記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)損傷とは、膝の関節内にある靭帯が大きく傷ついた状態です。
主に運動中の動作で起こることが多いケガで、激しい痛みや関節内の出血をともなうこともあります。
前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)は、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)とをつないでいる靭帯で、膝の関節内に位置します。運動の際などに膝を安定させて体のバランスをとることには、前十字靭帯も大きく関係しています。
前十字靭帯を痛めやすいのは、膝を捻る、着地の際に衝撃を受ける、自然に曲がらない方向に力が加わるなど、膝に非常に強い負担がかかったときです。
特にスポーツをしているときに痛めることが多く、損傷時にはブツリという断裂音が聞こえたり、膝が外れた感じがしたり、激痛で動けなくなったり、だんだんと膝が腫れて曲りにくくなったりします。
そのまま放置すると半月板や関節軟骨にまでダメージが及び、日常生活を送る上での動作にも支障をきたすリスクが高くなります。
前十字靭帯を痛めやすい主な動作は以下の通りです。
・ジャンプの後の着地
・急激な方向転換、停止の動作
・相手や物との衝突
前十字靭帯を損傷すると、膝がグラグラして不安定になる、膝に力が入らない、膝を完全に伸ばせない、正座ができない、膝が腫れる・熱を帯びるなどの症状が見られます。痛みの度合を確認し、理学的検査法や可動域検査で膝関節の緩み具合を確認した後にMRI検査によって診断されます。
治療法は大まかに2種類に分かれます。
靭帯修復術と再建術の2つの方法がありますが、一般的には再建術が行われます。
再建術は損傷した前十字靱帯に自分の他の部位から腱を移植する方法で、ハムストリングス(臀部から膝下をつなぐ、太ももの裏の筋肉)または膝蓋腱(しつがいけん:膝蓋骨とすねの骨をつなぐ腱で、太ももの前面の筋肉と連動して膝の曲げ伸ばしをサポートする役割を果たす)を使用することが多いです。
保存療法は手術をせずにサポーターを装着して脚を固定し、自然な治りを待つ方法です。治療中の筋力低下や可動域の縮小を最小限に抑えるために、可能な範囲でリハビリを行います。
ケガの状態や患者の希望を第一に治療法が選択されますが、前十字靭帯損傷は治りにくく損傷を繰り返すことも多いので、スポーツを続けたい場合は医師から手術を提案されることが多いと思われます。
ケガの状態や回復具合によって異なりますが、スポーツを再開できるほどに完治するまでには手術からリハビリを含めておよそ280日の期間が必要になります。
その中でもリハビリに費やす時間が圧倒的に長いです。
特にスポーツ復帰をするためにはリハビリの継続が欠かせません。
手術療法の場合も保存療法の場合も、膝を以前の状態に回復させるためにはリハビリをきちんと行うことがポイントとなります。担当のスポーツドクターや理学療法士とケガの回復状態を確認しながら、自分に合ったペースで訓練を続けていきましょう。