切迫性尿失禁ってどんな病気? どうすれば治る?

2017/10/17

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

いきなり尿意を感じてトイレに駆け込もうとしたけれど、間に合わず漏らしてしまった――なんて苦い経験はありませんか?もしかしたらそれは、「切迫性尿失禁」のサインかもしれません。症状や原因、治療法などを以降でご紹介していきます。

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切迫性尿失禁とは


自分の意志で尿を我慢する事ができないことを尿失禁と呼びますが、そのなかで突然の尿意に襲われて我慢する事ができない場合を切迫性尿失禁と呼びます。特に高齢者の女性が多く発症するもので、データによると40代以上で尿失禁の患者は8人に1人の割合ですが、そのうち半数は切迫性尿失禁とされています。

切迫性尿失禁の場合は、尿意を感じてから出てしまうまで、あまりに時間が短いので、トイレに行こうとしても間に合いません。また、切迫性尿失禁になっている人は、頻尿の傾向にあります。特に夜寝ている間に繰り返し尿意を感じてしまうのでよく眠れなくなってしまいます。

なお、切迫性尿失禁は他の尿失禁に比べて漏れる量がかなり多いので、おむつや尿パッドなどで対処しようとしても、間に合いません。そのため、外出先で漏らしてしまう事を恐れて、家の中に閉じこもりがちになり、近隣住民との付き合いや仕事も出来なくなってしまいます。そのように日常生活が送れなくなると、最悪の場合にはうつ病になってしまうこともあります。

急な尿意がガマンできないのはどうして?


切迫性尿失禁になるのにはいくつか原因があるのですが、ひとつは脳や脊髄に関わる病気や怪我によるものです。これらの病気や怪我で神経伝達が上手くいかなくなると、膀胱に尿が溜まったときに、自分の意志とは関係なく勝手に漏らしてしまうことがあります。ただ、これは神経の問題のため、年齢に関係なく起きるものです。

そして高齢者や女性に多い原因として考えられるのは、加齢や閉経による骨盤底筋(尿を我慢するときに動く筋肉)の衰えです。

ほかにも、膀胱炎や前立腺肥大といった病気がきっかけで、膀胱に刺激が加えられ、尿を漏らしてしまうこともあります。ただ、これらは尿が出るときに痛みや違和感を感じる事が多いので、比較的区別がつきやすいです。

切迫性尿失禁を治療するにはどうすればよい?


切迫性尿失禁にはどのような治療法が有効なのかというと、原因によっても異なります。例えば脳梗塞や脳卒中など、神経伝達がうまくいかないことが原因の場合は、抗コリン薬などの膀胱の筋肉の緊張を緩和する薬を飲むのが有効です。

加齢などにより膀胱周辺の筋力が衰えていることが原因の場合には、ストレッチなどで筋肉を鍛えることで、尿失禁を抑えるトレーニングをしていきます。また尿意をできるだけ我慢する事を繰り返していくことでも、少しずつですが鍛えることは可能です。なお、病気が原因である場合には、その病気自体の治療を行うことが尿失禁の解消へとつながります。

おわりに:切迫性尿失禁の原因はさまざま。原因に応じた適切な治療が大切

加齢や閉経、神経系の病気など、さまざまな原因によって切迫性尿失禁は引き起こされる可能性があると考えられています。原因によって治療法は異なってくるので、ご紹介した症状でお悩みであれば、まずは病院を受診することをおすすめします。

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