記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/24 記事改定日: 2019/3/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「めまい」は非常に一般的な症状ですが、実はめまいにはいろいろな種類があるということをご存知ですか?今回の記事では、種類別にめまいの症状などを解説していきます。
めまいと一口に言っても、「ふわふわする感じ」「ぐるぐる目が回る感じ」「クラッとくらむような感じ」など様々なタイプがありますが、ほとんどの場合、体のバランスを保つ機能に異常をきたすことであらわれます。
体のバランスを保つための平衡感覚は内耳や脳、神経などがつかさどっており、どの器官が原因で起こっているかでめまいのあらわれかたは違ってきます。
命にかかわるようなことはほとんどありませんが、脳の病気が原因となっている場合や、早期発見が重要になる病気が原因のことも考えられるので注意が必要です。
ふわふわ浮く感じ、ゆれている感じがするめまいは「浮動性・動揺性めまい」と呼ばれます。このタイプは、平衡感覚をコントロールする小脳や脳幹、それらの情報を脳へ伝える前庭(ぜんてい)神経と呼ばれる部分に障害があるときに起こることが多いです。
なお、浮動性・動揺性めまいのほかに難聴や耳鳴り、頭痛、顔面の違和感などが伴う場合は「脳腫瘍」が疑われます。
これは前庭に腫瘍ができると脳にからだのバランスをコントロールする情報が伝わらなくなるのです。このような症状がある場合には直ちに医療機関を受診しましょう。
また、脳幹にある視床下部は自律神経の中枢であるため、自律神経失調症やうつ病でも浮動性・動揺性めまいが起こることもあり、抗生物質や精神安定薬の副作用によっても起こることがあります。
目が回る、天井がグルグルまわるといった感覚のものを「回転性めまい」と呼んでいます。
このタイプは多くの場合「三半規管」に問題があることが多いです。
内耳にある三半規管はリンパ液が満たされていますが、リンパ液が増えすぎて「内リンパ水腫(ないりんぱすいしゅ)」ができてしまったり、炎症を起こしたりすることでからだのバランスをとるための神経が障害され、めまいが起こります。
この内リンパ水腫ができる病気には「メニエール病」があります。
なお、「良性発作性頭位めまい症」によっても回転性めまいが起きることがありますが、良性発作性頭位めまい症は三半規管のリンパ液の中に「耳石(じせき)」が混入することで起こると考えられています。
その他のめまいとしては、低血圧症や貧血によって起こる失神性のめまいがあります。失神性のめまいでは立ちくらみが起こるのが特徴で、これは脳に流れている血液の量が一時的に不足することによって引き起こされます。
なお、血圧は自律神経によってコントロールされているため、ストレスで自律神経が乱れることでも失神性のめまいは起こりやすくなります。また、自律神経の乱れからくるめまいは肩凝りを伴うことがあります。
めまいの原因は多岐に渡ります。疲労やストレスなど生活習慣が大きく関与しているめまいでは、市販のサプリメントや栄養補助剤、漢方薬などが効く場合もあります。
しかし、めまいは病院で検査をしないと正確な原因は分かりません。中には、ストレスによるめまいだと思っていても、脳腫瘍が原因だった…ということもありますので、めまいがある時は早めに病院を受診して原因を特定しましょう。
自己判断で市販薬の服用を続けると、病気の発見が遅れることもありますので医師の診断を受けた上でそれぞれの原因に合った治療を続けることが大切です。
一言でめまいといっても、「回転性めまい」「浮動性・動揺性めまい」などさまざまな種類があります。自分のめまいがどのタイプなのかによって対処法が変わってくるので、何度もめまいを繰り返す、長期間めまいが治らないときは早めに病院でチェックしてもらいましょう。