記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/2 記事改定日: 2018/5/9
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
排便のたびに痛みを感じたり、出血したりといった「痔核(いぼ痔)」でお悩みの方は、特に女性に多いといわれています。今回の記事では、痔核ができる原因や対処法、予防法などを広くご紹介していきます。
痔核は一般的には「いぼ痔」と呼ばれており、肛門の静脈や直腸下部、または肛門の外側にいぼ状の腫れができている状態です。
痔核(いぼ痔)は痔の中でも最も多いといわれているものであり、肛門の歯状線よりも内側にあるものは「内痔核」、外側にあるものを「外痔核」といいます。内痔核は基本的には痛みがでることはありませんが、排便時の出血(鮮血)やいぼの脱出がみられるのが特徴です。一方の外痔核では出血はあまりみられないものの、激しい痛みを感じる場合が多いです。
痔核の主な原因は、排便時に強くいきんでしまうことです。特に便秘の方はトイレでいきみがちなだけでなく、肛門に負荷がかかりやすいのでその分静脈がうっ血しやすく、痔核ができやすいといわれているので注意しましょう。
またほかにも、デスクワークなどで長時間座りっぱなしの方や妊娠中の女性、下痢ぎみの方、アルコールや辛いものをとりすぎている方、冷え性の方も痔核を招きやすいとされています。
痔核の症状が現れたときの対処法を状況別にご紹介します。
まずはおしりをきれいにし、肛門部にナプキンなどを当ててから下着をはくことをおすすめします。また、うっ血を緩和させ肛門を清潔にするために、帰宅後は必ず入浴しておしりを温めるようにしましょう。
上記と同様、ぬるま湯に入浴してゆっくりおしりを温め、血行をよくしましょう。おしりの血行がよくなると、腫れや痛みが改善しやすくなります。カイロでも同様の効果が得られますが、まれに腫れや炎症が悪化する場合があるので、温めて痛みや腫れがひどくなる場合はすぐに中止してください。
おしりをきれいに拭いた後、脱出したいぼを指でゆっくりと肛門内に押し戻してください(温水を当てながら行うと、スムーズに戻る可能性が高いです)。自力で戻すのが難しい場合は、無理せず病院を受診しましょう。
なお、これらの応急処置のほか、座薬の注入や軟膏の塗布といった薬物療法を行うのが一般的です。重度の痔核の場合は切除手術が必要なケースもあるので、早めに専門医に診てもらうようにしてください。
せっかく痔核を治療しても、いままでと同じように過ごしていると再発してしまうことも少なくありません。痔核を予防するために、日常生活では次のことを心がけるようにしましょう。
肛門を強く刺激すると、痔核が悪化してしまう恐れがあります。温水洗浄機能を使い、適度な水圧で汚れを洗い流し、ぽんぽんと紙を押し当てるような感じでやさしく拭いてください。ただし、洗いすぎは禁物です。
対処法の項でもお伝えしてきたことではありますが、ぬるめのお風呂にゆっくり入浴しておしりを温めることで、肛門のうっ血が改善されるので、痔核になりにくくなります。
痔の多くは、排便時のいきみが原因です。数分経っても自然に便が出ないときは、無理やり出そうとせず、切り上げるようにしてください。
便秘によって便が固くなっていることが原因で、痔になってしまうケースも多くみられます。日頃から野菜や豆類などの食物繊維を摂取し、水分をたくさんとって便をやわらかくすることも、痔の予防に有効な方法です。
座りっぱなしの状態が長く続くと、肛門がうっ血して痔が起こりやすくなります。1時間に1回は立ち上がり、軽く体を動かすようにしましょう。
長時間、固い椅子に座りっぱなしの場合はクッションを敷くようにしてください。うっ血の予防効果が期待できます。
薬物療法は、痔核(いぼ痔)の腫れや痛み、出血などの諸症状を改善するために行われます。主に使用されるのは痔核(いぼ痔)に対する塗り薬ですが、様々なものがあり、ステロイドが配合されたものは炎症が起きている痔核(いぼ痔)の腫れや痛みに非常に効果的です。また、麻酔成分が含まれているものもあり、それぞれの症状によって使い分けられます。
しかし、薬物療法はあくまでも症状を緩和させるために行うものであって、痔核(いぼ痔)を根本的に治すものではないので、長期の使用は避けた方がよいとされています。
痔核(いぼ痔)の根本的な治療には手術によって痔核(いぼ痔)自体を取り除く必要があります。手術にはいくつかの方法がありますが、最も簡便なのは痔核結紮切除術であり、痔核の根元を縛って切除するものです。多くの場合は日帰りで行うことができ、手術による出血や合併症が少ない手術方法であり、特別な事情がない限りは結紮切除術が行われるのが一般的です。
癖になりやすいともいわれる痔核ですが、毎日お風呂にゆっくり浸かったり、トイレでいきむのをやめたり、といったちょっとした工夫で発症の確率を下げることができます。排便のたびに苦しい思いをする前に、日頃からご紹介した予防法を実践するようにしてください。