睡眠相後退症候群 ― 夜型の人が注意するべき症状とは

2017/10/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

深夜番組を見るのが楽しかったり、ついゲームに熱中したりして、気づけば毎日の就寝時間が遅くなってしまっていませんか?そんな夜型の方は要注意なのが、「睡眠相後退症候群」という病気です。以降で詳しく解説していきます。

睡眠相後退症候群の症状とは


睡眠相後退症候群とは、入眠の困難と覚醒の困難が日常的に続く症状です。発症すると、一般的な時刻に眠りについて目覚めるという行為が、慢性的に困難になります。

この病気を発症した多くの患者にとって、寝つけるのは午前3時~6時になってからです。結果として、会議や学校の試験など大事なスケジュールがある時でも、なかなか予定時刻に起床できません。無理をして起床しても、眠気が絶えず、頭痛や頭重感、食欲不振、疲労感などを常に抱えているため、社会人や学生としての生活が難しくなります。

睡眠相後退症候群と診断されるのは、本来眠るべき時刻に寝つけず、入眠時刻が遅くなったままの状態が1ヶ月以上続く場合です。発症年齢については思春期から青年期が多く、発症確率は人口200~1000人に1人で、うつ病などの精神疾患を併発しやすいとされます。

何が原因で起こっているのか


睡眠相後退症候群の原因は、通常の生活パターンが何らかの原因で崩れ、体温リズムやホルモンリズムが3~4時間遅れることにあります。たとえば深夜まで受験勉強に打ち込んだり、夜中にゲームやネットサーフィンに熱中したりしていると、脳が興奮状態になってなかなか寝付けなくなります。

また睡眠相後退症候群は心の病気とも呼ばれます。無理に寝つく努力をして精神的な負担を感じたり、努力しても寝つけず鬱状態に陥ったり、登校や出社、家事や育児ができない自分を追い込んでしまったりして、悪化の一途をたどることがあります。

加えて、早期受診を怠りがちなことも問題の1つです。これは、病気という認識が乏しく単に怠けているだけという自責の念から、問題を1人で抱え込んでしまうためです。

どんな治療が効果があるのか


軽症の場合は、毎日10~15分ずつ寝る時間、起きる時間を早くするようにします。

この方法で効果が得られない場合は、「光療法(ブライト療法)」が用いられます。これは、小型の白色灯ランプをタイマーセットしてベッドサイドに置き、毎朝1万ルクスの光を30分以上浴びる方法です。体内時計のリズムを早め、さらに就寝時間も早めるのに有効とされており、継続することで徐々に通常の睡眠時間帯へ戻すことにつながります。

ほかの治療法として、「時間治療」もあります。これは睡眠時刻を早めるのではなく、逆に毎日5~6時間ずつ遅く寝る方法です。この方法を1クール5~6日続けることにより、体内時計を調整します。睡眠時間帯を早めることは大変ですが、遅らせるのは本人にとってそれほど難しくないことから考えられた治療法です。

また、「薬物療法」による治療が行われることもあります。一般的にはメラトニンが主に用いられますが、病院で行う薬物療法は単なる睡眠薬の処方ではありません。睡眠相後退症候群の場合、原因は体内リズムの乱れにあるため、リズムを取り戻さない限り根本的な治療につながらないからです。したがって病院としては、作用時間が短くても、眠くなる時間の調整が期待される薬を処方することになります。

予防するにはどうすればいいか?


予防策としては、日中に活動して規則正しい生活を送ることが欠かせません。また日中に日光を浴びることも有効とされます。

就寝リズムを再度崩してしまうと意味がないため、病院の治療と併せ、生活指導を受けることも効果的です。生活指導は、生活のリズムを医師に定期的に伝え、それに対してアドバイスを受けるという形で進められます。具体的には、カフェインやアルコールの制限、テレビ視聴やパソコン使用を控えるよう助言がされたりします。場合によっては、入院して生活リズムの適正化を図るよう勧められる可能性もあります。

おわりに:生活習慣を見直しても睡眠のリズムが改善しないときは、病院での治療を検討しよう

睡眠相後退症候群は、単なる睡眠時刻の乱れではなく疾病の一種です。生活習慣を見直しても睡眠のリズムが改善しないときは、病院での治療を検討し、医師の指導の下で、しっかり自身の睡眠をコントロールしていくようにしましょう。

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