記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/18 記事改定日: 2019/6/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
伝染性単核球症はEBウイルスが原因で起こる感染症です。キス病とも呼ばれることがありますが、どのように感染しどんな症状が現れるのでしょうか?この記事では伝染性単核球症症状について解説します。
伝染性単核球症とは、EBウイルスというウイルスによって引き起こされる疾患です。キス病とも呼ばれていて、ヒトの唾液を介して感染していきます。
思春期以降に初めて感染したときは発症しますが、乳幼児に感染しても発症することはほとんどないといわれています。
潜伏期間は4週間から6週間程度で、発症したときは風邪に似た症状が現れます。
伝染性単核球症の主な症状はBリンパ球中のウイルスの作用によるものであり、発熱や発疹が主症状です。また、異常増殖したBリンパ球やそれを攻撃するために反応して増殖したTリンパ球によってリンパ節に腫れが起こることもあります
発熱、発疹、リンパ節腫脹は初発症状としては気づきやすいものですが、喉の痛みや倦怠感を伴うため「ただの風邪」と間違えてしまうこともしばしばあります。
思春期で発症すると重症化することが多く、まれに合併症に発展することあるので注意が必要です。
伝染性単核球症の治療は対症療法が主です。というのも、EBウイルスが潜伏しているB細胞の中まで作用する抗ウイルス薬がなく、対症療法のみでも治癒してしまうことがほとんどだからです。
そのため、風邪と間違って診断を決めあぐねているうちに症状が改善してしまうことも少なくありません。発症したときは症状が治まるまで安静にしましょう。
ただし、ごくまれにではありますが、脾臓破裂の恐れがある場合があるので、脾臓の状態が正常に戻ったことを確認するまでは、症状が治まっても運動などをしないことをおすすめします。
また、非常に低い確率ではありますが、気道の閉塞などの合併症がおこる可能性があります。
自然に治るケースが多い感染症ではありますが、リスクを回避するためにも、風邪のような症状があるときは念のため病院を受診するようにしましょう。
伝染性単核球症は、症状が改善した場合でも再発を繰り返すことがあります。
これは一度体内に入り込んだEBウイルスは免疫細胞であるT細胞やTN細胞などに潜んだ状態となり、些細なきっかけでウイルスの増殖が繰り返されるためと考えられています。
再発した際には、初発時と同様に発熱や頚部リンパ節の腫れ、肝脾腫、発疹などの症状が引き起こされますが、重症化することが多く、血小板減少による出血傾向や貧血、下血などの症状が生じることもあります。
また、再発を繰り返すことで冠動脈瘤やぶどう膜炎を発症することもあり、悪性リンパ腫や白血病の発症率も高くなることが分かっています。
EBウイルスは決して珍しい病原体ではなく、幼少期に感染していたことで抗体を持っていることがほとんどです。この抗体は平時でも口腔内の粘膜表面に発現していることが多く、よほどのことが無い限りは感染することがありません。しかし、免疫が抑制されている場合や疲れているときなどに感染してしまう可能性はあります。
そのため、発症が確認された人とのキスや回し飲みは出来るだけ避けたほうが無難でしょう。
伝染性単核症の多くは自然治癒するものであり、幼少期での感染で抗体を持っている人がほとんどです。
しかし、思春期以降に初めて感染すると重症化する場合もあり、非常にまれにではありますが合併症になる恐れもあります。風邪のような症状があるときは、念のため病院で検査してもらうようにしましょう。