記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/11 記事改定日: 2019/10/3
記事改定回数:3回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
チック症(トゥレット症候群)は子供にみられる発達障害ではありますが、大人がチック症を発症してしまうこともあります。
ストレスや環境の変化がきっかけになると考えられていますが、症状の改善にはどのようなことを注意すればいいのでしょうか?
チック症(トゥレット症候群)は、自分の意思に関係なく、瞬きや首振りをくりかえす症状を起こします。
このような症状は4週間以上持続し、突発的に起こり、不規則な間隔で急速に繰り返される特徴があります。
また、チック症には
などの特徴的な動作が多数あります。
このような動作は、自分の意思で行っているように見えるかもしれませんが、実際には本人の意思とは関係なく行われているのです。
原因には、脳の機能的障害や遺伝的な側面が関係していると考えられています。
チック症は子供の病気だと思われがちですが、まれに大人になってもチック症を発症する人がいます。
これは、子供の頃からのチック症が完治しないまま継続している場合と、子供の頃に一時的に治ったチック症が再燃した場合の2種類があります。
大人のチック症の特徴は
ことなどがあります。このような特徴は子供のチック症には見られません。
大人のチック症も、脳の神経伝達物質の代謝や分泌が影響していることが発症に影響していることには変わりありませんが、環境の変化や自分に関係のある大きな出来事、ストレスなどがきっかけになることが多いと考えられています。
また、性格的に真面目で繊細な人ほど発症しやすいという特徴があるようです。そういった性格の人は、どうしてもストレスが溜まりやすくなってしまうことも関係している原因かもしれません。
大人のチック症の治療は社会的に問題がなければ、特別な治療をする必要がありません。
しかし、業務中に症状が頻繁に出る場合には会社の同僚などに理解を得にくく、わざとやっていると悪意のあることを言われたり、周囲に障害だと理解されないケースも多いようです。
チック症の治療は、基本的には薬物療法を中心に進められます。ただ、症状を気にし過ぎることがストレスになり症状が強くなってしまうという悪循環に陥ってしまうこともあるので、医師や社会福祉士によるカウンセリング、行動療法、認知療法などの心理療法などを取り入れながら、ストレスをコントロールしていく必要もあります。
また、チック症を治すには本人の努力だけでなく、家族やパートナーも指導を受け、本人を支えてあげる必要があります。
チック症は、精神科や神経内科、心療内科などで診てもらえますので、症状に気づいたときは早めに相談し、家族やパートナーに協力してもらえる環境作りを始めましょう。
チック症の一種であるトゥレット症候群は発達障害の一つです。
発達障害は精神障害者保健福祉手帳交付の対象となりますので、症状が重度で日常生活や社会生活に大きな支障を来たすと医師が判断した人は交付を受けることが可能です。
精神障害者保健福祉手帳は税制上の優遇が受けられるほか、生活保護などの加算がつくこともあり経済的な支援を受けることができますので、交付を受けられる場合は積極的に利用しましょう。
また、他にも自治体による就労支援や生活訓練、デイサービスなどを利用できる場合があります。どのような支援を受けることができるかについて担当医や自治体の窓口に相談し、利用できるものはぜひ活用してみてください。
大人のチック症は、ストレスやトラウマ、環境の変化がきっかけになることが多く、治療には家族やパートナーの支えも必要になります。医師やカウンセラーに相談しながら、自分達の症状や環境にあった治療をじっくり続けていきましょう。