アキレス腱付着部炎はなぜ起きる?どうやって治療・予防すればいいの?

2017/9/28 記事改定日: 2019/12/23
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

アキレス腱付着部炎とは、スポーツ選手やハイヒールを常用している女性に多く見られる症状で、歩いたときや足首を上に向けて曲げたときに踵の後ろ側に強い痛みが現れます。
この記事では、アキレス腱付着部炎の原因や治療法について解説していきます。

アキレス腱付着部炎とは

アキレス腱付着部炎とは、アキレス腱と踵の骨の付着部にある滑液包(かつえきほう:骨の間で摩擦と衝撃を防ぐクッションのような役割を果たす部分)などが炎症を起こすことです。

歩いたときや足首を上に向けて曲げたときに、踵の後ろ側に強い痛みが現れます。
重症化すると歩くことができなくなるほどの痛みを感じたり、安静にしていても眠れないほどの痛みが生じることもあります。

アキレス腱付着部炎の原因は?

アキレス腱付着部炎は踵やアキレス腱に過度の負担が何度もかかることで発症します。
踵やアキレス腱の負担となりやすいのは以下のような行為です。

  • 仕事やスポーツなどによる脚の酷使
  • 肥満などによる、過度な体重増加
  • ハイヒールや足に合わない靴の常用

とくにつま先がとがったデザインの靴や高いヒールやヒールの先が細く不安定になりやすい靴は足への負担が大きいので、アキレス腱付着部炎のリスクを高める原因になります。

成長期が原因になることも

成長期は、身長や体重の急激な増加に腱の付着部の発達が追いつかないことも多く、アキレス腱付近の組織のトラブルも起こしやすいです。

アキレス腱付着部炎はどうやって治療するの?

アキレス腱付着部炎の治療には、理学療法・薬物療法・手術療法の3つがあります。

理学療法

足に合った靴を選ぶ、足底挿板(靴の中敷:インソールのこと)を使って衝撃を吸収するなどの方法で患部への負担を軽減します。
痛みが治まってきたら、アキレス腱のストレッチを組み合わせて筋肉の柔軟性を高めながら治療を進めていきます。

薬物療法

痛みを和らげるために非ステロイド系鎮痛薬の外用剤や経口剤が使用されます。
非常に強い痛みがある場合にはステロイド剤の局所注射を行うこともありますが、腱の強度が低下するなどの副作用のリスクがあり、アキレス腱断裂が起きることもあります。

手術療法

上記の保存療法で改善が見られない場合や症状が深刻な場合には、変形した腱やかかとの骨の出っ張り(踵骨後上隆起)を取り除くために、内視鏡を使った手術が行われることもあります。

アキレス腱付着部炎の予防法は?

アキレス腱付着部炎はアキレス腱に過剰な負担がかかることによって引き起こされるものです。このため、アキレス腱付着部炎を予防するには次のような対策を行いましょう。

  • 運動前は足首ストレッチを行って突然アキレス腱に大きな負担がかからないようにする
  • 足にしっかりフィットした靴を履く
  • 長時間のハイヒール着用は控える
  • 長時間運動するときやジョギングなど足の裏に衝撃が加わる運動をするときは、足底が固すぎない靴を選ぶ
  • かかと周囲に痛みがあるときは専用のサポーターを使用する
  • 食生活や運動習慣を整えて肥満を予防する

おわりに:足首の負担を和らげるためにも、治療中にハイヒールを履くのは控えよう

アキレス腱付着部炎の主な原因は運動や仕事によるオーバーワークですが、ハイヒールもまたアキレス腱や踵に負担をかける要因になります。
足首への負担を減らすためにも、アキレス腱付着部炎の治療中にハイヒールを履くことは控えたほうが良いでしょう。

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