【永井先生自筆コラム】シリーズ③ 『管理地内喫煙不可』の意味

2017/10/18

永井 太郎 先生

記事監修医師

東京医科大学免疫学分野講師

永井 太郎 先生

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

『敷地内喫煙不可』としている医療機関

『敷地内喫煙不可』としている医療機関がある。まあ、禁煙外来を保険適応で行う条件になっているからな。一方、ビル等の中にある医療機関は『ビル等の敷地内が喫煙不可になっていないのに禁煙外来を保険適応で行っている』ので、おかしいように感じていた。で、調べてみたら、条件は正確には敷地内喫煙不可ではなくて管理地内喫煙不可なんだな。
ところで、『管理地内喫煙不可』とはどういう意味なのだろうか?自分は当然こうだと思っていた。

単に『管理地内で喫煙できない』だけではない。職員だけでなく出入り業者も他の患者さんなども含めて、管理地内にいる者すべてがタバコの悪臭有毒臭がしない。だから、患者さんなどは安心して利用できる。

しかし現実は、「管理地内で喫煙しなければいいだけだ。タバコの悪臭有毒臭がするのは問題ない。」と考えている低レベル人間が多く存在している。こういう医療関係者のことは、同じ医療人として恥ずかしく思ってしまう。困ったものだ。

飲食店に置き換えた場合

飲食店で考えてみよう。自分は喫煙不可をこういう意味だと考えている。

店内で喫煙できないだけでなく、タバコの悪臭有毒臭がしてもいけない、店外であっても飲食中に喫煙してはいけない。タバコの悪臭有毒臭のする客や飲食中に喫煙する客は店が利用を断ってくれるから安心して飲食できる。

しかし現実は、『店内で喫煙しなければいい。タバコの悪臭有毒臭がしても問題ないし、店外であれば飲食中に喫煙しても問題ない。タバコの悪臭有毒臭に対して苦情を言う客は利用を断るから、安心して喫煙してくれ。』となっている。実際、俺様は喫煙不可の店で他の客のタバコ臭に苦情を言ったところ、
「ガマンできないのなら利用しないでくれ、帰ってくれ。」
と言われたことがある。他の客に迷惑をかけないようにしている客が悪者にされるなんて、おかしなものだよね。
俺様の夏の服装は短パンTシャツなのだが、ドレスコードの確認をしたらこう言われたことがある。
「不快に思うお客様がいるかもしれないのでor接待に使うお客様もいらっしゃるので、そのような服装での利用は断ります。」
そうならそうでいいんだけど、同じ店(喫煙不可と案内している。)で喫煙に関して確認したら、こう言われたんだよね。
「飲食中にどうしても喫煙したいお客様もいらっしゃいますから、店外であれば飲食中でも喫煙は認めています。タバコの臭いは問題なしとしています。」
こんな考えで自分の料理や飲み物で金を取れるとしているのは、思い上がりも甚だしい。

医療人として(持論)

都の職員はこう思っていることだろう。
「こういう者ばかりなら豊洲の地下水なんてまったく問題にならず、築地から豊洲への移転は計画通りにできたのに・・・。」
タバコの悪臭有毒臭に対して苦情を言ってきた患者さん等に医療機関が同じような対応
「医療機関利用中であっても、どうしても喫煙したいという利用者もいるので、タバコの臭いだけなら健康に問題なしだから、管理地内でなければ喫煙を認めている。これがイヤなら他の医療機関を利用してくれ。」
をしたら、管理地内喫煙不可にしている医療機関はもちろん喫煙所を設けている医療機関だって、世論から叩かれてしまうよね。こういういいかげんな飲食店を反面教師とし、われわれ医療人は行動していかなければならない。

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