記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/30 記事改定日: 2019/10/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
先天性耳瘻孔(じろうこう)は、赤ちゃんの耳のまわりに小さな穴があいていてしまうことです。
大切な赤ちゃんの耳のまわりに穴があくのは心配になりますが、すぐに治療する必要はあるのでしょうか。
この記事では、先天性耳瘻孔の特徴や治療について解説していきます。
先天性耳瘻孔とは、生まれつき耳の周りの皮膚に小さな穴が開いている状態になってしまうことです。
耳の上前部にできることが多いですが、耳たぶのあたりや、耳の穴の近くにできる人もいます。
穴の大きさは針の穴くらいで、穴の下には袋状のものが隠れていて、指などで押すと分泌物が出てくる場合があります。
分泌物は汗や垢が混ざったもので、体に害があるものではありませんが、日頃洗うことができない部位なので、強いにおいを発します。
片耳だけに出る場合や両耳に出る場合など、先天性耳瘻孔の症状は異なりますが、すぐに治療が必要な症状ではないので、多くの場合は経過観察で様子をみていきます。
先天性耳瘻孔は、胎児のときに耳がうまく発育しないことが原因とされています。
遺伝的な要因もあり、両親のどちらか、もしくは両方が先天性耳瘻孔であるときは、赤ちゃんにみられる確率が上がります。
先天性耳瘻孔は、単に「穴が開いているだけ」の状態のときは治療の必要はありません。
しかし、穴の中で感染が起きると痛みを生じるだけでなく、内部に膿が溜まって腫れたり赤くなったりすることがあります。
このような場合には、痛み止めや抗生物質による薬物療法が行われ、改善しない場合はさらに皮膚の一部を切開して内部の海を排出させる治療が必要になります。
また、先天性耳瘻孔への感染は再発を繰り返すことが多く、何度も炎症が生じるうちに穴が広がったり、深くなったりすることもあるので、その場合は穴を切除する治療が必要になることがあります。
先天性耳瘻孔は基本的には治療の必要のないものですが、細菌感染を起こすなどして痛みや腫れが出てきてしまったときは治療が必要になります。
気になる症状があるときは、早めに病院を受診し治療してもらいましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。