記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
夏場はとくに発症リスクの高い「熱中症」ですが、もしも家族や友達に熱中症と思われる症状がみられたら、どう対処すればいいのでしょうか?適切な対処法を詳しくご紹介していきます。
熱中症とは体温が上昇して脱水状態になり、臓器不全や血流低下を引き起こしている状態のことです。多くの場合、気温の高い環境にいた、あるいは、激しい運動したことにより、体温が上がったままになってしまったことで引き起こされます。体調が良くないときは、それ以外のときと比べて、さらに熱中症を発症しやすくなります。
人間は気温の高い場所にいたり、激しい運動をしたりすると体温が上がりますが、汗をかく事によってその熱を逃がして体温を下げる働きが体に備わっています。しかし汗をかくために必要な水分が不足していると、体温が下がらずに脱水症状が起こります。 つまり水分の補給不足だと体温を上手く下げることができなくなるので、水分不足も熱中症を引き起こす大きな原因のひとつといえます。
熱中症は重症化すると意識を失って、最悪の場合は死に至ることもあります。初期症状ではそこまで重篤な症状は出ませんが、初期症状が出ている段階で正しく対処しないといけません。
初期症状としてよくあるのは、めまいやたちくらみ、吐き気です。このような症状が出たらできるだけ涼しくて直射日光があたらない場所に移動し、水分を摂るようにしましょう。初期症状が出た段階で対処しないと確実に症状が悪化して重症化してしまいます。
なお、めまいや吐き気の症状が出た時点ですでに熱中症を発症してしまっているので、本来であれば症状が出る前からこまめに水分補給をし、熱中症にならないように予防をすることが大切です。子供はとくに熱中症にかかりやすいので、予防対策はしっかり行いましょう。
近くに熱中症と思われる人がいる場合は、すぐに応急処置をすることが大切です。まず熱中症になった人を直射日光が当たらない涼しい場所に移動させます。クーラーがきいた室内や車内に移動できる場合は、そこに移動させましょう。
涼しい場所に移動させた後、厚着している場合はその衣類を脱がせ、体温が下がりやすい状況を作ります。さらに塩分と水分が同時に補給できる飲み物(経口補水液やスポーツドリンクなど)を飲ませて水分補給をさせます。 スポーツドリンクをすぐに用意できない場合は、とりあえず水分だけでも補給させてください。
初期段階の熱中症であれば、すぐに応急処置をすれば症状がおさまり回復することもありますが、ある程度重症化した熱中症は応急処置をしただけでは回復しない可能性があります。明らかに症状が重い場合や処置をしても回復がみられないときは、救急車を呼びましょう。子どもが発症した場合は症状が重くなりやすいので、回復がみられない場合や水分を口から摂れない場合は、すぐに病院を受診しましょう。もし、呼びかけても反応しない・言動がおかしい・普段通り歩けない・痙攣や高熱がみられる・汗が出ないなどの症状があるときは、危険な状態ですので、すぐに救急車を呼んでください。
熱中症は、発症したときにすぐに対処できるかどうかが大切です。そのためには一人ひとりが熱中症の対処法に関する正しい知識を得ておいて、いざというときにすぐ正しい対処ができるようにしましょう。