身体表現性障害とは ~ 医学的に説明できない症状がある病気 ~

2017/11/24

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

検査をしても特に異常はみられないのに、痛みなどの身体症状が継続的に現れている――それはもしかしたら「身体表現性障害」かもしれません。以降でその特徴や具体的な治療法について、詳しく解説していきます。

身体表現性障害とは

身体表現性障害は自覚的な症状に見合う身体的異常や検査結果がないにも関わらず、痛みや吐き気、しびれなど多くの身体的異常が長期にわたって続く病気のことを言います。

身体表現性障害は、医学的には「身体症状症および関連症候群」と呼ばれる病気です。この病気では、人によっては体に力が入りづらくなったり、けいれん発作があらわれることもあります。特に身体表現性障害は、身体所見や検査所見からは十分に説明できない多くの異常が体のさまざまな場所で生じ、また変化する可能性もあることから、個人差が非常に大きいことが特徴の一つとされています。

生じる身体異常は非常に多様であるものの、代表的なものとしては、めまい、ふらつき、耳鳴り、部分的な筋力低下、頚部の痛み、下痢、吐き気、喉がつまる感じ、全身倦怠感などが挙げられます。なお、身体表現性障害の人は、自分の異常に対する反応として思考、感情、行動が強くなる傾向があることから、現在では身体表現性障害は精神疾患の一つであると考えられています。

身体表現性障害のタイプ

身体表現性障害には様々な障害のタイプがあり、具体的には、身体化障害、心気症、疼痛性障害などがあります。

まず身体化障害は、痛みや胃腸障害などが続きますが、適切な診察、検査を行っても身体的な病気や薬による影響としては十分に説明できないもののことを言います。身体的異常は持続しますが、それが特に社会生活などに支障をきたす障害になっている場合を特に身体化障害と言います。より具体的に言えば、身体の各部位の痛み、胃腸障害、性機能の障害、運動や感覚の障害などを挙げることができます。

次に、心気症とは心気障害とも言われ、自分が重篤な病気にかかっているのではという恐怖に囚われてしまう病気を言います。この場合、自覚的な異常を認めることはできますが検査で大きな異常は認められないことが特徴です。

さらに、疼痛性障害は痛みに心がとらわれてしまう病気のことを言います。身体的な原因がないにも関わらず、無意識に抑圧しているストレスが痛みとして表れている場合、疼痛性障害と診断されます。

身体表現性障害の治療法

 

身体表現性障害の治療法には、薬物治療と心理療法の2つがあります。中心となるのは薬物治療です。

まず、薬物治療では、抗うつ剤を中心として治療を行います。ただし、身体的疼痛(身体的異常)が認められる場合には、その原因に応じて治療薬を用います。たとえば、身体的異常として痛みが強い場合には、「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)」と呼ばれるタイプの抗うつ薬が処方されることもあります。

一方、心理療法とは、身体表現性障害の原因となりうるようなストレスについて理解したり、その対処法を考えていったりすることで症状をコントロールすることを試みる治療法です。症状が悪くなるきっかけや状況、逆に症状が良くなるような因子をカウンセリングなどによって明確にすることによって、病状が軽くなるような行動を促します。心理療法は身体表現性障害を完全に無くすことをめざした治療法であるというより、身体症状をうまくコントロールできるようにすることを目指した治療法であると言えます。

おわりに:精神疾患の一種と考えられる身体表現性障害。専門の科を受診することが重要

身体表現性障害は、ストレスなどの心理的な要因が原因で発症する精神疾患の一種です。検査をしても異常が見つからないのに、継続的な症状で苦しんでいるのであれば、精神科などの専門の科を受診することが大切です。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

治療(462) 心気症(2) 身体表現性障害(5) タイプ(4) 身体化障害(1) 疼痛性障害(2)