失神はなぜ起こる?危険な失神の兆候に注意しよう!

2017/10/23 記事改定日: 2018/7/11
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

失神とは、何らかの原因により脳の血流が遮断され意識を失ってしまうことです。一過性のものがほとんどですが、中には危険な原因が潜んでいることがあります。この記事では、失神発作が起こる原因と対処法、危険な失神の兆候について解説しています。

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失神とは?

失神とは、病気など何らかの要因が引き金となって、脳の内部の血管が一時的に遮断されることで瞬間的に意識を喪失する発作症状のことを言います。ほとんどは、発作後数分で意識が回復する一過性のものです。
失神発作は立っている状態のときに起こることが多く、発作前には悪心やめまいを感じたり、視界が真っ暗になるような感覚に陥るように感じることがあるようです。

いつ意識を消失するかは本人にも分からないことから、発作時に転倒し、身体を強打して負傷してしまうケースも少なくありません。

このような二次災害的な被害を受ける可能性も大きいことから、失神の兆候かみられたときは周囲の人間が注意してあげましょう。また、発作があまりに頻発している場合は何らかの病気が原因となって意識の消失がおこっているケースもありますので、速やかに病院を受診するようにしてください。

失神の原因

失神の原因は、神経調節性失神、起立性低血圧、心血管性失神の3つに大きく分けられます。

神経調節性失神

恐怖やショックといった強いストレスや急な動きなどが原因で、交感神経系の働きが抑制され、末梢血管の脈拍が、極端に低下し、血圧が一時的に急降下することで意識を失います。

起立性低血圧

寝ている状態から起き上がった際に、血圧が急激に下がることで意識消失が起こります。飲酒や加齢、出血などが原因になることもあります。

心血管性失神

心臓や脳血管などが病気になったことが原因でおこる発作です。発作は一過性のものですが、症状が進行すると命の危険が高まります。心血管性失神をおこす病気には、心臓の弁の機能が低下する弁膜症、心筋に問題が起こることで本来の働きを阻害される心筋症、大動脈解離、肺塞栓症、くも膜下出血などがあります。これらの病気が原因の場合は、早急な対応が必要となります。

特に注意が必要な失神とは?

高齢者に失神が起こった場合は、心臓病や降圧剤の服用が原因になっている可能性もあるので早めに受診するようにしましょう。
また、全く前兆症状がなく意識消失をしてしまうような失神や、心臓病や高血圧、肺塞栓症などの持病がある方の場合も注意が必要です。このような失神がみられた場合は、すぐにかかりつけ医に相談し、早めに対処するようにしましょう。

初めての失神にも注意!

その他、今まで失神を経験したことのない人が失神したときも必ず病院で検査してもらうようにしてください。体内の出血などの深刻なトラブルが原因で失神が起こることもあり、このようなトラブルは年齢に関わらず若い人にも起こり得ます。何の処置もせずに放置していると、取り返しがつかない状況に陥ってしまうこともあるので、安易に見過ごさず、必ず病院で検査を行い発作原因を突き止めるようにしましょう。

注意すべき失神の特徴

失神の原因は様々ありますが、中には心臓や脳の重篤な病気が原因のこともあります。次のような失神がある場合には、早めに病院を受診し、適切な検査・治療を受けるようにしましょう。

  • 何の前触れもない突然の失神
  • 運動などの後に生じる失神
  • 胸に痛みや違和感を伴う失神
  • 腹痛などの体の痛みを伴う失神
  • 冷や汗を伴う失神

失神したときの対処法

周囲の人が失神した場合には、慌てずに適切な対処を行う必要があります。
まず、呼吸や脈が正常かを調べ、怪我の危険のない平坦な場所に移動します。そして、脚を少し高めに挙げて様子を見ましょう。ベルトなどで締め付けの多い衣類を着ているときは、緩めて全身の血行状態を改善するといいです。
また、嘔吐が見られるような場合には、仰向けではなく、横向きに寝かせ、嘔吐物が喉に詰まらないように気を付けてください。

すぐに意識が戻るようであれば特に問題ないことが多いですが、意識が戻らない場合には速やかに救急車を呼び、救急隊からの指示に従いましょう。

おわりに:病気が原因の失神もある。頻繁なものや危険な兆候があるものは早めに病院で検査しよう

失神発作は、通常一過性のものであり、長く続くことはありません。しかし、原因の中には深刻な病気やトラブルもあるため、頻繁に失神発作が起こる場合や、上記で説明したような危険と思われる失神がみられたときは、早めに病院で検査して原因を究明し、適切な対策をとるようにしましょう。

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失神(9) くも膜下出血(35) 起立性低血圧(18) 弁膜症(5) 大動脈解離(17)