記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
人間は食べたり飲んだりして栄養を摂らないと生きていけませんね。でも、胃がムカムカしたりシクシクしたり、腸の動きが悪くて下腹が張ったりなど、胃腸の働きが生活に大きな影響を及ぼしています。この記事では、胃腸の働きについてまとめました。
口から入った食べ物が通る道、食道や胃腸から肛門までつながる1本の道を消化管といいます。消化管にある臓器で食べ物が消化され、栄養が吸収されます。胃腸とは、食べ物を消化し栄養を吸収するための器官です。
胃は、食道を通ってきた食物を蓄える袋のようになっています。食べ物が入っていないと細長くしぼんでいます。食べ物がたくさん入ったときは、大きくふくらみ食べ物を蓄えます。
胃液と胃の蠕動運動で粥状になった食べ物は、小腸でさらにたんぱく質や脂肪分の消化が行われます。その後、主に小腸で栄養が吸収され、大腸で残りの栄養と水分を吸収していきます。そして水分や栄養が吸収された後の食べ物は便となり、肛門から体の外へと出ていくのです。
口から入り、歯で噛み砕かれた食べ物は、唾液と混ざり合い食道を通って胃に入ります。
胃では、消化酵素のペプシンと塩酸などが混ざり合い、殺菌と消化が行われ食べ物をどろどろにして十二指腸に送られます。
十二指腸では、胆汁と膵液が胃から送られてきた食べ物と混ざり合い酸を中和し、タンパク質や脂質などをさらに吸収しやすい状態に消化していき、空腸と回腸でさらに消化がすすめられていきます。
単純な食べ過ぎや飲みすぎで胃腸の不調が起こることはもちろんですが、ストレスや自律神経の乱れなど、胃腸の不調の原因には様々なものがあります。
暴飲暴食や疲労などは、しばらく休めば回復することがほとんどですし、消化の悪いものばかり偏って食べている場合は、食習慣の見直しで改善するでしょう。ストレスや自律神経の乱れから起こる胃腸の不調に関しては、ストレスを解消したり生活のリズムを改善することで治っていく可能性があります。
胃腸の不調は下痢や胸焼け、げっぷなどの軽い症状が多いため軽視されがちですが、中には癌や胃潰瘍などの重篤な病気が隠れている場合もあるので注意が必要です。
胃壁は、正常であれば、粘膜で覆われ、胃液で侵食されないように保護されています。
生活の乱れやピロリ菌の増殖などが原因で胃液と粘膜のバランスが崩れると、胃液が胃壁を傷つけたり、胃に穴が開いてしまうことがあります。この状態を胃潰瘍といいます。
胃潰瘍の症状には、胃痛、吐き気、嘔吐、吐血、食欲不振、望まない体重減少などがあります。みぞおちから左の腹部にかけて痛みがある場合や、慢性的にすっぱいげっぷが出る場合、褐色の吐血、黒い便がでるときは注意が必要です。
早期の胃癌には、自覚症状はほとんどありません。症状が出たとしても、不快感や胸焼け、吐き気程度しか現れないことも多いです。はっきりとした症状が現れたときにはすでに進行してしまっている場合もあります。早期治療のためには定期健診を行いましょう。
大腸癌も胃癌と同じように自覚症状が現れにくい病気です。進行するにつれ下血や血便、貧血などの症状が現れはじめ、便秘や下痢、腸閉塞などが起こることもあります。
血便が出ても痔と勘違いして治療が遅れるケースが多いので注意が必要です。便が細くなったり、血が混ざっているなど、便に変化が見られる場合は、なるべく早く検査をするようにしましょう。
胃もたれやムカムカ、腸の張りなど、胃腸の不調は軽くても、長期的に継続している場合は要注意です。早期のうちに病気が発見できれば、適切な治療で治ります。腸内環境なども含め、胃腸の調子で不安を感じることがある場合は、病院で検査をしましょう。