妄想性障害(パラノイア)とはどのような病気なのか

2017/10/31 記事改定日: 2019/7/31
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「妄想性障害(パラノイア)」という病気をご存知でしょうか?被害妄想や誇大妄想など、妄想したことを現実のことと思い込んでしまう精神疾患の一種です。以降で詳しい特徴や原因、治療法などを解説していきます。

妄想性障害(パラノイア)とは

妄想性障害(パラノイア)とは、妄想が長く続く精神障害のことです。一般的には、現実では起きていないことを妄想する状態が1カ月以上持続し、かつそれが他の精神障害が原因でない場合にパラノイアという診断が下されます。

パラノイアはその症状によっていくつかの類型に分けられます。たとえば「被害型」は誰かが自分に嫌がらせをしている、持ち物がよく盗まれるといったように、自分が何らかの被害を受けているという妄想をするものです。そのほか、夫や妻、恋人といった愛する人が自分を裏切って浮気をしているという妄想をする「嫉妬型」、何か偉大なことを成した人物であるなど、自分がとても優れた人間であるかのように妄想する「誇大型」などがあります。

統合失調症との違い

妄想性障害(パラノイア)と似た精神疾患として、統合失調症があります。ただ、統合失調症は妄想を生じさせるという点は共通しているのですが、それ以外にも色々と症状が出るという点で相違しています。

統合失調症の場合は、幻覚や幻聴、感覚過敏、意味不明な言動、意欲の低下、感情の起伏が少なくなるといった妄想以外の症状も現れますが、パラノイアではこのような症状は基本的にあらわれません。このため、統合失調症よりも軽い精神疾患ととらえられがちですが、それだけに病気だと認識されにくい疾患でもあります。

また、パラノイアの場合は妄想以外の部分では通常の人と変わらないように生活が送れるため、本人も周囲の人たちも精神障害の存在に気付きにくいという点も、統合失調症との相違点の一つだと言えるでしょう。

妄想性障害(パラノイア)を発症する原因

妄想性障害(パラノイア)の発症原因は、現時点ではまだ明らかになっていません。ただ、考えられる原因として、ひとつには脳の機能の問題(たとえば事故や怪我によって脳が損傷したり、脳内の伝達物質に異常が生じることにより、パラノイアが生じる)があるのではないかと言われています。

また、統合失調症になった人が近親者の中にいる場合、パラノイアを発症する確率が高いことから、遺伝も原因の一つと考えられます。さらに家庭での生育環境上の問題や、社会の中での辛い体験などがパラノイアを引き起こす場合もあると言われます。

妄想性障害(パラノイア)の治療は難しい?

妄想性障害(パラノイア)の治療は、現在ではまだ難しいと言われています。その理由としては、本人が病気だと認識しない場合が多いこと、原因がまだはっきりとわかっていないことなどがありますが、さらに薬を服用しても効果が出にくいことも大きな理由の一つです。そのため、パラノイアから回復するためには、薬を服用しながらカウンセリングを受けるといった医療機関での治療だけではなく、家族や周囲の人たちの協力が欠かせないと言えるでしょう。

もし周囲の人が患者さんの妄想した内容を否定すると、患者さんはより疑いの気持ちを深めて攻撃的な行動をとってしまう恐れがありますし、肯定するとその人に強く依存してしまう可能性があります。そのため専門家と相談しながら慎重な対応を取りつつ、少しずつ患者が回復して行くように進めて行くことが重要です。

おわりに:対処法が難しいパラノイア、まずは病院で相談することが大切です

統合失調症と比べると目立った症状が少ないため、発見や認識が遅れてしまいがちなパラノイア。また、治療法も確立されておらず、接し方にも注意点が多かったりと対処が難しい症状ではあります。もし身近にパラノイアの疑いのある方がいる場合は、まずは病院で相談されることをおすすめします。

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