重症筋無力症は何が原因なの?症状は何がきっかけで悪化する?

2017/10/25 記事改定日: 2019/6/19
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

国の指定難病にも定められている「重症筋無力症」。全身の筋力が低下し、まぶたが垂れてしまったり、食事が飲み込めなくなったりする病気ですが、いったい何が原因で引き起こされるのでしょうか?

重症筋無力症は何が原因なの?

重症筋無力症とは、手足を動かすとすぐに疲れがでたり、物が2重になって見えたりなどの症状が起こる病気です。

重症筋無力症は、脳から出た指令が筋肉に伝わらなくなることが原因で起こります。通常人間の脳からは、特に意識をせずとも身体を動かす際にどこをどのように動かすという指令がでて、神経を介してそれが筋肉に伝わり手足などを動かしています。

その脳からの指令を伝える物質を受け止める働きをしているのが、「アセチルコリン受容体」という物質なのですが、これに対する抗体(抗アセチルコリン受容体)があるとアセチルコリン受容体は正常に働かなくなってしまいます。

重症筋無力症はこの抗アセチルコリン受容体が体内でできてしまうことが原因と考えられていますが、なぜ抗アセチルコリン受容体が作られるかはわかっていません。

重症筋無力症になるとどんな症状が現れる?

重症筋無力症になると目の周囲の筋肉が障害されやすく、眼瞼下垂という眼のまぶたが下がってきてしまう症状がみられます。また、眼球の動きが悪くなると物が二重に見えたりします。

目の症状以外にも、喉の筋肉が動かしにくくなることで嚥下障害が出たり、口の周りの筋肉の動きが悪くなることで言葉がはっきりと発音できなくなる構音障害などの症状が現れたりします。
さらに全身の筋肉にまで症状が広がると、しびれた感じがして手足の筋力が低下してしまう症状もあらわれます。

時間が経ってくると徐々に筋力が低下してくるという特徴があるため、夕方以降にこれらの症状が顕著になる傾向にあります。

症状悪化の原因

重症筋無力症は適切な治療を続けることで、約7割の人は通常の生活を送ることができるとされています。しかし、風邪をひいて体調が悪化すること、ストレスがたまることなどをきっかけに症状が悪化し、呼吸筋の麻痺を引き起こす「クリーゼ」になることもあるため注意が必要です。

その他にも、抗生物質や睡眠薬など一部の薬剤が重症筋無力症の症状を悪化させることがわかっていますので、重症筋無力症の人は担当医以外の医療機関で投薬治療を受ける際は必ず病気について相談するようにしましょう。

おわりに:呼吸困難につながる恐れもある重症筋無力症。疑わしい症状があれば早めに検査を

重症筋無力症は、未治療のまま症状が進行してしまうと、呼吸筋麻痺で呼吸ができなくなり、命にかかわる恐れも出てきます。ご紹介した症状で当てはまるものがあれば、早めに病院で検査を受けることから始めましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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