異所性蒙古斑 ― 顔にもできるってホント?治療方法はあるの?

2017/10/11 記事改定日: 2019/9/24
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「蒙古斑」というと赤ちゃんのお尻にあるイメージが強いかもしれませんが、実は顔に蒙古斑ができてしまう「異所性蒙古斑」というものがあります。今回の記事では、そんな異所性蒙古斑の治療法を中心にお伝えしていきます。

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異所性蒙古斑とは

蒙古斑とは、生後間もない赤ちゃんの背中からお尻にかけて出来る青いアザのことです。日本人のほぼすべてにこの蒙古斑がみられますが、小学校に上がるころまでにはほとんどの人は消滅します。

ところがこのアザが背中やお尻以外にも出来てしまうことがあり、これを「異所性蒙古斑」と呼んでいます。通常の蒙古斑同様、小学校に上がるくらいまでには消えてなくなることが多いのですが、大人になるまで残っている人もいます。また、消えるとわかってはいても、顔や腕、足などの露出の多い部位に出来てしまっている場合、精神的な苦痛を感じる人も多く、治療を希望する方も少なくありません。

異所性蒙古斑ができる原因

蒙古斑は、メラニンを作るメラノサイトという色素細胞が真皮に残ったために出来ると言われています。アジア人はメラノサイトが真皮の奥深くに残っていることが多いため、胎児のときにお尻や背中に特に多く作られてしまうのではないかと言われています。

異所性蒙古斑の範囲が小さいときは自然に消えていくことが多く、特に治療の必要はありません。しかし背中一面など、広範囲に及ぶ場合は自然にすべて消えないこともあります。また、顔など目立つ部分にある場合などは、成長途中で精神的苦痛を味わうことも少なくなく、そのような場合は治療を進めることがあります。

異所性蒙古斑の治療法は?

現在では、異所性蒙古斑に対してはQスイッチレーザーというメラニンに反応するレーザー治療を行うことが主流です。このレーザー治療は痛みを伴うものであるため、小さな子供であれば全身麻酔、大人の治療では局所麻酔を行います。蒙古斑の元となっているメラノサイトを集中して破壊するため、他の健康的な皮膚細胞を傷つけることはありません。色が薄ければ1回の治療で終わることもありますが、広範囲に及ぶ異所性蒙古斑の場合は、数回に分けて治療を行うこととなります。

異所性蒙古斑は、完全に消えなくても成長するにしたがって薄くなるのが一般的です。そのため、治療を行うかどうかは、10歳を目安にして医師と相談するのがよいでしょう。

青黒いアザは蒙古斑ではないことも…

ただし、青黒いアザであっても異所性蒙古斑ではない可能性もあります。たとえば、青色母斑という、少しふくらみのある青色のほくろのようなものがあります。この青色母斑は、通常は悪性化することはありませんが、大きさが1cm以上の場合は「細胞増殖型青色母斑」と呼ばれ、のちに悪性化する可能性があります。

異所性蒙古斑と青色母斑はそれぞれ治療法は異なりますが、通常の青色母斑の場合、外科手術を行います。外科手術の場合は傷跡が残ってしまうこともありますが、最近ではレーザーによる治療を行っている病院もあるので一度相談してみるとよいでしょう。

おわりに:異所性蒙古斑はレーザー治療で治療可能です

  • 異所性蒙古斑は、お尻や背中ではなく、顔にもできてしまう蒙古斑のこと
  • 現在では、レーザー治療によって治療が可能
  • 重症度や範囲によって回数や消えやすさは異なる。詳しくは医師に相談を

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