老化で起こる変形性脊椎症の症状とは

2017/10/18 記事改定日: 2019/4/3
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

変形性脊椎症は老化が原因で起こる背骨の病気です。背中や首、腰などの痛みや腕や脚のしびれが主症状になりますが、悪化すると脊柱管狭窄症につながるリスクがあります。この記事では変形性脊椎症の症状について解説しています。

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変形性脊椎症の症状

変形性脊椎症の最も代表的な症状は背骨に関する痛みです。特に動きだしの時に強く痛みを感じることが特徴で、朝の寝起きのときや座っている状態から立ち上がるときに痛みを感じやすくなるといわれています。動いている最中は痛みを感じにくいという特徴はありますが、骨棘が神経を圧迫したり刺激することで足のしびれや痛みといった神経症状も出ることがあるので、安心はできません。

痛みが強くなると痛みがでないようにかばうため、可動域が制限されます。可動域の制限が起こると、身体を動かせる範囲が狭くなってしまうため姿勢や動きに偏りができてしまい、脊椎への負担のかかり方にも偏りがでてしまい変形がさらに進んでしまうのです。

変形が進み神経への圧迫が慢性化すると、筋力の低下や感覚障害を発症しひどいときには日常生活がままならなくなってしまう場合もあります。

変形性脊椎症と脊柱管狭窄症

変形性脊椎症が進行すると、脊柱管が狭くなる「脊柱管狭窄症」に発展することがあります。脊柱管狭窄症は加齢による背骨の変形や、椎間板の変形によって脊柱管が狭くなることで発症する病気です。脊髄の圧迫が慢性化し重症になると、長く歩くと足に痛みや痺れを感じる(間欠性跛行)や、排尿障害、排便障害などの症状が現れるようになり日常生活に支障をきたすようになります。

脊柱管狭窄症に発展する前に整形外科などで適切な治療を行うことが大切になってきます。

変形性脊椎症の原因って?

変形性脊椎症は、椎骨の関節軟骨がすり減ることで骨が変形することです。背骨が上手く動かなくなり、痛み以外にも様々な症状が起こりますが、自覚症状が何もない場合には特に治療の必要はありません。

変形性脊椎症が進むと、椎骨の間にある椎間板も加齢に伴い変形していきます。椎間板が変形し薄くなってしまうと、脊椎が不安定になり、安定性を高めるために骨棘ができることがあります。この骨棘も変形性脊椎症のひとつであり、骨棘が神経を刺激したり圧迫したりするようになると、痛みやしびれを生じることが多くなってきます。

変形の原因

骨の変形が起こる最も大きな原因は老化現象です。長い期間にわたり、背中の骨に負担がかかることで、徐々に軟骨や椎間板が変形していくことで起こります。
これは老化現象であり、スポーツや肉体労働で、長い期間、身体を酷使してきた人に限らずどんな人にも起こりうる症状です。また上記で説明したように椎間板の変性が変形性脊椎症(骨棘形成)の原因になりますが、反対に変形性脊椎症が原因で可動域が制限され椎間板ヘルニアになってしまうこともあります。このふたつはどちらも老化により悪化する可能性があるので、注意しましょう。

変形性脊椎症を予防するにはどうすればいい?

変形性脊椎症は、加齢によって生じる椎間板などの変性が原因になります。このため、発症を完全に抑えることはできませんが、以下のような対策を行うことで症状の進行を抑えることが可能です。

  • 背筋や腹筋を鍛える
  • 前かがみの姿勢にならないよう日頃から背筋を伸ばすよう心がける
  • 重い物を持ち上げるなど腰に負担がかかりやすい動作はなるべく避ける
  • 適度な運動習慣を身に付ける
  • 一日の中で日光に当たる時間を少しでも作る
  • 食生活を整え、骨粗鬆症の発症を防ぐ

おわりに:症状が現れているなら要注意。念のため病院へ

変形性脊椎症の主な原因は老化です。そのため、どんなに注意していても起こってしまう可能性があります。症状がなければ治療の必要はありませんが、悪化して脊柱管狭窄症に発展してしまうと日常生活に支障がでることもあるので注意が必要です。腰や背中などに痛みや違和感がある場合は、念のため整形外科で検査してもらいましょう。

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椎間板ヘルニア(27) 排尿障害(19) しびれ(53) 変形性脊椎症(5) 脊柱管狭窄症(8)