胸や心臓が痛い原因とは?病院に行ったほうがいいのはどんなとき?

2017/11/2 記事改定日: 2020/1/7
記事改定回数:3回

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、心臓血管外科

鈴木 登志彦 先生

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

心臓のあたりがぎゅっと締め付けられるように痛かったり、息苦しさを感じたりといった胸の痛み。これは何かの病気のサインでしょうか?考えられる原因をまとめました。

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胸の心臓あたりが痛む原因として、考えられるものは?

胸のあたりの体内には、たくさんの臓器があります。

消化器

胸の付近には食道や胃などの消化器があるので、食道や胃の上部に病気があるときには、胸に痛みを感じることがあります。

呼吸器

呼吸器である肺とその周辺臓器の病気によっても、胸の痛みが引き起こされることがあります。
例えば肺に病気がある場合、呼吸をする時に息苦しさを感じたり、痛みを感じることがあります。

心臓、血管など

心臓は身体を動かしたり、緊張したりすると心臓が早く脈打つことがあり、そのようなときに心臓がいつもよりドキドキとしたり、心臓がぎゅっと締めつけられるような痛みが起こることがあります。
また、心臓に何らかの病気やトラブルがあるときにも、痛みや違和感などが起こることがあります。

さらに、胸の周囲には筋肉や血管、神経などさまざまなものも通っているので、そういったものが原因で痛みを起こすことがあります。筋肉痛のようなものから、血管が破裂しそうな強い痛み、神経痛のような痛みまで感じることもあります。

心臓のトラブルが痛みの原因のときの特徴とは?

心臓に病気やトラブルがある場合には、動くときに症状が強くなるという特徴があります。また、心臓へ栄養を送る血管が詰まりそうになっているにときは、胸が重く感じたり、ぎゅっと締め付けられる痛みを感じます。

血管が詰まりきっていないうちは安静にすると症状が治まることがありますが、根本的な問題が解決しているわけではありません。
完全に心臓の血管が詰まってしまうと、一瞬で命を落としてしまう危険性もあります。そうなる前に何らかの治療を受け、生活習慣を改善するなどの対策する必要があります。
何か気になる症状があるときには念のため病院を受診をしましょう。

胸骨が痛いときの原因は?

胸骨とは、胸の中央にある縦に長い骨です。普段は動くことの少ない骨なので、あまり意識することはないでしょうが、筋肉や脂肪がほとんどついていないので外からの刺激をダイレクトに受けやすい部位でもあります。

例えば、「勢いよくボールが飛んできて胸に当たった」「急ブレーキで胸をハンドルにぶつけた」という理由により、胸骨そのものに傷がつくことがあります。骨粗鬆症を起こしている人は骨が弱くなっているので、少しの衝撃でも骨が折れることがあります。

また、胸骨付近の胸腺はがんが転移することがある部位でもあるので、がんの転移によって「胸が痛い」と感じることがあります。またがんの転移で骨がもろくなってひびが入ったり、骨が折れてしまうこともあります。

心臓や胸の痛みが胸膜から来ることもある?

肺を包んでいる膜のことを「胸膜」といいます。肺炎や結核がきっかけで、胸膜に炎症が起こる胸膜炎を起こしているときも、胸に痛みを感じます。

併せて咳や痰がでる、動悸、息切れ、発熱といった症状がみられることもありますが、風邪の症状とほぼ同じなので、「風邪による症状だと思っていたら、実は他の病気だった」と判明するケースも少なくありません。

風邪のような症状があまりに長く続く場合には、こういった他の病気の可能性があるので、病院を受診したほうがよいでしょう。また、胸膜炎は免疫力が落ちている時にかかりやすいので、インフルエンザにかかっている時にもなりやすくなります。その他、疲れが溜まっている時も起こしやすくなります。

精神的なストレスが心臓の痛みを引き起こすこともある?

心臓や冠動脈、胸膜などには何ら異常がないにも関わらず、心臓が定期的にキューっと痛む、動悸、呼吸苦などの症状が生じることがあります。
このような病気を「心臓神経症」と呼び、日常の精神的なストレスによって引き起こされると考えられています。

痛みは運動時などではなく、夜間など安静時に生じることが多く、痛みのある部位を圧迫すると痛みが強くなるのが特徴です。

心臓神経症から何らかの心臓病を引き起こすことはないとされていますが、治療には抗うつ薬など精神疾患に用いられる薬が必要になることも少なくありません。
また、場合によっては重篤な心臓病が隠れていることもありますので、まずは循環器内科など受診して検査を受け、心臓神経症が疑われる場合には心療内科などで適切な治療を受けるようにしましょう。

病院に行ったほうがいいのは、どんな痛みがあるとき?

胸や心臓付近に次のような痛みや違和感があるときは、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、心不全など重篤な病気が背景にある場合があります。次のような症状があるときはできるだけ早めに病院を受診しましょう。

  • 前胸部が締め付けられたり、圧迫されたりするように長く痛む
  • 体を動かすと数分間、前胸部が締め付けられるようなことがよくある
  • 明け方に前胸部の痛みで起きることがある
  • 胸だけでなく、肩やあご、お腹にまで痛みが響く
  • 胸の痛みと共に咳や息切れなどの呼吸症状がある
  • むくみを伴う

おわりに:重大な病気の可能性も。早めに病院を受診しよう

一言で「胸の痛み」といっても、外傷による影響であったり、呼吸器や消化器の病気が原因であったりと、考えられる原因はさまざまです。心臓病などの重大な病気のサインの可能性もあるので、心臓のあたりが急に痛くなりはじめたら、早めに病院を受診しましょう。

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