記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/17 記事改定日: 2019/6/3
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
デング熱は報道などでも話題になっているので、名前を知っている人も多いと思います。
日本ではあまり流行することはない感染症ですが、流行地域から日本に持ち込まれることがあるので注意が必要です。
この記事では、デング熱の流行地域や感染経路について解説していきます。
デング熱とは、主に熱帯や亜熱帯地方に多く発生するウイルス感染症で、デングウイルスを蚊が媒介することにより感染するものです。
デング熱は熱帯病の1つに数えられますが、グローバル化に伴い熱帯・亜熱帯地方との人の往来も増えたことで、世界でも感染が拡大しています。
日本では長い間デング熱の流行はありませんでしたが、海外に出かけた際などに感染してデング熱を発症する例は毎年報告されています。
2014年には国内感染が確認され、テレビや新聞に取り上げられ大きな話題となりました。
デングウイルスに感染しても全ての人が発症するわけではなく、症状が出ない人もおり、軽い場合には自然に治ります。
ただし、重症化すると死亡することもあるので軽視できる病気ではありません。
デング熱とは蚊がデングウイルスを媒介することで発生する感染症なので、特に亜熱帯地方への旅行の際、蚊が多い場所に行く時は注意する必要があります。
デングウイルスを媒介するのは、主にヤブカやネッタイシマカとされています。デングウイルスを持った蚊に刺されると、蚊の唾液と共に皮膚にデングウイルスが侵入し、体内にある血液中の白血球と結びついて、体内を移動しながら増殖していきます。
なおデング熱は、人から人に感染することはほとんどありません。ごく稀に人から人に感染するケースも報告されていますが、デング熱に感染した人の近くにいたり、触れたりしても通常は感染することはありません。
デング熱に感染すると、2日から10日程度の間に高熱が現れます。
その後、頭痛や喉の痛み、腰痛、関節痛などの痛みの症状も現れ、吐き気や嘔吐、倦怠感、食欲不振といった症状が現れることもあります。
これらの症状は、通常1週間程度で回復していきますが、重症化してしまうと、デング出血熱を発症することがあります。
デング出血熱は、熱が下がる頃に出血や血液中の血漿という成分がもれ出す症状のことをいいます。
この出血には、鼻血や吐血、下血、注射部位からの出血など様々な出血があり、また、血液中の血漿のもれが多いと、ショック症状を引き起こすこともあります。
デング熱の流行地域に滞在した後に、突然の高熱・皮疹・関節痛などデング熱が疑われる症状が現れた場合には、放置せずに病院を受診するようにしましょう。受診に適した診療科は感染症科ですが、お近くに感染症の専門科がない場合は一般的な内科でも検査を受けるができます。
また、近年では流行地への渡航歴がない場合でも国内でデング熱に感染する事例があります。夏場、蚊に刺されてから1週間程度で上記のような症状が見られた場合には、蚊に刺されたことを伝えた上で医師の診察を受けるようにしましょう。
熱帯・亜熱帯地域などで感染するリスクのある「デング熱」。重症化すると死に至る危険性のある恐ろしい病気ですが、特別な治療法はないので予防を徹底することがまずは重要です。旅行中は虫よけスプレーを使用したり、肌の露出を減らしたりといった対策をしっかり実践しましょう。