記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「肘内障(ちゅうないしょう)」という症状をご存知ですか?子供の腕の脱臼のことで、特に小学校入学前の小さなお子さんを育てている最中の保護者の方には、ぜひ知っていただきたい症状のひとつでもあります。以下で詳しく解説していきます。
肘内障とは子供の腕の脱臼のことで、腕をひねったり手を引っ張ったり鉄棒にぶらさがるなどした時に起こりやすい症状です。5歳以下の子供に多く、これは7歳くらいまで肘の関節は骨の形成が不完全なことが関連しています。そのため、小学生くらいになると脱臼しにくくなります。
肘内障になる主な原因は、誰かに不意に手を引っ張られたり、転倒した際に手をついたりすることです。まれに寝返りなどで腕を捻ることでも起こる可能性があります。
肘内障が起こると自然に戻ることもありますが、無理に修復しようとしたり放置したりせずに必ず医師に診てもらうことが大切です。病院で適切な治療をして整復することで痛みがなくなります。
肘内障になると、肘が伸びたままだらんとなった状態で曲げられなくなったり、曲げようとすると激しい痛みで泣き出したりという症状があらわれます。痛みは、手首や肩にまで影響することがあり、肘ではなく肩や手首が外れたと思うこともあります。
子供は痛みを上手く伝えることができないので、気になる症状があれば整形外科を受診するようにしてください。なお、原因がはっきりしていない時に痛がっている場合や腫れがある場合は、骨折の可能性があります。骨折の場合は、圧痛が伴うという特徴があります。
肘内障では、脱臼の際の衝撃で関節を痛めている可能性があるので、病院で正しく診察してもらうことをおすすめします。
病院では、まず肘内障かどうかの診断を行います。痛みのない部分から触り始めて、どこから痛みが生じているのかを調べます。発症の原因がはっきりしない場合は、完全脱臼や骨折でないかどうかをレントゲンで確認します。
肘内障の治療では、肘の関節を捻って元に戻す整復術を行います。整復する際には痛みが生じますが、元に戻った後は痛みがなくなります。腕を普通に動かすことができれば治っているサインですが、いつまでも痛がる場合は、正しく整復されていない可能性が高いです。
子供は、一度脱臼すると癖になりやすく、肘内障を繰り返すことで骨の成長が妨げられ、成人しても肘が抜けやすいという症状に悩まされることがあります。整復から5日後くらいまでは再び脱臼しやすいので、外から強く引っ張ったりすることのないように注意が必要です。肘内障を何度も繰り返すようなら、肘のサポーターを付けることをおすすめします。
お子さんの肘が不自然な状態で伸びていたり、曲げようとすると痛みを感じたりする場合は、肘内障の可能性があります。その場合はすぐに病院に連れて行き、その後も再発しないよう、ケアを徹底しましょう。