記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/27 記事改定日: 2018/6/4
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
走ったり登山をしたりなど、運動をした後に起こる「筋肉痛」。非常に一般的な症状ではありますが、そもそもこの筋肉痛はどういったメカニズムで発生するのでしょうか?予防法と併せてご紹介していきます。
筋肉痛が起こる原因は、「筋線維の炎症」主とされています。
たとえば、走るときには上半身から下半身までさまざまな筋肉に負荷がかかります。
特に走るときには、下半身の筋肉である
などへの負担は大きいものです。負担がかかった筋肉は、その負担を反発するべく伸縮を行うわけですが、収縮した状態から反発するときに、筋線維が切れるという現象が起こります。
たとえば輪ゴムを引っ張って放すとそのままの形で残りますが、時には引っ張ったまま切れてしまうことがあるのと同じように、限界値に達した筋肉の繊維が断裂してしまい、そこが炎症を起こすことで筋肉痛が起こると考えられています。
筋肉痛は筋肉中に乳酸がたまることが原因であるという説が古くから唱えられています。これは、酸性成分の乳酸が筋肉に蓄積することで、筋肉に炎症を起こすというものです。
しかし、乳酸は運動直後には確かに体内で増加しますが、すぐに体外へ排出されるため、筋肉に蓄積して炎症を引き起こす時間はないという考えもあります。
筋肉痛発生のメカニズムは正確に解明されていない部分も多く、このように乳酸との関りを否定する説も多々あるのです。
筋肉痛は基本的には運動をしたことがきっかけに起こる症状ですが、普段使っていない筋肉を使った時に起こる症状なので、必ずしも運動がきっかけになるとは限りません。つまり、突発的に日頃と違った姿勢をとった場合などにも起こる可能性があります。
筋肉痛は、運動をした翌日や翌々日などに体が痛いと感じる症状で、年齢問わず起こる症状ではありますが、大学生以降、特に社会人になってめっきり運動する機会がなくなってからは、ちょっとした運動ですぐに筋肉痛を起こす傾向にあるといわれています。
また、年齢が上がると筋肉痛が出るのが遅くなるという話を聞くかもしれませんが、筋肉痛が出はじめるタイミングと年齢に関係があるかどうかは解明されていません。
筋肉痛は、患部の筋線維が断裂もしくは炎症を起こしている状態です。たとえば、転んで擦りむいた箇所がヒリヒリと痛く感じる状態とまったく同じなので、「そっとしておく」「更なる刺激を予防する」ことが効果的といえるでしょう。
と言っても、筋肉は直接触れることはできませんから、間接的なケアを行うことになります。スポーツをしている人にとってはなじみ深い「アイシング」「ストレッチ」などは、筋肉の疲れや炎症を抑えるために非常に効果があります。また、入浴中や入浴後に患部をマッサージする方法も効果的です。
通常、筋肉痛は1~3日ほどで治りますが、痛みが長引く場合には医療機関で診察してもらうことも検討しましょう。
筋肉痛を予防するために最も効果が高い方法は、「常に筋肉に負荷をかける」ということを意識することです。忙しい中でも可能な限り運動をするなどして、筋肉に負荷がかかる状態を作るように意識することが大切です。
毎日1駅分を歩いて帰宅する方法ももちろん効果的な予防策ですが、ただ歩いているだけでは、いざ走った時に筋肉痛になってしまう可能性があります。まずは1日5分でも良いので簡単なランニングをするようにしたり、筋トレをして強めの負荷を筋肉にかけることを意識して生活をするようにしましょう。
インフルエンザなどの高熱がでる感染症や線維筋痛症、リウマチ性多発筋痛症、皮膚筋炎などの自己免疫疾患は「筋肉痛」を生じることが知られています。
これは、通常の筋肉痛とは異なり、感染症によって痛みを生じるプロスタブランジンが大量に産生されてリ、自己免疫疾患によって自分の筋肉が異物と認識されて攻撃を受けることで生じるものです。
感染症は高熱などの他の症状も現れますが、自己免疫疾患では他の症状が目立ちにくいこともあります。いつもと同じ生活を送っているのに筋肉痛が現れた場合や、筋肉痛が数日にわたって改善しないときは「単なる筋肉痛だ」と自己判断せず、病院を受診して相談するようにしましょう。
筋肉痛は、基本的には普段使っていない筋肉を動かしたときに起こるものです。つまり、日頃から運動習慣を身につければ、筋肉痛をある程度予防することができます。これを機に、ウォーキングや軽いランニングなどから始めてみてはいかがでしょうか。