栄養失調の症状にはどのようなものがあるの?

2017/10/24

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

細くなりたいという一心で過度な食事制限をし、「栄養失調」になってしまう方は特に女性に多いとされています。ただ、栄養失調は身体にさまざまな悪影響を及ぼす原因となりうるものです。今回の記事では、そんな栄養失調の症状や栄養失調が招く身体の不調について解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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栄養失調とは?


健康な体を維持するためには、食事からしっかり栄養を摂ることが大事ですが、その栄養が十分に得られず栄養失調となっている人も少なくありません。

栄養失調とは名前の通り、食事からの栄養が不足している状態のことを指します。貧困などで食事が不足し、十分な栄養が得られていない場合もあれば、ダイエットなどで極端な食事制限をしてしまうことも栄養不足の原因となります。

そして、しっかり食べているつもりでも偏食などかなり食事に偏りがある場合、カロリーが足りていても体に十分な栄養が不足している可能性があります。 栄養失調になると体を動かすエネルギーも不足してしまいますので、様々な不調があらわれ、不健康な状態になってしまいます。

栄養失調の症状にはどのようなものがあるの?


栄養失調になると、まず体重の減少、子供の場合は発育不良が起こります。外見の変化としては、痩せているにもかかわらず、お腹がふくらむということがあげられます。また、顔のむくみ、肌のハリやツヤがなくなるといった症状もあります。さらに髪の毛にも影響が出やすく、髪が細くなる、ハリがなくなる、色が褪せるといった変化がみられることもあります。

体調の変化としては、腸の吸収能力の低下に伴う下痢、血圧の低下、体温の低下、脱力感が起こりやすくなります。 鉄分が不足している場合は貧血が起こりやすく、頭痛や立ちくらみ、めまい、耳鳴りなどの様々な症状が出てきます。 さらに、低血糖の場合はふるえ、動悸、不安、発汗といった症状が出ることもあります。

栄養失調になるのはどうして?


「栄養失調=戦後など十分な食物が得られない時代に起きていたもの」というイメージが強いかもしれませんが、食事が満足に得られる現在でも起こることがあります。

まず、体重の増加を気にするあまりに、野菜だけ食べる、食事を抜くなど極端な食事制限は栄養失調の原因で、こちらは若い女性に多い傾向にあります。また高齢者の場合は食べる量が減り、あっさりとした食事を好むようなるため栄養が不足してしまうことも少なくありません。

このほかでは極端な偏食のため、栄養に偏りがあることも原因として考えられ、こちらは子供に多い傾向にあります。 大人の場合もインスタント食品に頼る、お菓子を多く食べて食事を十分にとらない人も注意が必要です。

栄養失調が原因で病気になることがあるって本当?


ダイエットで食事をかなり制限している人は、栄養失調だけでなく摂食障害になる可能性もあります。体重の増加を気にするあまり、拒食症に陥ったり、さらに反動で過剰に食べて、その後吐いてしまう過食症に陥ったりすることもあります。

ほかに、鉄分が不足した場合は貧血が起こりますし、カルシウムが不足した場合は骨粗しょう症にもつながります。なお、女性には生理(医学的には月経というのが一般的です)が止まる、生理不順が起きるなど生理に関するトラブルも起こりやすくなります。

さらに、栄養不足は免疫力の低下や皮膚トラブルだけでなく、消化機能の低下や、栄養の吸収率の低下を招いてしまう恐れがあります。

おわりに:栄養失調による悪影響はさまざま。栄養バランスのとれた食事を

キレイになるためのダイエットでも、栄養失調に陥ってしまうと、肌のツヤや髪のハリ感がなくなるなど美容面で悪影響が現れることがあります。さらに深刻化すると摂食障害などの別の病気を引き起こす恐れがあるので、栄養バランスの整った食事を心がけることが大切です。

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