記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
2017/10/4 記事改定日: 2019/2/13
記事改定回数:2回
数分前のできごとが思い出せなかったり、自宅までの帰り方がわからず迷子になってしまったりなど、日常生活に大きな影響を及ぼす「認知症」。
できれば発症を防ぎたいものですが、果たして有効な予防法はあるのでしょうか?以降で、認知症の予防効果があるとされる食事やゲーム、運動のポイントなどをご紹介していきます。
認知症には、下記のようにさまざまな種類があります。
このように種類によって発症要因は違いますが、食事や栄養状態が認知機能と関連していることは、国内外の多くの研究によって明らかになっています。
具体的には以下の食べ物や飲み物には認知症の予防効果があると考えられています。
サバやアジ、イワシ、サンマなどの青魚にはDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が多く含有されています。
DHAは脳の構成成分であり、認知症予防や記憶力の向上に効果的とされ、特にアルツハイマー病の予防に有効といわれています(実際、DHAの血中濃度が高い人ほど認知症の発症率が低いという研究結果もあります)。
またEPAは脳に直接作用するものではありませんが、生活習慣病予防効果があるため、結果的に認知症予防にもつながる成分ともいえるでしょう。
なお、オメガ3脂肪酸は加熱に弱いので、青魚は揚げたりするのではなく、お刺身や蒸し物などで摂取するようにしてください。
ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜に多く含まれる葉酸は、不足すると悪玉アミノ酸であるホモシステインを増殖させ、アルツハイマー病の原因であるアミロイドβの作用を強めるといわれています。葉酸を摂取することでホモシステインを減らしましょう。
カレーのスパイスであるクルクミンは、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの蓄積を抑制し、その毒性から神経を保護する効果があると考えられています。
緑茶(特に新茶)に多く含有されるテアニンというアミノ酸には、脳の神経細胞を増やす作用があることから、認知機能の低下を予防する効果が期待できると考えられています。
また、緑茶に含まれるカテキンは、先述のアミロイドβの毒性を弱める効果があるともいわれています。
赤ワインに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があることから、動脈硬化や高血圧、そして認知症予防に有効といわれています。ただし、飲み過ぎには注意してください。
高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病は認知症の発症リスクを高める可能性があります。
食生活の乱れは生活習慣病の原因となりますので、認知症を予防するためにも食生活には以下のような点を注意しましょう。
食事以外には計算や読み書きなどが認知症予防に役立ちますが、もっと手軽に楽しめる対策として以下のようなゲームがおすすめです。
なお、上記のゲームはいずれも本人が楽しんでやることが重要です。無理やりやらせたりするとかえってストレスになり、心身に悪影響を与える恐れがあります。
また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病は認知症の原因になるので、定期的な運動も認知症予防に役立ちます。また、運動には生活習慣病の予防効果だけでなく、脳の血流を改善する効果もあると考えられています。
無理のない範囲でかまいませんが、週に3日以上、ジョギングやサイクリング、水泳などの有酸素運動に取り組むことをおすすめします。
また、ウォーキングやラジオ体操などの簡単な運動の際に、しりとりや簡単な計算も一緒に行うことで脳が刺激され、さらなる改善効果が見込めますし、ボールを目で追うことが脳への良い刺激となることからボウリングや卓球などの球技もおすすめです。
普段の食事に気を配ったり、運動したり、ゲームをしたり・・・どれもちょっとしたことではありますが、これらの積み重ねが認知症の予防につながると考えられています。さっそくできることから始めてみてはいかがでしょうか。