ものもらいが「人から人」にうつることはあるの?

2017/10/31 記事改定日: 2019/8/23
記事改定回数:1回

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

まぶたが腫れてかゆみが出るものもらいは、細菌の感染で起こる病気なので「人から人にうつる」を思っている人もいると思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?
この記事では、ものもらいの感染について解説していきます。

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ものもらいとは

ものもらいとは、まぶたにある皮脂腺や汗腺に黄色ブドウ球菌と呼ばれる細菌が炎症を起こすことで起こる病気です。子供からお年寄りまで年齢に関係なく起こることのある病気で、地域によってはものもらいではなく、めばちこやめいぼという名前で呼ばれていることもあります。

原因

ものもらいの原因菌の黄色ブドウ球菌は、人間の体のあちこちに存在している菌で普段は無害です。
ただ、免疫力が低下していると細菌に負けて炎症が起こり、ものもらいになってしまいます

子供の場合は砂場で遊んだ手で目を触ってしまったり、衛生的ではないタオルを使い続けるといったことで、細菌が目に入ることが原因で起こることもあります。

ものもらいは周りの人にうつる?

ものもらいの原因菌の黄色ブドウ球菌は皮脂腺や汗腺に感染するので「人から人にうつる」ことはありません

「ものもらいができたあと、反対の目に新しくできてしまった」というケースも、反対の目にうつったわけではなく、免疫力が低下しているために左右の目に細菌感染が起きてしまった可能性が高いでしょう

また、家族で同じタオルを使用しても、ものもらいがうつる可能性はありません。家族内でうつったように見えた場合は、風邪が広まっているなど家族全体の免疫力が下がっていることからものもらいになったと考えられます。

周りの人にうつる可能性がある目の病気は?

ものもらいは周りの人にうつることはありませんが、ウイルスが原因で発症する目の病気は周りにうつる可能性があります。

まずひとつめが流行性角結膜炎です。流行性角結膜炎は「はやり目」とも呼ばれていて、めやに、充血、まぶたの腫れといった症状が出ます。アデノウィルス8型による感染が原因で、周りの人にうつる可能性があります。

また、咽頭結膜炎もそのひとつです。プール熱とも言いますが、アデノウィルス3型の感染で目の充血の他に高熱が出るなど、全身症状が特徴です。

そのほか、エンテロウィルス70型の感染で起こり、白目に出血するのが特徴の急性出血性結膜炎も、周囲にうつる可能性のある目の病気です。急性出血性結膜炎は感染力が非常に強く、周りにうつりやすいので注意しましょう。

ものもらいは眼科で診てもらったほうがいいの?

ものもらいは自然に治ることもありますが、眼科で治療した方が回復も早く、重症化の予防もできます。また、自身でものもらいと思っていても、実は別の病気が背景にある場合もありますので、まぶたのしこりや痛みなどものもらいが疑われる症状が見られる場合にはできるだけ早く眼科を受診しましょう

治療では抗生物質入りの目薬を使用されるのが一般的ですが、強く膿んでいるような場合には抗生物質の内服治療やものもらいを切開して膿を排出させる治療が必要になることもあります。
治療期間は重症度によって異なり、軽度な場合は目薬を一週間ほど使用すれば徐々に軽快していきます。一方、切開が必要になるような重症ケースでは、1か月ほど通院治療を続けることもあります。

おわりに:ものもらいはうつらない!ただし、他人にうつる目の病気はある

ものもらいは周囲にうつることはない病気です。ただ、ものもらいに似た症状が出るウイルス性の目の病気は周囲にうつることがあります。何の病気にかかっているのかを正確に把握するためにも、早く治すためにも、まずは眼科で診てもらいましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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