神経痛は種類が違うと原因や治療法も違うの?

2017/11/13 記事改定日: 2019/4/24
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

神経痛とは、末梢神経のうち感覚神経が刺激されることで起こる痛みです。神経痛の種類や症状、原因にはどんなものがあるのかを詳しく紹介するので、ちくちく、ぴりぴりした痛みに悩んでいる人は参考にしてください。

神経痛の痛みの特徴は?

神経には脳と脊髄からなる中枢神経とその枝となる末梢神経の2つの種類があります。
末梢神経さらに運動神経、感覚神経、自律神経に分けられ、このうち感覚神経が何らかの原因で刺激を受け、痛みが起こる症状を神経痛と言います。

神経痛の痛みは針で刺すような鋭い痛みで、ピリピリあるいはヒリヒリ痛むなどと表現されることが多いです。
発症の要因を特定することができない特発性の場合もあれば、はっきり特定することができる症候性の場合があり、よく起こるものとしては、三叉神経痛や坐骨神経痛などがありますが、全身に神経は走っているので様々な部分で起こる可能性があります。

神経痛の種類にはどんなものがあるの?

代表的な3種類の神経痛をあげると、三叉神経痛、坐骨神経痛、肋間神経痛の3種類です。

三叉神経痛
三叉神経は、こめかみから目の奥、頬、顎の3本に枝分かれしている神経のことで、その周囲の血管が圧迫されることなどが原因で痛みが起こります。
坐骨神経痛
坐骨神経はお尻から太ももの後ろ、ふくらはぎを走行している神経のことで、椎間板障害や腰椎の神経根障害、梨状筋症候群などが原因で痛みが起こります。動作や姿勢を変えると症状が変化するのが特徴です。
肋間神経痛
肋間神経は背中から肋骨に沿って走っている神経のことで、肋骨や筋肉に神経が挟まれて痛みが起こることが多いといわれています。一時的に症状が発症することが多く、原因の特定が難しいとされています。

神経痛の原因も種類ごとで違うの?

上記でも触れたように、神経痛が起こる原因は、特定することができる場合とできない場合があります。

たとえば、代表的3種類の神経痛を取り上げると、三叉神経の痛みの原因は、はっきりわからないことが多いです。また、肋間神経痛の代表的な原因として、不適切な姿勢を長く続けていることやストレスや疲労などが挙げられ、帯状疱疹によって引き起こされることも少なくありません。
坐骨神経の痛みに関しては、腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などで椎間板が潰れて飛び出し、それが坐骨神経を刺激して痛みが起こることが主な要因といわれています。

神経痛の種類ごとの治療方法は?

神経痛は種類ごとに治療法も異なります。主な神経痛の治療法は次の通りです。

三叉神経痛

三叉神経痛は他の神経痛と異なり、内服薬が効きやすいのが特徴です。一般的に用いられるのは、神経の伝達を抑えるカルバマゼピン®やバクロフェン®、フェニトイン®など主にてんかんに使用される薬です。三叉神経痛は80%程度の人がこれらの内服治療によって症状が改善するとされています。

一方、内服治療によって効果がない場合には、三叉神経の圧迫を解除するための手術や三叉神経に直接麻酔薬を注入する神経ブロック注射、放射新治療などが行われることもあります。

坐骨神経痛

坐骨神経痛の治療は、基本的にはコルセットの着用などによって腰部を安静にし、痛みに対しては消炎鎮痛剤や筋弛緩剤、血管拡張剤などの内服治療が行われます。また、腰への負担を軽減するためのリハビリや生活習慣の改善指導などを同時に行うのが一般的です。

多くは、これらの対症療法によって軽快しますが、痛みがひどい場合には神経ブロック注射が行われることもあり、強い痛みのために歩行障害を来たしているようなケースや麻痺などの神経症状がある場合には椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの根本的な原因を治療するための手術が施行されることもあります。

肋間神経痛

肋間神経痛の治療は、消炎鎮痛剤などによる対症療法が主体となります。また、効果に個人差がありますが、抗けいれん薬が効くこともありますので、様々な薬を試しながら自身に適した治療を行っていきます。
これらの対処方法に効果がない場合には神経ブロック注射、肋間神経を刺激しない様な姿勢、生活習慣などの指導が行われることもあります。

おわりに:神経痛は種類ごとに原因や治療法が違う

神経痛の代表的なものとして、三叉神経痛、肋間神経痛、坐骨神経痛がありますが、末梢神経が通っているところであればどこでも神経痛が起こる可能性があります。
ストレスや疲労の解消、姿勢の改善、身体を温めるなどで症状が改善することもありますが、長期化することも少なくありません。
長く続く痛みがあるときは、早めに病院を受診しましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

坐骨神経痛(15) 帯状疱疹(33) 腰部脊柱管狭窄症(8) 三叉神経痛(9) 腰椎椎間板ヘルニア(8) 肋間神経痛(7) 神経痛(7)