先天性耳瘻孔(じろうこう)ってどんなもの?

2017/10/30

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

無事出産が終わり、赤ちゃんの耳をみたら小さな穴があいていた――それは「先天性耳瘻孔(じろうこう)」という症状かもしれません。特徴や原因、治療法について解説していきます。

先天性耳瘻孔(せんてんせいじろうこう)とは

先天性耳瘻孔とは、生まれつき耳の周りの皮膚に小さな穴が開いている状態のことを言います。特に、耳の上前部に出ることが多いですが、耳たぶのあたりや、耳の穴の近くにできる人もいます。

先天性耳瘻孔の穴の大きさは針の穴程度で、決して大きなものではありません。そして正確にいえば、小さな穴が開いているように見えても、実は穴の下には袋状のものが隠れています。皮膚の中なので直接見ることはできませんが、指などで押すと中の分泌物が出てくる場合もあります。この分泌物は、汗や垢が混ざったもので、体に害があるものではありません。けれども、日頃洗うことができない部位なので、強いにおいを発します。知らないでいると、分泌物が出たときに驚いてしまうこともあります。

世界的には100人に1人ほどの確率で起こるものですが、民族によっては10人に1人に見られるなど、住んでいる地域によって差があります。日本の場合、100人の赤ちゃんがいたら、2~5人に先天性耳瘻孔の症状がみられ、それほど珍しい症状ではありません。中には両親のどちらかが先天性耳瘻孔で、生まれてきた赤ちゃんにも先天性耳瘻孔が出る場合もあります。

片耳だけに出る場合や両耳に出る場合など、赤ちゃんによって先天性耳瘻孔の症状は異なりますが、すぐに治療が必要な症状ではないので、多くの場合は経過観察で様子をみていきます。

穴が開いてしまったのはなぜ?

先天性耳瘻孔は、胎児のときに耳がうまく発育しないことが原因とされています。通常耳は、複数の軟骨が集まって形成されますが、このとき何らかの原因で小さな隙間ができてしまうと、天性耳瘻孔を発症するといわれています。遺伝的な要因もあり、両親のどちらか、もしくは両方が天性耳瘻孔であるときは、赤ちゃんにみられる確率が上がります。

先天性耳瘻孔は治療したほうがよい?

特に症状が出ていなければ治療の必要はなく、放置していても構いません。ただ、穴の中で細菌感染を起こし、痛みや腫れが出てくるような場合は治療が必要になります。ただの腫れであれば、消炎剤や抗菌薬の服用で治療できますが、膿がたまってしまうような場合は、切開して膿を出す治療が必要になります。何度も膿がたまってしまうケースでは、穴の奥にある袋を取り除く手術をすることもあります。まれに、手術をして取り除いたのに再発するということもあります。

なお、穴が気になって指で触る癖がついていると、雑菌が入り込んで炎症が起きやすくなってしまいます。できるだけ触らないようにして、清潔な状態を保つことが大切です。

おわりに:細菌感染を起こしている場合は治療が必要

先天性耳瘻孔は基本的には治療の必要のないものですが、細菌感染を起こしてしまった場合は治療が必要になります。症状の出方に応じて、適宜病院を受診しましょう。

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