口唇口蓋裂の原因は遺伝? それ以外にも原因はあるの?

2017/10/24 記事改定日: 2019/7/11
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」という病気をご存知ですか?日本人の赤ちゃんに比較的多いとされる、先天性の奇形の一種です。では、口唇口蓋裂は何が原因で引き起こされるのでしょうか?遺伝によるものなのでしょうか?

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口唇裂と口蓋裂

口唇口蓋裂は、日本人の500人に1人の割合で起こると言われている先天性の奇形です。ほかの人種と比べ、日本人は発症率が高いとされています。

通常、胎児は成長する際に、顔は左右から伸びて中央で結合するように作られていきますが、この際に結合がうまくいかないことで口唇口蓋裂が起こります。このうち、唇の結合がうまくいかずに唇に裂け目が入るのを「口唇裂」、口の中の結合がうまくいかずに口の中の上あごの部分に裂け目が入り、口の中と鼻腔がつながってしまう状態を「口蓋裂」といいます。合併することも珍しくなく、あごが裂けている場合もあります。

口唇口蓋裂の原因

口唇口蓋裂の原因は、はっきりと分かっていません。遺伝的な要因があるとも言われていますが、100%の確率で遺伝するわけではありません。

遺伝以外には、妊娠初期の段階で胎児に外部から力が加わったこと、妊娠中の栄養状態やストレス、薬や放射線の影響も原因のひとつ考えられています。妊娠中の風疹感染も原因としてあげられています。

口唇口蓋裂の発生率は、高齢出産になるほど高いというデータもありますが、原因が分からないものが全体の70%と高い割合を占めています。なお、先天性の病気なので、妊娠中のエコー検査により、生まれる前に分かることもあります。

症状と合併症

口唇口蓋裂の赤ちゃんは、口を閉じることができないので、ミルクを飲めずに摂食障害につながることがあります。また、言語の獲得が難しく発音障害になることも多いです。そのほか、口の中と鼻の中が通じているために扁桃炎や中耳炎といった症状が起こりやすくなることもあります。

そして、口や鼻に関係のない合併症も起こることがあります。多指症や心臓の心室中隔欠損症、ダウン症などがその例です。いずれの合併症も生後すぐに発見され、必要に応じて処置が分かれるので、医師と相談して決めていきましょう。

治療方法

口唇口蓋裂の場合、赤ちゃんのうちはミルクを飲むため、あるいはあごの発育のために装具を使う治療を行うことになります。見た目に関しては、口唇裂は生後3~6カ月、口蓋裂は生後1年~1年半ほどで手術を行えば、正常に近い形に形成することができます。そのため、多くのお子さんは将来的に言葉や食事も問題なく行えるようになります。

合併症がある場合は、それぞれの症状に合わせて治療を進めていくことで、問題をひとつずつ解決していきます。心配なことがあれば、医師の説明を聞き、どのように治療をするのかを聞いておくと安心して治療が受けられます。

おわりに:口唇口蓋裂は専門の医療機関で早期治療を

口唇口蓋裂の原因はわかっていない部分が多く、摂食障害や発音障害などに発展する可能性もある病気です。ただし早期に適切な治療を行えば、見た目や生活機能の問題もその分改善しやすいので、医師と相談しつつ根気よく治療を行っていきましょう。

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