記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
耳の前や頬のあたりに、生まれつきイボのようなものがある場合、それは「副耳(ふくじ)」かもしれません。今回の記事ではこの副耳について、発生する原因や治療の必要性などを解説していきます。
副耳とは、耳の穴の前や頬の部分に皮膚に覆われたイボ状のできもののことです。生まれつきのもので、母体のお腹の中にいる頃に耳ができていく過程で自然発生的に生じます。ほとんどの場合片方の耳の前に一個だけできますが、時には両方の耳の前にできていたり、複数個できている場合もあります。出生者およそ1000人のうち15人程度に発生するとされていることから、それほど珍しいものではありません。大きさも様々で、ごま粒程度のものから、大豆程度の大きさのものまであります。なお、副耳は皮膚だけがイボ状になっていることがほとんどですが、中に硬いしこりがある場合もあり、その場合は中に軟骨が入り込んでしまっている可能性があります。
副耳ができる要因としては遺伝要素が大きいと考えられています。ただし、両親や祖父母など近しい家族に副耳ができていなくとも、偶然できてしまう場合もあることから、赤ちゃんの頃にお母さんのお腹の中で耳や顔の発生過程で不具合が生じた場合にできるとも言われています。
副耳は珍しいものではありませんが、その発生メカニズムは未だに解明されていません。中には、耳介の変形や顔面裂、耳の病気を合併していることもありますが、そのような疾患と副耳の因果関係についても明らかにされているわけではありません。
副耳は温存してもほとんど生活に支障が出ることはなく、せいぜい根っこに湿疹ができる程度です。そのため、取り除くことに病理的な意義はほとんどありません。副耳を取り除く理由の多くが美容的な観点から行われます。
副耳の手術としては「結紮術(けっさつじゅつ)」と「切除術」があります。どちらの治療法が適しているかは、軟骨が含まれているか否かによって判断することができます。結紮術は、ナイロンの糸を縛り付け、イボを壊死させることによって1〜2週間で自然にとれるようにする治療法です。イボには血管もあり血液も流れているので根本を縛ることでこの部分の血流をストップさせ、細胞を壊死させます。
一方、イボに軟骨が含まれている場合には、軟骨は壊死しないため、切除術によって取り除かれます。ただし切除術では全身麻酔が必要となるため、麻酔が可能な年齢になってから手術を行います。
なお、どちらの治療方法を用いて副耳を取り除いたとしても、わずかな傷口が残る可能性はありますが、ほとんど目立つことはありません。
副耳は放置しても日常生活に大きな影響を及ぼすわけではないため、特に治療の必要があるものではありません。ただし見た目が気になる場合は、手術をすれば取り除くことができます。手術法は軟骨が含まれているかどうかによって異なるので、まずは病院できちんと診察を受けるところから始めましょう。