腹圧性尿失禁はなぜ起こる? どうすれば症状を改善できる?

2017/10/24

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

急に立ったときやくしゃみをしたとき、尿が漏れてしまう「腹圧性尿失禁」。少しの衝撃で尿が漏れてしまうのはなぜでしょうか?有効な対処法はないのでしょうか?

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腹圧性尿失禁とは


尿失禁の一つである腹圧性尿失禁とは、急に立ち上がったとき、重いものを持とうと下腹に力を入れたとき、風邪などでくしゃみや咳をしたとき、ほんの少しあるいは少し多目の尿が出る現象です。

腹圧性尿失禁は出産を経験した女性や太り気味の人、運動不足の人、加齢によって筋肉が衰えた人に起きやすいです。腹圧性尿失禁の経験のある方は少なくなく、尿漏れの量に合わせてパッドを下着につけたりなど工夫をすれば今までどおりの生活が送れるので、そこまで問題にはなりません。なお、においが気になるでしょうから、パッドは抗菌、防臭性のあるものにしましょう。

急に立ち上がったときに漏らしてしまうのはなぜ?


急に立ち上がったとき等に尿を漏らしてしまう原因は、骨盤底筋という筋肉の衰えにあります。骨盤底筋は子宮や膀胱の下にある筋肉ですが、出産で傷ついたり、加齢で機能が衰えたり、運動不足で筋肉が十分発達していなかったりすると、失禁につながることがあるのです。

少しの漏れであれば病気の可能性はほとんどありませんが、全く膀胱が機能していないという様子であれば病気が疑われますから、その場合は早く病院を受診をしてください。

腹圧性尿失禁の症状を改善する方法は?


まず太り気味の方は体重を減らすことが大切です。そして、骨盤底筋を鍛える体操をすれば、たいていの方は2週間から3か月くらいで改善します。

骨盤底筋体操は寝ころんでも、立ったままでも出来ますが、体の力を抜き、リラックスして行うようにしてください。やり方ですが、朝昼晩と眠る前にそれぞれ5秒間、肛門、尿道、膣をギュッと強く意識して締めるのを20セット程度繰り返します。この体操をすることで、骨盤底筋は鍛えられて、尿失禁を防ぐことが出来ます。年齢は関係なくいくつの方でも効果が得られますので、一度やってみてください。

また、尿失禁を改善するためには体を冷やさない、水分を摂りすぎない、利尿作用のあるお酒は控えめにするなどの工夫も大切です。そして、トイレは我慢せずに早目に行くことを心がけましょう。

そして、いまは尿失禁に対応できる下着も出ているので試してみましょう。パッドなどと併用するとより安心です。なお、パッドの場合は、女性は生理ナプキンの薄いようなものを装着します。男性の場合はカップ状になっているものを前の部分につけることになります。これらを装着をしておくことで、安心してお出かけや活動が出来るようになるのでおすすめです。

おわりに: 骨盤底筋を鍛えて腹圧性尿失禁の症状を改善しよう

実は多くの方に発症経験のある「腹圧性尿失禁」。多くの場合は骨盤底筋の衰えからくるものなので、この筋肉を鍛えれば驚くくらい症状が改善することも。ご紹介したセルフケアをぜひ試してみてくださいね。

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