外傷性くも膜下出血とは ~ 症状・原因・治療法を解説 ~

2017/10/11

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

外傷性くも膜下出血とは、事故などの外傷や外からの強い衝撃によって生じるくも膜下出血のことです。
この記事で、その症状・原因・治療法を見ていきましょう。

外傷性くも膜下出血とは

脳は髄膜(ずいまく)という膜に包まれており、髄膜は外側から硬膜・くも膜・軟膜の3つの層で成り立っています。
一般的に言うくも膜下出血とは、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)の破裂によって“くも膜”と脳の間に出血が起きている状態です。

一方、外からの衝撃で脳に出血が広がった状態を「外傷性くも膜下出血」といいます。
外傷性くも膜下出血はくも膜下出血と区別するのが難しいこともありますが、一般的には外傷の原因となった事故の状況、CTスキャン(出血が起きていると、脳のしわや溝などの通常は黒く写る部分が白く写る)で頭部の外傷や脳血管の状態などを調べた後に総合的に判断されます。

外傷性くも膜下出血を引き起こす原因

外傷性くも膜下出血の原因は、病名の通り外からの強い衝撃によって脳が損傷を受けることです。
転倒、転落、頭部の強打・打撲など・・・頭部や顔面を強打することで脳挫傷(のうざしょう:衝撃を受けた部分のすぐ下の脳組織がダメージを受けること)が発症し、そこから発生した脳内出血がくも膜下の空間に広がることでくも膜下出血を発症します。

外傷性くも膜下出血の症状の特徴

外傷性くも膜下出血の特徴的な症状は、非常に強い頭痛があらわれることです。
通常の頭痛の痛みとは異なり、「まるでバットやハンマーで殴られたような痛み」などと例えられるほど強烈で、そのほとんどが嘔吐を伴います。
そのため、気を失って救急車で搬送される患者が多いです。

発症直後から意識障害、半身の麻痺、半身の感覚障害、言語障害、けいれん発作などの症状が現れ、出血量が少なくても打ち所が悪い場合には急死してしまう可能性もあります。
意識障害、半身の麻痺、半身の感覚障害、言語障害などは後遺症としても残ることが多い症状です。

また、衝撃が引き金となって脳脊髄液の流れ阻害されると、外傷性正常圧水頭症(がいしょうせいせいじょうあつすいとうしょう)を発症するリスクもあるので注意が必要です。

外傷性くも膜下出血の治療法は?

外傷性くも膜下出血の治療は、以下の点にフォーカスして行われます。

・脳内圧を低下させる
・再出血の防止
・脳内に血の塊、腫れができるのを防ぐ

出血量が多いときや合併症として発症する脳挫傷によって脳圧が高くなっている場合には、利尿薬などを投与して圧力を下げます。その他には再出血を防ぐ、出血した血液によって脳内に血腫(血の塊)や腫れができないようにするための処置などが行われます。

脳内で出血した血液などは自然と吸収されるので、手術で取り除くことはほとんどありません。

おわりに:治療中は脳挫傷など、合併症を引き起こさないように気をつけよう

外傷性くも膜下出血によって脳が受けたダメージは大きなものです。
また、合併症として脳挫傷やびまん性軸策損傷を伴う危険性があります。
治療中は合併症を防ぐために、安静を第一に心がけましょう。

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