境界性人格(パーソナリティ)障害の特徴と原因

2017/10/24

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

境界性人格(パーソナリティ)障害とは、自分の感情をコントロールできない人格障害(パーソナリティ障害)であり、社会にうまく適合できないため、様々なトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。この記事では、境界性パーソナリティ障害の特徴と治療について解説します。

境界性人格(パーソナリティ)障害とは


自分の感情をコントロールするのが苦手なため、人間関係のトラブルを起こし、自傷行為にまで及んでしまうのが境界性人格(パーソナリティ)障害です。
現在確認されている様々なパーソナリティ障害のひとつであり、思考、感情、人との関わり方、衝動の制御の4つのうち2つ以上において柔軟性がない状態のことを指しています。

また、境界性というのはかつて2つの精神疾患の境界にあると考えられていたことに由来します。その2つとは、強いイライラ感が症状として現れる神経症(不安障害:不安やストレスで心が不安定になり社会に適合できなくなる障害)と現実が冷静に認識できない統合失調症のことです。現代において境界線がはっきりしないことは、この例に限らず数多く存在しています。結果的にこれが社会に上手く適用できない生きづらさを抱え込む原因となっていると考えられています。

どんな特徴があるの?


境界性パーソナリティ障害は女性に多く、20~30代がピークとされています。感情をコントロールできない、見捨てられる不安を常に感じている、自傷行為、依存性に陥りやすいなどが特徴です。
気分やめまぐるしく変わったり、感情の起伏が激しいため癇癪を起こしやすいため、良好な人間関係を築くことは難しくなります。また自殺のそぶりや自傷行為を繰り返すことでも人間関係を悪化させています。
そして、健康を損なう行為に依存しやすくなることも特徴です。薬物やアルコール、セックス、万引き、過食、買い物などの依存症が例として挙げられますが、これは見捨てられる不安を避けるためや相手に興味を自分に持ってもらいたいために、このような行動を起こしてしまうと考えられています。

原因は?


境界性パーソナリティ障害の原因には様々な説がありまだ定まっていませんが、遺伝要因と環境要因の2つが相互作用することで発症するという考えが有力です。
遺伝要因としては、衝動性、怒り、不安、ストレスを感じやすくなることに関係した脳の部位(前頭前皮質や扁桃体、視床下部、セロトニン系など)に機能的な問題が起こっている可能性が指摘されています。

一方、環境要因としては、子供時代の見捨てられた経験があり、そのときの不安と恐怖が発展しているのではと考えられています。この中で特に指摘されているのは幼少期の母子関係で、虐待や拒絶などの行為をされていると母親と安定した関係を築けず、自己否定感を持ちやすくなるといわれています。そうなると他人に対して心を開かず攻撃的になってしまったり、良好な人間関係を築けなかったり、人生を不安視し自傷行為や依存症に陥ってしまいやすくなると考えられているのです。

治療はどのようにするの?


境界性パーソナリティ障害の治療には心理療法と薬物療法があります。まず特徴的な不安や怒り、落ち込みなどの感情に対しては薬物療法を行いますが、そこでは抗うつ剤や抗不安剤が使われることが多いです。それと同時に心を安定させ感情をコントロールする心理療法を並行して行うのが一般的です。そしてカウセリングを通じて主体性が持てるように訓練していきます。

ただし根本的に作用する薬はないため、あくまで症状を抑えることが薬の使用の目的です。ただ薬には副作用があり健康を損なう可能性があります。

また治療は長期にわたり行われるため、家族や周囲の方々のサポートは欠かせず、治療に挑みやすい環境を作ってあげることが大事です。拒絶せず、過保護せずの程よい距離感を持たせ、自分で責任を持って治療に挑ませるように努めましょう。

おわりに:境界性人格(パーソナリティ)障害は、家族のサポートのもとじっくり腰をすえて治療する必要がある

境界性パーソナリティ障害の治療は、長期にわたることがほとんどです。家族のサポートが必要不可欠であり、体への影響もあるため薬の使用にも注意する必要があります。適度な距離感を保ちつつ、本人の意思で治療に挑ませるように工夫しながら、じっくりと治療に取り組んでいきましょう。

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