記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/10/13 記事改定日: 2020/3/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
産後の不正出血は、ホルモンバランスが急に変わることや子宮や腟の回復が不十分であることなどが原因で起こります。
この記事では、産後の不正出血の種類や原因、悪路や月経(生理)との違いなどを見ていきましょう。
不正出血は、生理(医学的には月経というのが一般的です)のとき以外に腟、子宮、外陰部から出血が起きることで、卵巣機能の不調によるホルモンバランスの乱れが原因となる機能性子宮出血と、子宮の疾患が原因となる器質的子宮出血の2つに分かれます。
不正出血は月経以外の時期に出血した場合には気づきやすいですが、月経の前後に生じた場合は月経と見分けるのが難しいことがあります。月経血の量が極端に増減する、月経期間が極端に長くなったり短くなったりすることがあれば、月経ではなく不正出血の可能性もあるでしょう。
不正出血は多くの女性が経験する症状で、女性ホルモンのバランスが崩れ、子宮の疾患、異所性妊娠(子宮外妊娠とも)によって引き起こされます。機能性子宮出血に対してはホルモン剤や止血剤を使用した治療を、器質的子宮出血の場合は原因となる病気に対する治療を行うのが一般的です。
産後の不正出血の原因の多くは、ホルモンバランスが急激に変化することと、子宮が上手くもとの状態に戻っていないことと考えられます。
たとえば「胎盤遺残(たいばんいざん)」と呼ばれる不正出血は、悪露として排出されなかった胎盤や内膜の残りなどが子宮内に残ってしまうことで起こります。
「子宮復古不全(しきゅうふっこふぜん)」は、産後子宮が収縮不全となることで悪露の量が多く、通常の産褥期よりも長く続く状態のことを言います。原因があることもあれば明らかなものがないこともあり、大部分は子宮収縮剤の内服で改善します。
また、子宮内に残った組織の一部に小さな血管が伸びてこぶのようになった「胎盤ポリープ」や、出産の傷口から細菌が入り込むことで発症する「子宮内感染症」も原因になる可能性があるといわれています。
生理・悪露と不正出血は発生するタイミングや出血が続く期間が異なります。
悪露(おろ)は分娩後のおよそ3~5週間に子宮や腟から排泄される分泌物です。個人差はありますが、赤色から褐色、黄色っぽい色へと変化し最後に白に近い色になってなくなっていきます。産後しばらく出血が続いたとしても、それは不正出血ではなく正常な体の変化として起こっていることもあります。
一方月経(生理)は、妊娠に備えて厚くなった子宮内膜が妊娠しなかったために必要なくなり、体外に排出されるものです。個人差はありますが、出産後の生理は産後から最低でも1ヶ月以上は経たないとこないといわれています。
不正出血は、原因によっては産褥期から出現する可能性もありますが、実際には悪露とは見分けがつきづらいため産後、産褥期が落ち着いてから発見されることが多いでしょう。
もちろん、一旦減った悪露が再度大量となった、鮮血になったなどあればそれは不正出血の可能性が考えられますので病院に相談しましょう
産後の不正出血は次のような病気が原因で引き起こされることがあります。
また、妊婦健診の検査では異常がなかったものの、産後に子宮頸がんを発症する方もいます。
産後はホルモンバランスが乱れるため不正出血を起こしやすいものですが、長く続くときは思いもよらない病気が背景にあるケースも少なくないため、できるだけ早く病院で診察を受けるようにしましょう。
産後はホルモンバランスが不安定になる傾向が高く、生理周期が出産前と変化したり、不定期になったりしがちです。不正出血との判別は難しいので、「不正出血かも・・・」と思ったら婦人科や産婦人科で検査を受けましょう。
悪化すると深刻な事態を招くものもあるので、なるべく早めに医師の診察を受けることをおすすめします。