産後の不正出血について ~ 悪路、月経(生理)との違いは? ~

2017/10/13

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

産後の不正出血は、ホルモンバランスが急に変わることや子宮や腟の回復が不十分であることなどが原因で起こります。
この記事では、産後の不正出血の種類や原因、悪路や月経(生理)との違いなどを見ていきましょう。

不正出血とは

不正出血は生理(医学的には月経というのが一般的です)のとき以外に腟、子宮、外陰部から出血が起きることで、卵巣機能の不調によるホルモンバランスの乱れが原因となる機能性子宮出血と、子宮の疾患が原因となる器質的子宮出血の2つに分かれます。不正出血は月経以外の時期に出血した場合には気づきやすいですが、月経の前後に生じた場合は月経と見分けるのが難しいことがあります。

月経血の量が極端に増減する、月経期間が極端に長くなる又は短くなることがあれば、月経ではなく不正出血を見ている可能性があります。

不正出血は多くの女性が経験する症状で、女性ホルモンのバランスが崩れ、子宮の疾患、異所性妊娠(子宮外妊娠とも)によって引き起こされます。

機能性子宮出血に対してはホルモン剤や止血剤を使用した治療を、器質的子宮出血の場合は原因となる病気に対する治療を行うのが一般的です。

【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://w-health.jp/monthly/bleed/

産後の不正出血の原因

産後の不正出血の原因の多くは、ホルモンバランスが急激に変化することと、子宮が上手くもとの状態に戻っていないことと考えられます。
たとえば「胎盤遺残(たいばんいざん)」と呼ばれる不正出血は、悪露として排出されなかった胎盤や内膜の残りなどが子宮内に残ってしまうことで起こります。

「子宮復古不全(しきゅうふっこふぜん)」は、産後子宮が収縮不全となることで悪露の量が多く、通常の産褥期よりも長く続く状態のことを言います。原因があることもあれば明らかなものがないこともあり、大部分は子宮収縮剤の内服で改善します。

また、子宮内に残った組織の一部に小さな血管が伸びてこぶのようになった「胎盤ポリープ」や、出産の傷口から細菌が入り込むことで発症する「子宮内感染症」も原因になる可能性があるといわれています。

産後の不正出血と悪露(おろ)や月経(生理)との違い

生理・悪露と不正出血は発生するタイミングや出血が続く期間が異なります。

悪露(おろ)は分娩後のおよそ3~5週間に子宮や腟から排泄される分泌物です。個人差はありますが、赤色から褐色、黄色っぽい色へと変化し最後に白に近い色になってなくなっていくといわれています。このため産後しばらく出血が続いたとしてもそれは不正出血ではなく、正常な体の変化といえます。

一方月経(生理)は、妊娠に備えて厚くなった子宮内膜が妊娠しなかったために必要なくなり、体外に排出されることです。
個人差はありますが、出産後の生理は産後から最低でも1ヶ月以上は経たないとこないといわれます。

不正出血は原因によっては産褥期から出現する可能性もありますが、実際には悪露とは見分けがつきづらいため産後、産褥期が落ち着いてから発見されることが多いでしょう。勿論一旦減った悪露が再度大量となる、鮮血になるなどあればそれは不正出血の可能性が考えられます。

産後の不正出血を招く可能性がある病気とは

産後の不正出血は、以下のような病気のサインとして発症している可能性があります。

・無排卵月経、黄体機能不全などの女性ホルモンの分泌異常による疾患
・子宮頸癌(しきゅうけいがん)、子宮体癌
・子宮頸管ポリープ、子宮筋腫など子宮にできる良性の腫瘍
・子宮内膜炎、子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)
・腟癌、細菌性腟症、萎縮性腟炎などの腟の疾患

いずれの病気も早期発見・治療が大切になるので、不正出血が疑われたら早めに婦人科や産婦人科で診察を受けましょう。

おわりに:出血が続くときは、念のため医師に診てもらおう

産後はホルモンバランスが不安定になる傾向が高く、生理周期が出産前と変化したり、不定期になったりしがちです。不正出血との判別は難しいので、「不正出血かも・・・」と思ったら婦人科や産婦人科で検査を受けましょう。

悪化すると深刻な事態を招くものもあるので、なるべく早めに医師の診察を受けることをおすすめします。

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