記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/5 記事改定日: 2020/1/28
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
フォルクマン拘縮(こうしゅく)は、ひじ周辺の骨折や脱臼でおきた内出血や筋肉の腫れによって血の流れが悪くなり、最終的に手指が曲がって固まってしまう病態です。
この記事では、フォルクマン拘縮の原因やメカニズム、症状、治療、リハビリについて紹介します。
フォルクマン拘縮とは、ひじ周辺の骨折(上腕骨顆上骨折など)や脱臼による内出血や筋肉の腫れのために血の流れが悪くなり、最終的に手指が曲がり固まった状態になることです。
前腕部のコンパートメント症候群とも呼ばれます。(※コンパートメントについては次の項目で説明します)
フォルクマン拘縮を発症するまでの大まかな流れは以下の通りです。
フォルクマン拘縮を発症する原因は、前腕から上腕にかけての筋肉の血流が滞り、最終的に筋肉組織の壊死や末梢神経の障害がおきることです。
筋肉はコンパートメントという区画に分けられていますが、怪我で血管が傷ついたり外から強い圧力を受けるとコンパートメントの内圧が上がり、損傷部分の血の巡りが悪くなります。
それによって筋肉組織の血液が不足すると、筋肉がむくみ、むくみによって筋肉の圧迫が強まり、血行がさらに悪くなることでフォルクマン拘縮が生じます。
コンパートメント症候群とは、外傷によって血管が傷ついてコンパートメント内で出血が生じ、急激に内圧が上がる病気です。組織への血流が阻害されるため、壊死を引き起こし、不可逆的な障害を残す重篤な外傷合併症の一つです。
患部の痛みや強い腫れなどの症状が見られますが、放置すると組織が壊死して不可逆的なダメージを受けます。
外傷による骨折や打撲なども患部の痛みや腫れを引き起こしますが、運動が困難になるような強い腫れや痛みが見られる場合は、速やかに病院を受診して適切な処置を受けるようにしましょう。
フォルクマン拘縮が起こると
などが起こり、痛みのためにひじや指を伸ばせなくなっていきます。
そして、患部を元の位置に戻すための作業を行っても症状が治まらずに悪化していきます。
上記の症状に加えて
などの、血管閉塞を示す症状が見られる場合には医師による早急な処置が必要です。
前腕部にケガをして数時間後に次のような症状や体の変化が現れたときはフォルクマン拘縮が疑われます。放置せずにできるだけ早く病院を受診し、症状の進行を予防しましょう。
フォルクマン拘縮治療法は、急性期であるか慢性期であるかによって異なります。
牽引整復やギブスによって骨折や脱臼した部分をできる限り元の位置に戻します。
動脈が閉鎖してから拘縮が生じるまではおよそ6時間~8時間といわれているので、処置を行った後にも症状が改善しない場合は、筋肉の内圧を下げるための緊急手術(筋膜切開)が行われます。
慢性期になると手指が曲がった状態で固まってしまうため、変形に応じた矯正手術を行います。
フォルクマン拘縮は、発症直後から慢性期にいたるまで適切なリハビリを続けることが大切です。フォルクマン拘縮を発症すると、完全に元の状態に戻ることは困難です。このため、障害を少しでも緩和するため「日常生活上の障害を克服するリハビリ」が重要になってきます。
急性期では、手の変形を予防するためのスプリント装着がすすめられており、慢性期では手の筋力強化や細かい作業を行う訓練を続け、日常生活への支障を最小限に抑えるリハビリが行われます。
動脈閉鎖からフォルクマン拘縮の発症までの猶予は約6~8時間ほどのため、早急な対応が必要となります。
腕を骨折・脱臼したときに、うずくような痛み、腫れ、しびれなどが同時に見られたら、できるだけ早く病院で治療を受けましょう。
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