依存性人格障害とはどのような障害なのか?

2017/10/24

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

依存性人格障害とは、自分に自信が持てずに他人に依存してしまう人格障害です。他の種類の人格障害と複合的に発症することもあり、うつ病や統合失調症を発症することがあります。この記事では依存性人格障害の症状と治療について詳しく解説していきます。

依存性人格障害とは


依存性人格障害は、自分に自信を持てず、親しい他人に心理的に依存することにより、社会生活に支障をきたす病気です。この病気では、親や配偶者など面倒をみてくれる人と離れることを極度に恐れ、自分一人では十分に生活できないと思いこむ傾向が顕著であり、過剰な欲求のもと周囲の誰かにしがみつく従属的な行動に出るようになります。

依存性人格障害の割合は、全ての人格障害中の約2.5%を占め、精神科外来での報告数は最多といわれています。性差で見ると女性に多く、また家庭内では下の子であることが多いとされます。原因自体は不明ですが、小児期に病気で長期療養を強いられた体験が、後に発症につながる可能性があるともいわれます。
2001~2002年に行われた「全米におけるアルコールおよび関連疾患に関する全国疫学調査」によれば、依存性人格障害の推定有病率は0.49%、「同調査パートⅡ」では0.6%でした。また傾向として、分離不安障害や親子共依存症、恋愛依存症を伴っている場合が多くみられます。

症状や特徴について


依存性人格障害の症状として、ささいなことでも他人からの助言がなければ決定できず、生活のほとんどの部分で他の誰かの決断を待ち、責任をとってもらおうとする点が挙げられます。
これは、自分のことを自分でする能力に強い不安を感じているためです。その結果、孤独を恐れ誰かに一緒にいてもらいたいという願望が生まれます。こうした欲求が、年齢や相応の状況にみあった要求を超える場合に、依存性人格障害と診断されます。

またこの障害は、統合失調症や演技性、自己愛性人格障害などと相まって複雑な症状を生み、うつ病や統合失調症を合併することもあります。

依存性人格障害の特徴は、非難を浴びたり意見を否定されたりするとすぐに傷つく点です。その結果、相手の拒絶を恐れて何も言い返せず、その意見に従ってしまいます。支援してくれる人が間違っていても同意したり、離れたくない一心で、配偶者による暴力など、精神的・肉体的な苦痛を甘受するケースもあります。

治療方法


治療は精神療法と薬物療法に分かれます。

精神療法では、人間関係における依存のパターンを把握し、徐々にそのパターンを変えていく方法がとられます。自己主張の訓練なども含め、自分というものを外部に発信していく練習も効果的とされます。また洞察療法を用いることで、自分がなぜ依存的な行動をとるかを理解できるようになり、治療者の支えによって依存性が薄らぎ症状が改善に向かう可能性があります。行動療法や家族療法、集団療法が用いられることもあり、成功した多くの症例があります。

薬物療法は、依存性人格障害による抑うつや不安、併存する精神疾患に対して用いられます。薬物療法が必要か否かは、個々の病状により異なり、強い落ち込みに対しては抗うつ薬、強い不安感には抗不安薬……など、状況に応じて選択されます。
パニック発作、もしくは強い分離不安を伴う症例には、イミプラミン(トフラニール)やベンゾジアゼピン、セロトニン作動薬が効果があるとされます。抑うつ状態、もしくは引きこもりが精神刺激薬に反応する場合は、それらの薬物が処方されるケースもあります。

周囲の人はどのように接すればいいか?


依存性人格障害の相手に接するうえで重要なのは、あえて代理行動しようとしないということです。本人の自主性と自立心を育むうえで支障になるからです。依存される人間側からは踏み込まないようにすることで、少しずつ自分の考えを促すようにしましょう。

また相手が不安を抱いていることを前提に、実際の努力や行動の過程を褒めるようにします。「自分が尊重されている」と感じると、自信の醸成につながるからです。

さらに、周囲が焦らず、本人のペースを尊重することも重要です。周囲が自分を信頼し見守ってくれていると実感できると、その人なりのペースで確実に成長していきます。

おわりに:依存性人格障害にも様々なタイプがある。専門家に相談しながら根気よく治療を続けよう

依存性人格障害を乗り越えるためには、まず自分の現状を自覚したうえで、心の奥底の寂しさや不安を解放することで自立心を育む必要があります。
依存性人格障害にも様々なタイプがあるため、専門家に相談しながら根気よく治療を続けましょう。

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