変形性脊椎症の治療はどうやって進めていくの?

2017/10/23 記事改定日: 2019/4/3
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

変形性脊椎症は老化などが原因で脊椎(背骨の骨)が変形する整形外科疾患です。痛みやしびれなどの症状が現れますが、中には無症状の人もいます。
この記事では、変形脊椎症の治療について解説しています。

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変形性脊椎症の原因とメカニズム

背骨は「椎骨」とクッションの役割を果たす軟性組織の「椎間板」が積み重なってできています。変形性脊椎症はこれらの組織に負荷がかかり、ダメージが蓄積することが原因で発生します。

たとえば、老化をすると椎間板は弾力がなくなり安定性が低下して、衝撃を吸収する力も減っていきます。
その結果、脊椎同士の安定性を高めるために骨棘(こっきょく)を作るようになります。このようにしてできた骨棘が、神経などの周辺組織を刺激すると、痛みがしびれなどの変形性脊椎症の症状が現れるようになります。

変形性脊椎症は治療した方がいい?

変形性脊椎症は加齢による老化が主な要因です。X線(レントゲン)で撮影すると高齢者の多くに脊椎の変形がみられますが、その中の全ての人に症状が現れるわけではありません。
このように、骨の変形がみられても痛みやしびれ、過度の可動制限などの症状がなければ治療の必要はないとされています。

反対に、骨に変形がみられなくても痛みやしびれなどの症状がでることもあります。この場合は、骨や椎間板などが原因ではない可能性があり、精密な検査が必要な場合があります。

つまり、首や肩、背中や腰に痛みやしびれなどの症状があるときは治療が必要な可能性があるということです。「老化だから・・・」と軽く考えず、早めに整形外科で検査してもらいましょう。

変形性脊椎症の治療方法とは

変形性脊椎症の治療は対症療法からはじまります。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの鎮痛剤や温熱療法、腹筋や背筋などを強くするリハビリやコルセットなどの固定具など、さまざまな保存療法を組み合わせながら、症状を和らげる治療が施されます。

保存療法で症状が治まれば経過観察になりますが再発するケースも多いので、予防のためにも医師や理学療法士の指導のもとストレッチやトレーニングなどのリハビリを続けるようにしてください。

リハビリ

変形性脊椎症では、腰回りの筋肉の強化と柔軟性の維持を目的としたリハビリが行われます。
具体的には、「腰痛体操」と呼ばれるものが推奨されており、横になった状態で両膝を抱えて胸に近づける運動、膝を立てて横になりおへそに力を入れて上半身だけ起こす運動、横になった状態で膝を伸ばしたまま足を上げたり回したりする運動が行われます。

しかし、変形性腰椎症の重症度によっては、無理なリハビリを行うことで、かえって症状がひどくなったり、脊髄にダメージを与えてしまうようなケースも少なくありません。
リハビリを行う際には、必ず医師や理学療法士の指導の下で、それぞれの症状に合ったメニューを行うようにしましょう。

変形性脊椎症の手術

上記で説明したように、変形性脊椎症の治療の基本は薬物治療や理学療法などの保存療法です。
ただ、保存療法では根本的な治療はできないため、日常生活に支障をきたすほど症状が悪化してしまったものについては手術が検討されます。

手術は骨棘を切除して取り除く「骨棘切除術」や神経の通り道を広げて圧迫を減らす「除圧固定術」などがあり、状態にあわせて適切な手術が提案されます。
手術にはリスクがありますが、変形性脊椎症が進んで脊柱管狭窄症になってしまうと歩行困難や排便障害などの深刻な症状を抱えてしまうケースもみられます。リスクやデメリットも含めて医師から十分な説明をしてもらい、納得のいく治療方法を選択するようにしましょう。

おわりに:変形性脊椎症の治療は保存療法が中心だけど、手術が必要な場合もある

変形性脊椎症は、骨に変形がみられても無症状のことも多く「老化だから・・・」軽視されがちです。無症状のものは治療の必要はありませんが、症状があるのに放置して脊柱管狭窄症に発展してしまうと日常生活がままならなくなってしまうこともあります。背中や腰、首などに違和感や痛み、しびれなどがあるときは、念のため整形外科で検査してもらいましょう。
また、手術が必要なケースもありますが、手術を受ける前には必ずデメリットの説明をしてもらい、納得したうえで意思決定するようにしてください。

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