大腸憩室炎の原因は食生活? 治すにはどうしたらいいの?

2017/10/18

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腹痛に悩まされたり、出血を伴う下痢をしたりすることもある「大腸憩室炎」。近年日本人の中で増加傾向にある病気の一種ですが、何が原因で引き起こされるのでしょうか?治療方法と併せてご紹介していきます。

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大腸憩室炎とは


大腸憩室炎とは、大腸にできることのある「憩室」と呼ばれる膨らみに、便が詰まったことなどが原因で炎症が起こる病気をいいます。

憩室ができる原因は様々ですが、主に欧米的な食事が原因とされています。さらには食事時間や量が不規則だったりすると、腸への負担が増えて憩室ができやすくなります。

初めは腹痛や下痢、便秘といった一般的な症状が出るだけなので、市販薬などで様子を見てしまうことが多いですが、仮に一時的に良くなったとしても、憩室がある限り再発する可能性は常にあるため、繰り返すようなら大腸憩室炎を疑って病院にかかることをおすすめします。憩室は誰にでもできる可能性がありますが、適切な食事とライフスタイルを心がければ無症状で過ごすことができます。

発症の原因


憩室は、先天性のものと後天性のものとがあります。

後天性の大腸憩室炎は、主に食生活が関係しています。そもそも大腸憩室炎はかつては欧米人の病気で、和食を中心としていた日本人には稀でした。しかし食生活の欧米化とともに、食物繊維が少なく肉などのタンパク質が豊富なメニューが中心となったことをきっかけに、日本での発症者も増加傾向にあります。

欧米的な食生活は消化吸収の際に腸に負担をかけ、また食物繊維の作用が少ないため便の量も減り、さらに大腸の運動に負荷をかけてしまいます。こうして大腸が頑張りすぎることや、便の量が減って便秘気味になることが憩室が発生する原因と言われています。また年齢も憩室の発生に関係があり、高齢になるほど憩室はできやすいと言われています。

症状について


大腸憩室炎の症状は、腹痛とお腹を押したときの圧痛が主です。次いで下痢や便秘が発生し、腹部の膨満感も感じられるようになります。また炎症が起きているため出血も起こりやすく、便に鮮血が混じることもあります。

この炎症が慢性的に続けば、貧血を初めとした血液検査上の異常が現れます。何より大腸は便が通過する臓器なので細菌感染が起こりやすく、菌血症が全身に回れば、発熱や腹膜炎、身体のあちこちで炎症が起きて敗血症を合併する可能性もあります。

かつて日本人に発生する憩室は大腸の左側が多かったですが、食生活の変化にともない右側に好発するようになってきています。左側であれば無症状で経過することも多い憩室炎ですが、右側では症状が出やすく重症化することもあります。

治療方法


大腸憩室炎を治療する上では、大前提として、和食も取り入れたバランスの良い食事を心掛けることが大切です。洋食でも、動物性タンパク質を減らしたり食物繊維を積極的に増やしたりといった工夫が求められます。また炎症に対しては、病院で処方される消炎剤や抗菌薬で治療するのが一般的です。出血や発熱がある場合は菌血症になっている恐れがあるため、内服だけでなく点滴や入院での治療が必要となる場合もあります。

なお、症状がひどい場合や長期にわたる場合は、腹膜炎や腸閉塞を起こしている可能性もあるため、外科的な手術による治療も視野に入れます。

おわりに:敗血症の要因にもなる大腸憩室炎。まずは食生活の見直しを

腹痛や便秘、下痢といった症状を繰り返す大腸憩室炎。放置して悪化すると敗血症などの重篤な症状を引き起こす恐れがあるので、早期発見と早期治療が欠かせません。薬物療法を続けることも大切ですが、食生活の見直しもしっかり行うようにしましょう。

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