記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/3 記事改定日: 2018/7/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胸焼けは食べすぎたときや脂っぽい食事をとったときに起こる、胸のムカつきや痛み、違和感などを感じる症状です。
この記事では、胸焼けの原因と効果的な対処法・予防法をご紹介します。
胸焼けの根本的な原因は、胃酸が逆流して食道が刺激を受ける、あるいは炎症を起こすことです。
通常は胃液で食道が傷つかないように胃酸の逆流を防ぐ仕組みが機能していますが、何らかの原因でこの仕組みが働かなくなったり胃酸が増えすぎたりすると、胃酸が食道に逆流して胸焼けを引き起こします。
以下の文で、胃酸が逆流する原因を見ていきましょう。
一度にたくさんの食事を食べたり、香辛料をたっぷり含んだ料理・油っこい料理・アルコールなどの消化されにくいものや刺激に強いものを食べ過ぎると、消化活動のために分泌される胃酸がいつもより多くなるため、胃酸が逆流しやすくなってしまいます。
また、強いストレスを感じ続けることも胃酸が逆流しやすくなる原因のひとつです。
これは、過度のストレスによって胃や十二指腸に指令を出している自律神経が乱れ、多量の胃酸が分泌されるからです。
加齢や肥満によって消化管の筋力がゆるみやすくなることで、胃酸が逆流して胸やけを起こす可能性が高くなります。
ヘリコバクター・ピロリ菌は胃の中に生息する細菌で、胃の粘膜を傷つけて胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍を引き起こす原因となることがわかっています。
ヘリコバクター・ピロリ菌によって胃の粘膜が何度もダメージを受けて慢性胃炎を発症することで、胸焼けを起こしている可能性があります。
胸焼けに対処するには胃酸過多の状態を防ぐことがポイントです。
以下の点に注意して、胃に負担がかからないようにしましょう。
胸焼けのときには、消化がよく栄養バランスのとれた食べ物がおすすめです。
塩分・脂肪分の多い食事や固い食事は消化に時間がかかるため、胃に内容物が溜まりやすくなり、胸焼けを悪化させる原因になります。
お粥や煮物などの柔らかいメニューや、ヨーグルトやスープなどの消化の良いものを選びましょう。
胃酸は、胃が圧迫されることによっても逆流しやすくなるので、ベルト、帯、コルセットなどのお腹を締め付ける衣類はゆるめることがおすすめです。
また、胃が圧迫されやすい妊婦さんは、食事を何回かに分けて食べるなどの工夫をして胸焼けを防ぎましょう。
胸焼けの予防には食事量や内容を改善して胃に負担をかけないことがもっとも大切ですが、以下のような方法もまた効果的です。
胃の粘膜を守る働きがある牛乳を食前に飲むことで、胃の粘膜へのダメージを減らす効果が期待できるといわれています。
食後すぐに前かがみや仰向けなどの姿勢をとると、食道と胃が水平になって胃酸が逆流しやすくなってしまいます。
また、食事の直後に体を動かすと必要な血液が消化管に行き渡りません。
消化には多くの血液が必要となるので、食後は30分ほど休む習慣をつけましょう。
ヘリコバクター・ピロリ菌は病院で処方された薬によって比較的簡単に除菌することができます。
胸焼けの原因となる慢性胃炎の他、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌の予防や胃潰瘍の再発を防ぐ効果が期待されています。
ピロリ菌は、胃酸分泌を抑制する薬と二種類の抗生物質を一週間服用することで除菌することが可能です。胃酸分泌用製剤のオメプラゾールと抗生物質のアモキシシリン・クラリスロマイシンなどを用いられることが多いです。
これらの薬はワンシートのパックになっていることがほとんどで、飲み忘れがないように記録をつけながら服用します。
ピロリ菌がきちんと除菌されているかを判定するために、服用が終了してから一か月以上経過した頃に再検査が行われます。多くは、1クールの服用のみの治療で除菌が成功しますが、中には除菌に失敗するケースもあります。再検査で除菌に失敗したことがわかった場合には、別の種類の抗生剤を使用した除菌治療が行われます。
胸焼けの予防・解消に大切なのは、胃酸の過度な分泌や逆流を防ぐことです。
食べすぎ・飲みすぎ、食事内容、食後の姿勢などに気をつけ、胃に負担をかけすぎないようにしましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。