うつ病を治す対策を実行するコツ ― 自分を守るために覚えておこう

2017/9/27 記事改定日: 2018/6/8
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

うつ病を治すには「休むこと」が一番大切といわれていますが、ほかにはどんな治療があるのでしょうか?
この記事では、うつ病を治すために必要なことを、項目別に解説しています。うつ病かもしれない、うつ病を治したいけど、うまくいかないという人は参考にしてください。

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うつ病を治すには、まずは休養が一番。うまく休養をとるコツとは

うつ病の治療法の中で最もオーソドックスで重要な治療法が「休養させる」ということです。

うつ病の人は、総じて責任感が強く、仕事や家事を休めない、休むことは悪だと考える傾向があります。そのような患者さんたちに、安心して、「何もしないで休む」という選択ができるよう、医師や家族が協力し合うことが大切です。

職場の協力が必要なときは、家族から会社に説明し、同時に本人にも「休んでも大丈夫だ」と伝えてあげましょう。

主婦はどうやって休めばいい?

またうつ病になったのが主婦の場合は、家族の世話や掃除、洗濯などを家族で分担しましょう。自宅にいると家事が気になって休めないようであれば、入院してもらうという方法もあります。

とにかく、ストレスをできる限り排除できる状況をつくってあげることが重要です。また、よくいわれるように、「早くよくなってね」「がんばってね」などのフレーズは、うつ病の人にとって大きな負担になりやすいので避けましょう。

うつ病を治すには食事も大事!?どんなことに気をつければいい?

うつ病は、食事量が減少したり、逆に過食によって摂取カロリーが大幅に増えることもあります。このため、うつ病の人は栄養のバランスが悪化していることが多く、最近の研究では、肥満や糖尿病はうつ病の発症リスクとなり、症状を悪化させることが知られています。

うつ病の人が注意すべき食生活とは、栄養バランスのよい和食中心のメニューを三食きちんと摂ることです。
また、うつ病によい栄養素としては、良質なタンパク質、ビタミンB群、鉄分や亜鉛などのミネラル類です。また、青魚に多く含まれるDHAなどの脂肪酸もうつ病改善効果が期待できます。

うつ病が原因で極端に食事量が減っている場合には、もちろん食べたいものを優先して摂るべきですが、これらの栄養素を含んだ食品を積極的に選ぶように心がけましょう。

うつ病から抜け出すための生活習慣とは!?

うつ病は生活習慣を改善することで、症状を抑えることができます。
うつ病は不眠を生じやすく、不眠自体が大きなストレスとなって、それがさらに不眠を悪化させるという負のスパイラルに陥ることも少なくありません。

このため、決められた時間に就寝・起床するリズムを整え、適度な運動で体力を消費することが必要です。また、日常生活のストレスはうつ病を悪化させる原因となりますので、なるべくストレスのかからない生活を心がけましょう。職場でのストレスが大きい場合には休職が必要となることもあり、主治医とよく話し合ってうつ病を改善に導くような環境を整えましょう。

病院の治療を最後まで続けることも大切 ― どんな治療をするか知っておこう!

重度のうつ病であっても、治療することは可能であり、開始が早いほど効果が高くなるといわれています。
通常は、「薬剤療法」「心理療法」、もしくは2つを併用しながら治療が進められますが、こうした治療で症状が改善しない場合には「電気けいれん療法」などが行われる場合があります。

うつ病は、良くなったり悪くなったり、再発を繰り返すことがあるため、自己判断で途中で治療を中止してはいけません。最後まで治療を続けることが大切です。
治療を受ける前に、病院でどのような治療をするのかを紹介するので、参考にしてください。

薬剤

抗うつ剤はよくうつ病の治療によく使用されます。様々な薬剤がありますが、多くは効いてくるまでに通常2~4週間かかります。服用を始めて症状が軽くなった、あるいははっきりした効果が認められないとしても、医師から服用を止めるように指示されるまでは止めないようにしてください。

抗うつ薬

うつ病の治療には主に抗うつ剤が使用されます。症状が改善し、副作用の影響が出ない薬剤を見つけるまで、数種類の抗うつ剤を試す必要があるかもしれません。

抗うつ剤が効いてくるには、通常2~4週間の時間がかかり、睡眠、食欲、集中力の障害は、気分が改善するよりも早く改善をみせることがあります。

また、薬剤の服用を止めてしまうと離脱症状が起こる可能性があるため、医師が服用を止めるように言うまでは止めないようにしましょう。

心理療法

心理療法には認知行動療法や対人関係療法、問題解決療法などをはじめとして、トークセラピーやカウンセリングなど様々なものがあります。症状や環境などにあわせて治療計画を立てていきます。

カウンセリング

精神療法のカウンセリングは週に1、2回、患者さんの必要に応じて、定期的に行われます。中立的な立場で話を聞いてもらえますし、何かの判断を下すものではなく、秘密は厳守されます。効果が出るまで、以下のような形でよい方向へ導こうとするでしょう。

  • 思考、感情、行動が、うつ病にどのように影響を与えているのか明らかにする
  • ストレスとうまく付き合うための手助けをする
  • 他の人との付き合い方を改善する方法を教える
  • 問題の徴候を早期に見つけ出し、それに対処する手助けを行なう
  • 自分のためにならない恐れに立ち向かい、克服するための手助けをする

治療期間に個人差はありますが、数ヵ月から1年を要するといわれています。これは、心理療法を止めても大丈夫だと判断されるまで続ける必要があります。

脳刺激療法

薬剤による治療で症状を改善できない場合は、「電気けいれん療法」が行われることがあります。この治療法には、痛みはなく、電気刺激を感じることもありません。治療を始める前に、患者に麻酔をかけ、筋弛緩薬を注射します。治療の後、1時間以内に患者は目が覚めます。

おわりに:どのような治療を行うかは、主治医の先生とよく相談して決めよう

うつ病を治すには、日常生活の改善と病院の治療の継続が大切です。どのような治療法が向いているかについては、個々の環境や性格、症状によって変わってきます。主治医の先生とよく相談し、無理なく実践できる方法を選ぶようにしましょう。

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