手根管症候群の症状と原因について

2017/10/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

中高年以降の女性が突然発症することのある「手根管症候群」。発症するといったいどんな症状が現れるのでしょうか?原因や治療法と併せて解説していきます。

手根管の構造


手根管症候群とは、手の平のつけ根部分にある手根管にて痛みやしびれが起きる疾患です。手の外科領域で扱う疾患の中で、腱鞘炎に次いで多く見られる症状です。

手根管とは、手首の部分にある骨と手根靭帯に囲まれた、トンネルのような空間です。手根管は伸び縮みできないほどの狭いスペースで、中には1本の正中神経のと、9本の指を曲げる筋肉の腱が通っています。この正中神経が何らかの原因によって圧迫されると、小指以外の指で痛みやしびれが起こる手根管症候群の症状が現れます。

手根管症候群の症状


初期にしびれや痛みが生じるのは人差し指、中指ですが、最終的には親指から薬指の親指側までの3本半の指がしびれるようになります。これは正中神経の支配領域だから生じるもので、小指にはしびれは生じません。またしびれるのは手の平だけで、手の甲には症状は現れません。しびれの感覚は、ピリピリ、あるいはジンジンしびれる感じとたとえられます。

症状は、急性期には夜中や明け方に強く現れ、目を覚ますと手がしびれて痛み、さらにこわばり感を伴います。手を振ったり、指を曲げたり伸ばしたりするとしびれや痛みは緩和されますが、症状が進行すると、親指の付け根の筋肉がやせ、親指と人差し指で丸(OKサイン)をつくることができなくなります。この結果、ボタンかけ、お金をつまむ動作など細かい作業が難しくなり、日常生活に不自由をきたす場合もあります。

手根管症候群の原因とは?


手根管症候群は、さまざまな原因があり、ひとつに限定することが困難な場合があります。たとえば、手の酷使、女性ホルモンの乱れ、妊娠によるむくみ、腱鞘炎やケガによるむくみ、骨折や腫瘤(しゅりゅう)による手根管の圧迫、血液透析(とうせき)によるアミロイドという物質の沈着、痛風などが原因になりえます。この結果、仕事やスポーツで手関節を酷使している人、透析をしている人などに多く発症が見られます。

しかし最も多く特徴的なのは、中高年の女性に見られる、特発的で原因のはっきりしない発症です。必要に応じて採血を行い、原因を調べる場合もあります。

診断と治療法


手首の真ん中(手根管のある部分)を診察用ハンマーなどで叩くと、しびれて痛みが指先に響く場合、手根管症候群と診断する基準の一つとなります(ティネルサイン徴候)。また手首(手関節)を直角に曲げて手の甲を合わせ、1分間以内にしびれて指先の感覚異常が生じる場合も、判断材料となります(ファーレン徴候)。

また、障害を起こした神経の部位を正確に診断するため、筋電図検査を行い、手根管をはさんだ正中神経の伝導速度を測定する場合もあります。腫瘤が疑われるものでは、エコーやMRIなどの検査が必要になります。

手根管症候群の診断が下された後は、痛み止め(消炎鎮痛剤)やビタミンB12を服用して治療していくのが一般的です。これらのほか、塗布薬、運動や仕事の軽減、「シーネ」という固定具を用いた局所の安静、腱鞘炎を治めるための手根管内腱鞘内注射といった保存的療法も行われます。

症状が強い場合や、慢性化し長期にわたり発症している場合は手術が必要になります。現在は大きな皮膚切開の必要性は低く、多くの場合、正中神経に対する圧迫を除去するために横手根靭帯(屈筋支帯)を切り離す手術が行われます。

おわりに:手や指のしびれを感じたら、早めに病院へ行こう

手根管症候群を発症すると、頚椎症などの他の病気も併発していることがあります。合併症が起きていると一方は治癒してももう一方は完治しない場合があったり、親指の基部の筋力低下が進行すると手術後の回復も難しくなったりするので、手や指のしびれを感じたら、早めの受診を心がけましょう。

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