脳動静脈奇形(AVM)とは、どんな病気? 治療の必要性はあるの?

2017/10/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

脳動静脈奇形(AVM)は、本来直接つながるはずのない脳の動脈と静脈がつながってしまうことで血管の損傷などが起こる病気です。症状によって早急な治療が必要な場合と経過を観察するケースがあります。

脳動静脈奇形(AVM)とはどんな病気か?

脳動静脈奇形(AVM)は脳血管の動脈と静脈がナイダスという血管の塊のようなもので直接つながってしまうことで生じる病気です。

通常、酸素と栄養を運ぶ血液が流れる動脈は枝分かれをして細い毛細血管となって細胞に酸素と栄養を届け、二酸化炭素と老廃物を受け取って血液に戻します。その後、不要なものを受け取った血液が流れる毛細血管が集まり、静脈となって心臓へ戻っていきます。
しかし、脳動静脈奇形の場合は動脈と静脈が毛細血管を介さずにつながっているため、高い血圧と血流による負荷で静脈が破れてしまい、脳出血やくも膜下出血を発生してしまうのです。

以前は生まれつきの病気だと考えられていましたが、最近では生後に発症する病気ではないかと考えられています。

どのような症状が現れるのか?

脳動静脈奇形の症状は出血する場所によって異なります。
代表的な症状は以下の通りです。

・頭痛、嘔吐、意識障害など(くも膜下出血の症状)
・手足のしびれ、運動障害など(脳内出血の症状)

また、中には出血しないために症状が出ない人もいますが、血管の異常が周囲の脳の活動に影響して、ひきつけの発作やけいれん発作などを引き起こす可能性があります。

検査と診断

まずは、脳動静脈奇形の存在位置や周辺の脳組織の状態を調べるためにCTやMRIを使った検査を行います。加えて、脳動静脈奇形の大きさ、場所、形、そしてこの奇形に関与する動脈、静脈の数など、さらに詳しい情報が必要なときに行われるのがカテーテルによる脳血管造影です。
最終的な診断は、上記のような検査で得た血管の状態を観察した上で下されます。

尚、検査を受けたい場合には、血管造影検査が出来る脳神経外科のある病院を受診する必要があります。

治療方法

脳動静脈奇形には、大きく分けて3つの治療法があります。
それぞれについて見ていきましょう。

開頭を伴う外科手術

脳動静脈奇形に関わっている動脈や静脈、奇形部分を周囲の脳組織から切り離して摘出する手術で、脳動静脈奇形治療のメインとなっている方法です。
摘出する部分の大きさや場所にもよりますが、正常な血管と異常な血管を見分けながら、奇形部分のみを取り出さなければならないため、脳神経外科手術の中でも難易度が高く時間が必要となります。

血管内治療

まずは、カテーテルという医療器具を動脈に挿入します。
挿入したカテーテルを通して血管に塞栓物質と呼ばれる物質を注入し、奇形部分を塞ぐ方法です。

放射線治療(ガンマナイフ)

主に小型の脳動静脈奇形を対象として行われる、動静脈奇形に集中的に放射線照射を行う方法です。
切開の必要がないという意味では身体への負担が少ないですが、放射線を照射してから患部が完全に閉塞するまでには半年~1年ほどの時間がかかります。

また、小型の脳動静脈奇形の場合は放射線のみで完治することができますが、ある程度の大きさになると放射線治療のみで治しきることは難しいので、開頭手術や血管内治療と組み合わせて行うことが多いです。

おわりに:脳動静脈奇形は治療が必要なものと必要でないものがある

奇形部分の血管が破裂した場合はかなりの確率で再出血すると考えられるため、早急に治療を受けたほうが良いですが、一度も破裂していない脳動静脈奇形の場合には経過観察を行うのが一般的です。
自己判断は難しいので、治療法は医師とよく相談して決めましょう。

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