記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/10 記事改定日: 2019/12/16
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ひどい筋肉痛になると、腕を挙げたり歩くだけでもつらくて日常生活もままならなくなることもあります。このようなときに筋トレをしてもいいのでしょうか?
この記事では、筋肉痛の回復と筋トレとの関係性について解説しています。
筋肉痛には、即発性筋肉痛、遅発性筋肉痛、広義の意味で見れば肉離れも筋肉痛の一種になります。今回は一般的に筋肉痛でイメージされている遅発性筋肉痛について説明していきます。
遅発性筋肉痛は運動をした数時間後~2日後くらいに痛みが発生する筋肉痛です。なぜ筋肉痛が起こるかのメカニズムについてはいまだに医学的には完全には解明されていません。
現在考えられる原因として、運動後の乳酸の蓄積、筋繊維の損傷による炎症などが挙げられますが、どれも根拠に乏しく、従来主流であった乳酸の蓄積に関しては否定的な意見を持つ専門家も多いようです。
一般的には、筋肉痛のときには筋トレを極力控えるようにすることをおすすめします。
筋肉痛があるということは筋肉が傷つき弱っている状態です。
回復するためには栄養と休息が必要であり、部位にもよりますが筋肉の回復を待たずに毎日のように運動することは、非効率なばかりか逆効果になってしまうと考えられています。
超回復の理論には否定的な意見を持つ専門家もいますが、筋肉痛が起こるような高負荷のトレーニングをしたときは1~2日間程度休息をとってから筋トレを再開した方が効率よく筋力アップが見込めるでしょう。
また、痛みがともなったままの筋トレはフォームを崩す原因にもなります。間違ったフォームで筋トレすると効果が出づらいのですし、ケガなどのトラブルを招く原因にもなりかねません。
通常、小さい筋肉は早く回復しやすく、大きい筋肉は回復に時間がかかるといわれています。このように部位によって筋肉の回復時間は異なるので、本来はトレーナーなどの専門家に指導を受けながら筋トレのペースを計画していく方がいいでしょう。
あくまでも一般的な考え方としては、上記でも説明したように1~2日の休息期間を設けて筋トレすることをおすすめします。
ただし、腹筋のトレーニングは毎日でもいいとされていますし、大胸筋や大腿四頭筋などの大きな筋肉は中3~4日くらい空けてもいいという意見の人もいます。また、人によって回復の速さは違い、トレーニングの強度によっても筋肉痛の度合が変わってくることも忘れてはいけません。
専門家に聞く機会がないという方は、筋肉痛が治まり始めたタイミングを筋トレ再開の目安とした方がいいかもしれません。
痛みが多少残る程度であれば問題ありませんが、少し動かすだけでもつらい、普段の姿勢で歩くことができないような重度の筋肉痛が残っているうちはトレーニングはやめておきましょう。
運動後には筋肉に細かいダメージが加わるため、それを修復することで筋肉痛は改善していきます。このため、筋肉痛の回復には、筋肉の修復に必要な栄養素が必要となります。
必要とされる栄養素の代表的なものは
などです。
タンパク質は筋肉の主成分であり、修復や新たな筋肉を形成するのに不可欠な栄養素です。
などに多く含まれています。低カロリーでお腹にやさしい食材としておすすめできます。
糖質は運動によって消費された筋肉中のグリコーゲンの再合成を行うために必要であり、タンパク質と一緒に摂ることで筋肉の修復を早める効果が期待できます。
をデザートとして摂るのがおすすめです。
アミノ酸は筋肉を素早く回復させる効果があります。アミノ酸はタンパク質が体内で分解されてできる物質であり、筋肉を形成する主成分となります。
このため、筋肉の素早い回復を期待したいときには
などを摂ってみましょう。
これらの栄養素はプロテインやBCAAなどのサプリメントなどでも摂取できますが、健康のためにも食事に注意して筋肉の回復を高める食品を選ぶようにしましょう。
BCAAは筋肉を作る三種類のアミノ酸を含むサプリメントです。通常は食事やプロテインサプリメントなどで摂取したタンパク質が体内で分解されてアミノ酸が作られますが、BCAAにはアミノ酸そのものが含まれているため、分解~吸収の流れを必要としません。
つまり、BCAAは筋肉の損傷をより即効的に回復させる効果が期待できるのです。
このため、筋肉痛を効率よく回復させるためには運動中や運動前後にBCAAを摂取することが薦められます。
BCAAを多く含む食品には
などがありますので、運動後にはこれらの食品を多めに摂るようにしましょう。
筋肉痛を早く回復させるには、上で述べたような食材を積極的に取り入れることが大切です。ここでは、それらの食材を用いたおススメレシピを3つご紹介します。
鶏むね肉には良質なたんぱく質が含まれているため、筋肉痛の回復に有用な食材です。さらにカロリーも低いため、運動後の空腹を満たす「ガッツリ感」がありながら、ヘルシーに仕上げることができます。
鶏むね肉は適当な大きさにそぎ切りにします。ボールにカットした鶏むね肉、おろししょうが、おろしにんにく、塩コショウをお好みで入れてよく揉み込み、冷蔵庫で半日~1日置いて味を仕込みこませます。
そこにさらに適量の片栗粉をまぶして180度の油でカラっと揚げれば完成です。
豆腐は良質な食物性たんぱく質を豊富に含んでいて、ダメージを受けた筋肉の回復を促してくれます。また、トマトには疲労回復によいとされるビオチンが多く含まれます。
木綿豆腐はよく水切りし、トマトと共にお好みの薄さにスライスします。
器にスライスした木綿豆腐→トマト→青じその順に次々と並べ、適量のオリーブオイルと塩コショウ、お好みでレモン汁を回しかければ完成です。
豆乳はヘルシーで良質なたんぱく質を多く含み、ダメージを受けた筋肉の回復を早めてくれます。また、お好みで豆腐や鶏肉などを投入すればさらに効果が高まります。
水5カップにお好みでだしの素を大匙1~2、みそ、豆乳1カップを加えよく似立たせます。そこに、絹豆腐、そぎ切りにした鶏むね肉、白菜などを加えて煮込みば完成です。
筋肉痛が出たばかりのころやひどい筋肉痛が残っているうちは、筋トレをしても逆効果です。筋トレは1~2日程度の休息期間を設けて行っていきましょう。
ただし、筋肉痛から回復するペースは人によって違います。トレーナーや自身の体調と相談しながら、筋トレのメニューを作っていくことが大切です。