記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2017/9/27
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
口臭は、歯を磨かないなどの口内の衛生状態だけでなく、病気の症状として現れることがあります。今回の記事では、口臭の原因と口臭予防のポイントをご紹介します。
口が臭う原因には以下のことが考えられます。
口臭の一般的な原因は、口の中が不潔な状態になっていることです。歯に蓄積する細菌は、不快な臭いを発生させるだけでなく、虫歯や歯周病の原因にもなります。定期的に歯科検診を受け、クリーニングをしてもらうようにしましょう。
ニンニク、タマネギ、スパイスなどの強烈な風味の食べ物を食べると、口臭を発する可能性があります。コーヒーやアルコールなどの強い臭いがする飲み物も口臭の原因となります。
喫煙する人は口臭を発生させる可能性が大きいといわれます。それだけでなく、喫煙は歯を汚し、歯茎を刺激し、味覚にも影響を与えます。また、喫煙は歯周病の発症に著しく影響を及ぼす可能性があります。歯周病は口臭の主な原因のひとつです。
クラッシュダイエット(短期間で急激に減量すること)、断食、低炭水化物ダイエットは、ケトンと呼ばれる化学物質を作り出します。このケトンが口臭の原因となります。
例えば、以下のような特定の薬が、口臭の原因になることもあります。
・硝酸塩
・精神安定剤(フェノチアジン)
・いくつかの化学療法薬
口臭が特定の病気によって引き起こされる可能性があります。口腔乾燥症や口呼吸によるドライマウスで唾液が不足すると、細菌が増殖しやすくなるため口臭が発生します。
また、消化器疾患の症状として口臭が現れることもあります。
口臭の予防の第一は口腔内の衛生を保つことです。そのためには、正しい歯磨きの方法を学びましょう。
・歯磨きだけでは歯の隙間の汚れを完全にとることはできません。デンタルフロスや歯間ブラシで歯の間をきれいにし、虫歯の原因となる歯に挟まった食べ物を取り除きましょう 。
・やわらかい合成毛で複数列の小型または中型の歯ブラシを選択する
・1ヶ月を目安に歯ブラシを交換する
・少なくとも2分間は歯を磨く
・歯の摩滅を防ぐためにフルーツジュースなどの酸性飲料を飲んだり、オレンジなどの酸性フルーツを食べた後は30分間歯磨きを控える
歯磨き同様、舌の汚れを取り除くことも大切です。
舌に細菌が蓄積すると口臭の原因となるため、舌の汚れを取り除くことが大切です。舌専用のブラシを使用し、やさしく磨くようにしましょう。
ただし、口内炎など舌に何らかの損傷がある場合は舌磨きは控えてください。
口臭の他の歯科的原因としては、義歯や被せものなどの歯科用器具が合っていなかったり、歯周病または虫歯が考えられます。他にも口臭の原因となり得る病気はたくさんあります。口臭を引き起こす可能性がある疾患には、主に以下のようなものがあります。
・急性壊死性潰瘍性歯肉炎
・腎不全
・腸閉塞
・気管支拡張症
・口腔癌
・食道癌
・胃癌
・胃空腸結腸性フィステル
・肝性脳症
・糖尿病性ケトアシドーシス
・肺膿瘍
・臭鼻症、または萎縮性鼻炎
・咽頭炎
・ツェンカー憩室
特定の病気が原因となっている場合には、その病気を治療する必要がありますので、医師に相談するようにしましょう。
口臭は、人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があるため、予防や改善が必要です。歯磨きや舌磨きで口腔内の衛生を保ち、臭いのもとを取り除き、さわやかな息を取り戻しましょう。