記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/2 記事改定日: 2018/7/13
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
喫煙習慣のある人は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)になる危険性があります。息切れや慢性の咳など、気になる症状はありませんか? それでは、COPDとはどのような疾患なのでしょう?
この記事では、COPDの症状と「増悪(ぞうあく)」についてまとめました。
主にタバコの煙の吸入によって空気の通り道が障害され、組織や痰が増え、気流閉塞がおこりやすくなった状態をCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といいます。
以前には「慢性気管支炎」や「肺気腫」といわれていましたが、いまはそれらを総称してCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と呼ぶようになりました。
空気の通り道の機能が障害されているため肺炎を起こしやすく、重症化した場合には呼吸不全になることもあります。
COPDでは次のような症状が見られます。これらの症状は、一般的な風邪などでも起こりうる症状のため、病院を受診しない人も多いですが、長く続く場合には病院を受診して、適切な検査・治療を受けるようにしましょう。
COPDが重症になると、急性増悪という状態に至ります。ここでは、COPDの急性増悪について説明します。
COPDになると気管支粘膜が腫れて膨張し肺胞が破壊されます。「急性増悪」とはCOPDが急激にひどくなった状態のことであり、その原因として肺炎や心不全、肺塞栓などの別の疾患の発症を除いたものです。
COPD増悪の原因は、多くは気道感染(ウイルスや細菌など)とされていますが原因が不明なことも多いです。先ほど述べたように肺炎や心不全などの別の疾患が合併することで呼吸状態が悪くなることがありますが、これらは厳密には急性増悪とは呼びません。
COPDは、息切れ、呼吸困難、咳・痰が出るなどの症状があります。
急性増悪の症状は、
などがあります。
COPDの増悪はなるべく早く見つけて治療することが大切です。
急性増悪になると、入院が必要になります。さらに、肺機能が悪くなると、二酸化炭素を体から排出できないので、血液中の二酸化炭素が増えます。ひどくなると、意識障害も起こります。COPDの急性増悪は再発する可能性が高くなります。
呼吸が普段よりも苦しくなって、痰の量が増えたら医師に相談しましょう。
COPDは90%以上が長年の喫煙によって発症しています。これは、タバコの中の有害物質が気管や肺に炎症を引き起こし、慢性的に炎症が生じることで気管や肺の構造が破壊されるためです。
また、タバコは吸っている本人だけでなく、周囲でタバコの煙を吸った人でも同様の障害が引き起こされます。特に同居家族に喫煙者がいる場合には注意が必要です。
喫煙に関して思い当たることがある人は、早めに生活習慣を改善するように心がけましょう。また、禁煙ができない人は医療機関での禁煙外来を利用するのもおすすめです。
COPD急性増悪を防ぐにはどうしたらよいでしょうか。
気道感染はCOPDの急性増悪につながります。インフルエンザワクチンで全てが予防できるわけではありませんが、少なくともその年に流行するインフルエンザの予防をすることはできます。
肺炎は肺炎球菌によるものの頻度が高いため、肺炎球菌ワクチンの接種も予防に効果があるといえるでしょう。肺炎球菌ワクチンの接種は、呼吸機能が低下しているCOPD患者の急性増悪を防ぐといわれています。
禁煙することで、増悪の予防だけではなく進行も遅らせます。必ず禁煙するようにしましょう。
今までみてきたように、COPDの急性増悪は、生活に支障をきたすものです。
できるだけ、ワクチンの接種や禁煙を行い、予防するようにしましょう。
また、禁煙はCOPDの増悪予防だけでなく発症の予防にもなります。まだCOPDになっていないという人は早めに禁煙にチャレンジすることをおすすめします。