拘縮(こうしゅく)の原因と予防のためのリハビリ方法とは?

2017/10/19 記事改定日: 2020/1/21
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

拘縮とは関節の可動域が狭くなり、自由に動かすことができなくなる症状です。日常生活に支障をきたすこともありますが、適切なリハビリで症状を改善することができます。この記事では、拘縮の症状と原因とリハビリの方法、リハビリ時の注意点を解説します。

拘縮(こうしゅく)ってどんな状態なの?

拘縮とは、皮膚や筋肉、靭帯などの軟部組織が何らかの原因により伸縮性が損なわれた結果、関節が動かず固まってしまう「関節可動域制限」の状態のことです。関節の曲げ伸ばしができなり、主に肩、ひじ、手、指、股関節、膝、足に症状が出ます。高齢者だけでなく、ケガや病気を契機として若い人にも起こります

拘縮が進行すると、日常生活のための動作が難しくなるだけでなく、自立した生活が徐々に困難になり、介護が必要となったり寝たきりになったりしてQOL(Quality of Life)が低下につながるので、早めの予防とリハビリが重要です。

なお、似たような症状で「強直(きょうちょく)」もあります。拘縮がリハビリ等により改善する可能性があるのに対し、強直は手術等の外科的手段でなければ改善が見込めません。

拘縮の原因は?

拘縮が発生する原因は大きく5つに分けられます(Hoffaによる分類)。

皮膚性拘縮
火傷やけがから回復する際、皮膚に生じるケロイドや瘢痕(はんこん)により皮膚がひきつれ、関節の曲げ伸ばしが困難になる
結合組織性拘縮
皮下組織の腱や腱膜が損傷し、回復する際に起こる拘縮。損傷部分に瘢痕ができて関節の可動域が制限される
筋性拘縮
筋肉を理由とし、関節の可動域が制限される拘縮。筋炎による筋線維の変化、寝たきりやギプスの固定により筋肉の機能が低下、血液が行き渡らず筋肉の機能が低下、などの原因で発症する
神経性拘縮
麻痺や痛みに対する反射で筋肉の緊張が長時間起こり、関節の屈伸が困難になるもの。脳血管障害や脊髄疾患から起こることがある
関節性拘縮
関節部分の組織、関節包や靭帯などの損傷・回復の際、組織が癒着や結合することで関節の可動域を制限する

拘縮はどうやって治療を進めていくの?

拘縮は進行すると完全に元の状態に戻すことは困難となります。そのため、上で述べたような拘縮を引き起こすようなケガや炎症などが生じたときは早い段階からリハビリを行っていくことが大切です。

拘縮が生じた場合、症状の改善や進行の予防のために次のような治療が行われます。

温熱療法

ホットパックなどを関節に当てることによって血行を改善し、固くなった組織をほぐす効果が期待できます。

超音波療法

関節に超音波をあてて刺激を加え、血行を改善したり組織を柔らかくする効果が期待できます。

手術

やけどやケガによる皮膚性拘縮や結合組織性拘縮、筋肉性拘縮などではダメージを受けて硬くなった組織を取り除く手術や、別の部位から取った組織を移植する手術が行われることもあります。

拘縮を予防するには?

拘縮は進行すれば治療やリハビリが困難になるため、拘縮は予防に重点が置かれています。予防のためには、日常的に意識して体を動かし、血流の改善、筋肉萎縮の防止、関節機能の正常化を図ることが重要です。

また、前述の運動療法は予防としても非常に効果的とされていますが、知識のない人がROM訓練を行うと、返って関節や筋肉を傷め、拘縮を進行させる可能性があります。専門の作業療法士、理学療法士から方法を学んだうえで実践しましょう。

ポジショニング

ROM訓練より手軽にできる予防法として、ポジショニングがあります。ポジショニングとは、障害や、寝たきり、手術後など、自分で自由に体を動かせない人の拘縮や床ずれの防止のために行なわれます。枕やクッションを利用して、目的に沿った姿勢を保って正しいポジショニングを行えば、圧を分散させたり通気性を確保したりできるといわれています。

症状によりポジショニングの形は異なるので、歪みがないか、無理のない姿勢か、自分で動かせる部分を邪魔していないかをきちんと確認し、寝ている状態なら2時間おき、座っている状態なら30分おきに体位変換をしましょう。

他動運動のリハビリ

他動運動は、関節を他者が動かすことで、関節拘縮だけなく、筋力と筋肉や皮膚の柔軟性を維持する効果が期待できます。他動運動中は背中やお尻などに体重がかかった状態となりますので、運動後は体位交換を行って褥瘡を予防しましょう。

他動運動の方法は以下の通りです。

肩から肘

肩関節が脱臼していないことを確認し、肩関節の上腕骨骨頭部を片手で押さえながら、反対側の手で二の腕を持って円を描くように回します。また、腕を肩に垂直になるように持ち上げます。

このとき、関節にひっかかりがある場合には無理に腕を持ち上げると脱臼することがあるので注意しましょう。また、肘関節は円を描くように回したり、曲げ伸ばしたりします。

手は拘縮すると指が曲がって「グー」の状態になります。他動運動では、小指側から手の平を揉みほぐすようにしながら指を開いていき、第二関節から少しずつ指を伸ばしていきます。このとき、骨粗鬆症がある人は無理に指の伸展を行うと骨折することがあります。無理のない範囲で行うのがポイントです。

膝を持って太ももを持ち上げ、股関節を伸ばすようにし、膝の曲げ伸ばしを行います。膝の後の腱に抵抗が生じるところまでしっかり伸ばし、30秒ほどキープするのも筋力を鍛えるおすすめの運動です。

おわりに:拘縮は起こらないようにリハビリで予防することが大切!

拘縮は、ケガや加齢でだれでもかかりうる症状です。日頃から体を動かす意識を持ち、関節の可動域の確保に努めることが大切です。動けない人に対しては、周囲の人が協力してリハビリを手伝ってあげましょう。ただし、リハビリは医師や専門の作業療法士・理学療法士の指導にもと行うようにしてください。

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