記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/17 記事改定日: 2019/10/3
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胸のあたりがチクチク痛くなったり、咳をしたときに肋骨のあたりに突然痛みが走ったり、といった「肋間神経痛」の症状でお悩みではありませんか?
今回の記事では、肋間神経痛の痛みへの対処法について解説していきますので、お悩み解消に役立ててください。
私たちの心臓や肺など重要な臓器は、12対の肋骨により包み込まれるように保護されていますが、この肋骨に沿って流れている肋間神経が何らかの原因で障害を受けて痛みが生じる状態を「肋間神経痛」と言います。
肋間神経痛の主な原因は、背中にある脊髄神経が圧迫を受けたことによるものです。圧迫を生じる具体的な原因としては、腫瘍の成長、脱臼、骨折のほか背中にある脊椎の椎間板ヘルニアなどが挙げられます。
この他にも咳がきっかけで肋骨に亀裂が入ったり、骨折により肋間神経痛を出じたりすることもあります。
高齢者で骨粗鬆症を患っている人は、咳をきっかけに骨折することがあり、その後肋間神経痛に悩まされることがあります。
また、ヘルペスウィルスによる帯状疱疹の後遺症として、肋間神経痛が起こることもあります。この場合は肋間神経に沿って水疱が出来てしまっているので、持続的に痛みが残るのが特徴です。
肋間神経痛では次のような症状や身体の変化が生じます。
肋間神経痛は突然発症する激痛が特徴です。
多くは安静にすることで治る一時的なものですが、なかには上で述べたように帯状疱疹が原因のこともありますので、痛みがある部位に水疱を伴うようになったら病院を受診するようにしましょう。
また、帯状疱疹は疲れやストレスが溜まったときに再発しやすくなります。
水疱ができる直前に肋骨に沿った痛みやしびれが生じることがありますので、再発を繰り返す人でこのような前兆症状が見られる場合はできるだけ早く病院を受診して水疱の出現を予防する薬物治療を始めましょう。
さらに、肋間神経へのダメージは脊椎骨折や肋骨骨折、骨へのがん転移などでの起こりえます。あまりに痛みが強く、夜も寝られない・立ち上がれないというような場合には早めに病院で検査を受けることをおすすめします。
病気が原因でない肋間神経痛の痛みであれば、以下のような対処法で痛みが和らぐことがあります。
効果には個人差がありますが、自分に合った方法を見つけてみましょう。
上記のセルフケアで症状が軽減しない場合、何らかの原因疾患によって肋間神経痛が引き起こされている可能性があります。
とくに痛みが酷くなってきた場合には速やかに病院を受診しましょう。一般的には整形外科を受診することになります。
肋間神経痛に対しては、基本的にはセルフケアと同様に湿布を貼ったり、消炎鎮痛剤を投与したり、ベルトで肋骨を固定したりして経過観察をするのが一般的ですが、痛みが強い場合には肋間神経に麻酔剤を注射する肋間神経ブロック治療が行われることがあります。
原因疾患が明らかになった場合は、その病気の治療をすることが肋間神経痛の治療にもつながりますが、注意が必要なのは心臓が原因で発症した場合です。
例えば、心臓の筋肉に栄養を送る冠状動脈が狭くなることが原因で発症する狭心症は、速やかな治療が必要です。放置しておくと冠状動脈が完全に詰まり、心筋梗塞を発症するおそれがあります。
これ以外にもがんなどの悪性腫瘍が転移して、肋間神経痛が引き起こされる場合もあります。頑固な痛みや息切れを伴う場合には、速やかに病院で診察を受けるようにしてください。
一般的な肋間神経痛であれば、鎮痛薬を服用したり、湿布を貼ったりといったセルフケアで症状が緩和する場合も多いです。ただ、それでもなかなか改善しない場合は、別の病気が隠れている可能性があります。痛みがひどい場合は早めに病院を受診してください。