予防できるので、毎日のオーラルケアと定期的な歯科検診は継続して行うようにしてください。また、病気のサインとして口臭が発生している場合もあるので、健康診断・人間ドックなどで全身の健康状態を定期的にチェックすることも大切です。