記事監修医師
日本赤十字社医療センター、呼吸器内科
出雲 雄大 先生
2017/11/2 記事改定日: 2017/9/2
記事改定回数:1回
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、呼吸器内科
出雲 雄大 先生
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
喘息、という病気にあなたはどのようなイメージをお持ちでしょうか。小さい子供がかかるものだから、大人の自分はかからないなんて思っていないでしょうか。もしくは、アレルギーがないから大丈夫だと思っていないでしょうか。いえいえ、油断は大敵です。そういう方も喘息になることがあり、重症化しやすいので危険です。どういったものか知っておくと、いざというときに役に立つかもしれませんね。今回はそんな大人の喘息について解説します。
まず前提として知っておきたいのが、喘息にはアトピー型と非アトピー型があるということです。アトピー型はいわゆる世間一般の喘息のイメージに合致します。アレルギー反応によって起こり、小さい子供が発症することがほとんどで、春や秋に症状が出やすいとされ、多くは軽症で成人するまでに70%が良くなります。アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患を合併していることが多いです。
一方、「非アトピー型」喘息は40才以上の大人がかかることが多いとされ、こちらは冬に症状が出やすく、原因はあまり良くわかっていません。また、発作は重症であることが多いといわれています。
前述したように、世間一般的に知られている喘息はアトピー型であることが多いです。しかし、喘息が子供の病気という固定観念を持つことは危険です。呼吸がしづらく咳が続くなと思ったら喘息を疑いましょう。また、アトピー型の喘息は遺伝することがありますが、非アトピー性では基本的に遺伝性はないとされています。親戚に喘息の人がいないから自分もかからない、とは言い切れません。
喘息かもしれないと思ったとき、アレルギー性なのかそうでないのかを調べることは重要です。アレルギー性ならば、その要因を取り除いたりアレルギーの治療をすることによって改善します。喘息の治療は呼吸器科を受診するのが普通ですが、アレルギー科を受診してアレルギー性の喘息かそうでないかを調べることも有効な場合があります。
一旦喘息にかかったら、発作が再発しないように予防的治療を行いましょう。何度も発作を繰り返すと気管自体の構造が変化し、より症状が悪化してしまいます(リモデリングといいます)。予防的治療としては吸入ステロイドを基本とし、テオフィリン徐放薬、抗ロイコトリエン受容体薬、長時間作用性β2刺激薬などを組み合わせて使用します。
非アトピー型喘息の原因は解明されていませんが、なんらかの感染の後に発症することがあることが知られています。また、喫煙も喘息などの呼吸器疾患を引き起こす大きな原因となります。身の回りの環境を清潔にすること、感染を予防すること、禁煙、適度な運動などを心掛け、自己管理をして大人の喘息を防ぎましょう。