記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/17 記事改定日: 2018/4/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
注射した部位が腫れる・赤くなる、熱が出る、下痢をしているなど、予防接種後に起こる可能性がある症状を「副反応(副作用)」といいます。赤ちゃんや小さな子どもの予防接種では、副反応が起きているか判断しづらいこともありますよね。この記事では、副反応の症状や対処法などについて解説します。病院へ行った方がいい状態についても紹介しているので、参考にしてください。
接種したワクチンの種類によって異なりますが、副反応として以下のような症状があらわれることがあります。
副反応として重い症状が現われることはほとんどなく、多くの場合において自然感染したときに出る症状よりも軽度で済むといわれています。
ワクチン接種は特定の病気の予防に必要な免疫力をつける目的で行われるものです。ワクチンは、ウイルスや細菌が持っている病原性を弱めたり毒性をなくしたりしたものを使っていて、ワクチン接種によって病気への免疫ができると、病原体が体内に侵入しても無症状や軽い症状で治まることが多くなります。
しかし、威力や毒性を弱めているとはいえ、ワクチンを接種すると病気の原因となる細菌やウイルスに似た物質を体内に入れることになるため、自然に感染したときと同じように体が反応して副反応が出ることがあると考えられています。
予防接種後の副反応は、接種したワクチンの種類によって異なりますが、腫れや発赤は種類を問わず比較的多くみられます。
次の章から、ワクチンごとの副反応について紹介します。
代表的なワクチンについて、副反応の症状や頻度、病院を受診する目安などを説明しますので参考にしてください。
最も多い症状は、発熱です。頻度は20~30%程度で、接種後5~14日くらいにあらわれます。10~20%の頻度で発疹を発症する場合もありますが、いずれも1~3日で回復するといわれています。
稀に接種直後から、蕁麻疹や注射部位の発赤などがみられることもありますが、3日程度続く場合は病院へ連絡しましょう。
注射部位の腫れが最も多くあらわれます。1回目の接種では約20%、それ以降は回数を増すと40~50%の頻度で腫れやしこりなどの局所反応があらわれます。この反応は数日で治まるといわれているので、冷やしたタオルなどで部位を冷やすといいでしょう。
また発熱は、1%程度の頻度で、接種当日か翌日にあらわれる場合がありますが、すぐに下がります。2日以上継続する場合には、他の病気の可能性もあるので受診を考えましょう。
接種後7~21日において、2~3%の頻度で軽度の耳下腺の痛みや腫れ、発熱などがみられる場合があります。
稀に髄膜炎症状を引き起こすこともありますが、頭痛、高熱などの症状があらわれた場合は病院に相談しましょう。
接種部位の発赤、湿潤などが多くみられます。自然治癒しますが、3ヶ月程度を要する場合もあり稀に全身性BCG感染、骨炎などが起こります。
副反応とは、ワクチン接種を受けた後にみられる一時的な変化です。
副作用が病気の治癒以外の反応を指すのに対し、副反応は発症するとわかっている通常の反応のことを指します。
発熱や下痢などの症状がみられるため、「予防接種を受けたのに病気になってしまったの?」と心配になるかもしれませんが、予防接種を受けた後には副反応が出ることは珍しくありません。
子供の状態をきちんと確認し、医師の説明に従って対処すれば大丈夫だということを覚えておきましょう。また、副反応が出ても驚かないよう、発症する可能性のある症状について事前に医師から説明を受けましょう。
ワクチン接種を受けてから、高熱が出る、吐き気が治まらない、注射部位が腫れて痛いなどの症状が出た場合には、すぐに予防接種を受けた病院に連絡しましょう。
また、赤ちゃんや子供が熱を出していたら、脱水症状にならないように水分をしっかり補給してください。
めったにないことですが、重い副反応がみられることがあります。アナフィラキシーなどの重篤な反応は接種後30分以内に起こる傾向がみられます。そのような事態に備えて、ワクチンの接種後はすぐに帰宅せずに病院で30分ほど待機して何かあっても医師とすぐ連絡を取れるようにしておくのがおすすめです。
アナフィラキシーではワクチンを接種して30分以内に次のような症状が現れます。命に関わることもあるため早急な治療が必要です。
また、上述した症状以外にも、ワクチンを接種した後に発熱、咳、下痢などの体調不良が現れたときは副反応の可能性がありますので、できるだけ早めに病院を受診するようにしましょう。
発熱などの症状がなければ入浴をしてもかまいませんが、スポンジやタオルなどで注射した部位をこすらないよう注意してください。また、接種当日の激しい運動は控えましょう。
副反応とは、予防接種する際に体の中に微量のウイルスやウイルスに似たものが入るために生じる免疫反応です。そのほとんどが生体の反応であり、一時的な症状と考えられています。他人に対する感染性はなく、周りの人たちに対して類似した感染症を引き起こすこともないといわれています。
予防接種による副反応によって生じた症状において、その過失の有無をとわず、予防接種と健康被害の因果関係が認可された人を対象に救済するものが「健康被害救済制度」です。
定期接種と任意接種で補償制度などが異なります。
申請が認められた際は、医療費や生涯年金などの給付が行われます。
定期接種の場合は市区町村へ、任意接種の場合は医薬品医療機器総合機構に連絡しましょう。
副反応として現われる症状は比較的軽いことが多く、ワクチン接種をすれば必ずといってよいほどみられるものなので、心配しすぎる必要はないといえます。ただし、重症化すると後遺症が残る可能性もあるため、ワクチンの接種から2~3日が経過しても症状が治らない場合は、できるだけ早くかかりつけ医に連絡し、子供を病院に連れて行きましょう。