認知症の症状とは?怒りっぽくなるって本当?

2017/9/29 記事改定日: 2019/2/6
記事改定回数:2回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

高齢者になると発症することがある「認知症」ですが、認知症になるとどのような症状が出るかご存知ですか?
以降では、妄想や暴力、徘徊などの特徴的な症状や、初期症状についてご紹介します。また、認知症の人が怒りっぽくなる理由についても説明しています。

認知症の症状とは?

認知症とは、記憶障害など脳の認知機能が障害されたことで、日常生活にさまざまな影響をもたらす病気です。

認知症の症状は、大きく「中核症状」と「周辺症状」の2つに分けられます。

中核症状
加齢や病気による脳の障害により脳細胞が壊れたことで現れる症状(記憶障害、見当識障害、理解力の低下など)
周辺症状
中核症状が原因で引き起こされる二次的な症状(妄想、暴力、幻覚、抑うつ、徘徊など)

を指し、詳しい症状については以降で示す通りです。

記憶障害

もの忘れや、ついさっき起きた出来事が思い出せない、人の名前が思い出せないといった症状です。

見当識障害

場所や日付、時間、季節など、自分を取り巻く状況が把握できなくなります。このために遅刻がちになったり、病院の受診日に来なかったり、迷子になったりします。

理解力・判断力の低下

物事を理解するのに時間がかかり、一度に複数のことをするのが困難になります。

実行機能障害

計画を立てて物事を実行できなくなります。メニューを考えて料理を作る、洗濯しながら掃除するといったふうに順序よく家事をこなすのが困難になります。

失語・失認・失行

会話や読み書きなどで言葉がうまく使えなくなったり(失語)、五感が使っての認知や状況把握が難しくなったり(失認)、服を着るなど今までできていた動作ができなくなったり(失行)することです。

妄想

認知症患者の約15%に見られる症状です。現実ではあり得ないことを事実を思い込み、周囲からの訂正を聞き入れません。具体的には、「自分の財布からお金が盗られた」「預金通帳が盗まれた」といった物を盗られた類の被害妄想が大半を占めます。

妄想は統合失調症の患者さんにも見られますが、認知症患者の妄想は内容がしょっちゅう変わったり、過去の出来事に関するものであったり、また妄想の対象が身近な人という傾向にあります。また、妄想が始まるのも周囲のちょっとした態度がきっかけになることが多く、無視されたり、自分が会話の中に入れなかったりすると、「自分は仲間外れにされている」「浮気されている」などと妄想を始め、確信へと変えていってしまいます。

暴力

認知症患者は脳の機能が低下しているために感情の抑制が難しく、何かを否定されてプライドが傷ついたりすると、怒りや不安などを伝えるために暴力を振るうことがあります。突然の暴力や暴言は特に前頭側頭型認知症の患者さんに起こりやすく、他にはレビー小体型認知症の患者さんも、幻覚を振り払うために暴れたり、暴力を振るったりしてしまうことがあります。

抑うつ

認知機能の低下に伴い、できないことが増えていくことで全般的に意欲が低下し、抑うつが見られることがあります。うつ病の症状は悲観的なのが特徴ですが、認知症の抑うつは無関心になる傾向があります。

徘徊

見当識障害に伴い不安になることで、徘徊するようになります。

せん妄

体調不良や薬の影響などによる意識障害が原因で混乱をきたし、幻覚や興奮などの精神症状が現れます。

幻覚

実在しないものを認識します。幻覚のほか、幻聴や幻臭などが現れることもあります。

弄便(ろうべん)

認知機能が低下することで、便をいじったり、家具や体などに擦り付ける行為です。

物忘れと認知症は違うの?

物忘れをしてしまうと「認知症かも?」と心配になります。しかし、加齢にともなう物忘れと、認知症の物忘れは違います。

加齢に伴う物忘れ

加齢に伴う物忘れは、記憶から体験の一部を忘れてしまいます。
体験や出来事の一部を忘れてしまいますが、その他の記憶を思い出すことで、忘れた部分を思い出すことができることが多いです。また、物忘れをしたという自分でわかっています。そして、時間や場所、人の顔までわからなくなることはほとんどありません。

認知症による物忘れ

認知症による物忘れは、体験した出来事全てを忘れるので、そのときの体験のヒントを与えても、思い出すことが難しくなります。
また、物忘れをしたという自覚がほとんどありません。そして、時間や場所、人の顔までわからなくなることもあります。

認知症の初期症状は?

認知症は、周囲が気づいたときには、症状が進行していることが多いです。回復のためには、初期症状を見逃さず、早めに受診することが大切です。

以下の変化に気づいたときには、早めに病院で検査してもらいましょう。

  • 同じ話を何度も繰り返す
  • 親しい友人や家族の名前が思い出せない
  • ものの置き場所を頻繁に忘れる
  • 今しようとしていたことを忘れる
  • 理由もないのに気がふさぐ
  • 人と会ったり外出することをおっくうがる、行事に参加したがらない
  • 身なりを気にしなくなる
  • 調理や車の運転など、日頃出来ていたことができなくなる

認知症の人は怒りっぽくなるの?

認知症を発症すると、怒りっぽくなったりイライラすることが多くなり、中には家族や周囲の人に暴言・暴力をふるうようなケースもあります。

認知症による怒りっぽさは、患者自身が通常とは異なる物忘れを自覚し、不安感や焦りが生じることによって引き起こされると考えられています。また、周囲に物忘れを指摘されることで著しく自尊心が傷つけられ、周囲にやり場のない怒りをぶつけてしまうことがあるのです。

急に怒りっぽくイライラしていることが増えた場合は、認知症のはじまりの可能性があります。物忘れなどの認知機能低下が目立たない場合でもこのような人格・性格の変化が見られることがありますので、周囲の人に思いあたる症状がある場合は病院受診を促すようにしましょう。

おわりに:認知症は周囲の人の気づきが必要。心配なときは必ず医師に相談を

認知症は、周囲の人も大変ですが、本人も辛い思いをします。治療のためには、早期発見と早期治療が大切です。不安に思うようなことがあれば、できるだけ早く病院を受診しましょう。

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